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冒険者登録
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丁度受付が空いていた。今は込み合う時間帯ではないようだ。
「こんにちは、お姉さん。冒険者登録に来たんだけど、ここでいいのかな?」
「はい。大丈夫ですよ。……あのぉ、そちらの猫ちゃんはあなたの従魔でしょうか?」
恐る恐る聞いてくる受付嬢に「そうだよ」と返した。恐る恐る聞いてきたのは、マダナイが目立っているからだろう。
「可愛いでしょ? 門兵に契約紋を確認してもらってるから、大丈夫!」
マダナイに抱きつき可愛さをアピールする。種族は伏せた。ケット・シーは、どちらかと言うと魔人族に入る。魔人族と『従魔契約』できる者など今までいなかった、とマダナイから聞いている。知られると大事になるかもしれないと思っての行動だった。
「そうでしたか。失礼しました。では、冒険者登録に移らせて頂きますね。こちらの用紙にご記入して下さい」
差し出された用紙は名前、職業が必須になっており、あとは任意だった。任意の場所には種族、特技、年齢などがあった。イリスは任意の部分だけ記入し提出する。職業はもちろんテイマーだ。
「はい、できたよ」
「……これでよろしいのですか? 必須以外の記入もあれば、他のパーティや依頼主へ紹介しやすくなるのですが……」
「うん、構わないよ」
すっぱりイリスが言い切ると、受付嬢は引き下がり、次の手続きに移る。
「かしこまりました。では、こちらの水晶板に触れて頂けますか?」
受付嬢に促され触れたのは、二センチほどの厚みのある水晶板だ。おそらくこれで魔力の登録とかができるのだろう。これもファンタジーの定番だ。
水晶板に触れると一瞬光った。受付嬢が水晶板の下に手を差し出すと、一枚の白いカードが出てくる。
「はい。こちらがイリスさんの冒険者カードになります」
受け取った冒険者カードには名前と職業、ランクのみが記載されていた。それをしげしげと眺めていたら、受付嬢に笑われてしまった。
「そちらのカードは本物の証として魔力を込めると、ギルドのマークが浮かび上がるようになっています。ランクが上がるとカードの色や素材が変わってきますので、頑張って下さいね」
本物の証として、ということは偽物が出回ることがあったということなのだろう。さらに受付嬢の説明は続く。
「初めは皆さんFランクからのスタートとなります」
この冒険者カードはこの大陸内であれば全国共通、どこの国の冒険者ギルドでも使えるし、身分証にもなる。登録されている内容は、表に書いてあるものと受けた依頼の数、依頼の内容、成功数、失敗数、現在受けている依頼が登録される。冒険者ギルドで売却、解体された魔物の種類や数も登録されている。これらの情報は、どこの冒険者ギルでも見ることが可能らしい。
それから依頼については、常設依頼、通常依頼、指名依頼、緊急依頼の四つがあるとのことだ。一般的には常設依頼と通常依頼で、あとの二つは滅多にないので、そのときがきたら説明すると言われた。
常設依頼は依頼表を受付に持って行かなくても、納品するだけで依頼を達成したことになる。
「依頼はあちらのボードに貼り出されています。受けたい依頼がありましたら、受付まで持って来てくださいね。大まかな説明は以上となります。分からないことがありましたら、いつでもお聞き下さい」
あちらと言われた視線の先を見てみると、人だかりができている。あの中に入って、依頼票を持って来なきゃいけないのか……。
「こんにちは、お姉さん。冒険者登録に来たんだけど、ここでいいのかな?」
「はい。大丈夫ですよ。……あのぉ、そちらの猫ちゃんはあなたの従魔でしょうか?」
恐る恐る聞いてくる受付嬢に「そうだよ」と返した。恐る恐る聞いてきたのは、マダナイが目立っているからだろう。
「可愛いでしょ? 門兵に契約紋を確認してもらってるから、大丈夫!」
マダナイに抱きつき可愛さをアピールする。種族は伏せた。ケット・シーは、どちらかと言うと魔人族に入る。魔人族と『従魔契約』できる者など今までいなかった、とマダナイから聞いている。知られると大事になるかもしれないと思っての行動だった。
「そうでしたか。失礼しました。では、冒険者登録に移らせて頂きますね。こちらの用紙にご記入して下さい」
差し出された用紙は名前、職業が必須になっており、あとは任意だった。任意の場所には種族、特技、年齢などがあった。イリスは任意の部分だけ記入し提出する。職業はもちろんテイマーだ。
「はい、できたよ」
「……これでよろしいのですか? 必須以外の記入もあれば、他のパーティや依頼主へ紹介しやすくなるのですが……」
「うん、構わないよ」
すっぱりイリスが言い切ると、受付嬢は引き下がり、次の手続きに移る。
「かしこまりました。では、こちらの水晶板に触れて頂けますか?」
受付嬢に促され触れたのは、二センチほどの厚みのある水晶板だ。おそらくこれで魔力の登録とかができるのだろう。これもファンタジーの定番だ。
水晶板に触れると一瞬光った。受付嬢が水晶板の下に手を差し出すと、一枚の白いカードが出てくる。
「はい。こちらがイリスさんの冒険者カードになります」
受け取った冒険者カードには名前と職業、ランクのみが記載されていた。それをしげしげと眺めていたら、受付嬢に笑われてしまった。
「そちらのカードは本物の証として魔力を込めると、ギルドのマークが浮かび上がるようになっています。ランクが上がるとカードの色や素材が変わってきますので、頑張って下さいね」
本物の証として、ということは偽物が出回ることがあったということなのだろう。さらに受付嬢の説明は続く。
「初めは皆さんFランクからのスタートとなります」
この冒険者カードはこの大陸内であれば全国共通、どこの国の冒険者ギルドでも使えるし、身分証にもなる。登録されている内容は、表に書いてあるものと受けた依頼の数、依頼の内容、成功数、失敗数、現在受けている依頼が登録される。冒険者ギルドで売却、解体された魔物の種類や数も登録されている。これらの情報は、どこの冒険者ギルでも見ることが可能らしい。
それから依頼については、常設依頼、通常依頼、指名依頼、緊急依頼の四つがあるとのことだ。一般的には常設依頼と通常依頼で、あとの二つは滅多にないので、そのときがきたら説明すると言われた。
常設依頼は依頼表を受付に持って行かなくても、納品するだけで依頼を達成したことになる。
「依頼はあちらのボードに貼り出されています。受けたい依頼がありましたら、受付まで持って来てくださいね。大まかな説明は以上となります。分からないことがありましたら、いつでもお聞き下さい」
あちらと言われた視線の先を見てみると、人だかりができている。あの中に入って、依頼票を持って来なきゃいけないのか……。
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