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2章<まだ未熟>れべる15になる

まだまだ神官

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俺は、上司魔王の指示通りに、神官へ探りを入れることにした。

ふと、自分の行動に疑問がよぎる。
「誘惑して~みたいなことできるのか?俺に…。誘惑して、その次どうするのか何も思いつかない…俺が誘惑できるのかもそもそも疑問だし、誘惑した次の手順もわからないし…マニュアルがあってもやりたくはないけど…」

―――今回の業務はゴールが見えない。
いったい、上司(魔王)は何の目的があって俺にこの業務を任せたのだろうか。

社畜すぎる。パワハラじゃないか?この業務。
無謀すぎる。得られるものもわからないし、給料の額面もわからないし。


「ステータスには…
『魔王討伐をもくろんでいる勇者チームの神官のとこにいけ』とあるな」
「なになに?
『ただし、その神官は“わるいやつ”だ
“聖人のは”かなりの”ちから”になる」

―――なんじゃこりゃ。
ヒントメニューに書かれていたのは、魔王が言っていた言葉。
「“聖人のは”かなりの”ちから”になる。か」

―――魔王様の言葉がそのままのヒント…ね。
ってことは、“聖人のちから”を奪えってことか。
「奪うってでも、どうやって奪うんだろ…」

…。

「…とりあえず、神官の夢に入るか」


暗く長い廊下を歩き、神官の部屋まで来た。
ノックするわけにはいかないので、ダメもとで扉を開けると鍵は空いていた。

(こうゆう世界って部屋に鍵つけないのか?)

―――天井ベッド…、っていうんだっけこうゆうカーテンがかかってるやつ?すごいな、この世界、おとぎ話の世界…。

カーテンの隙間から覗き見ると、神官はよく眠っているように見える。
人の夢に入るなんて、悪いような気もするけど…。

俺はそっとベッドへ腰掛けた。
「夢食い」
ぽそりと呟くと、体がふわりと優しい暖かい毛布に包まれた感覚をまとった。
夢の中へ中へと吸い込まれるように俺の体は白いカーテンの中へと入っていった。
俺自身も眠っているのか、意識が吸い込まれているだけなのかはよくわからないが、神官の脳にアクセスして、夢の世界へ入っているのは確かだった。(何故って、目の前にその文字が現れたから『神官の脳へアクセス』って…)

「へぇ…人の夢って面白いな」
白い道をずっと歩いていくと、黄金に輝く光が見えた、眩しいと思った先には、酒と金貨に囲まれた神官が裸で寝そべっていた。

「ま…じ?」

俺はインキュバスの服や翼に戻り、全裸で寝そべる神官の姿を天井から見ていた。
神官の神殿は黄金になってはいたが、彼の世界線では、現実と夢が一緒くたになっているようだった。
来客があるとメイドのような女が神官に話しかけたかと思うと、メイドの姿は現実で教会外を歩いていたシスターになったいたり、扉が黄金であったかと思えば、現実の木の作りになったりなどしていた。
来客のもとへ急ぐ裸の王様である神官は、俺と出会った時と同じ白い服を着て、客間に腰かけた。

「あまりこうゆうことは言いたくないのですが、お布施をいただかなくてはあなたは幸せにはなれませんよ」

訪問者は毎月高額な金額を支払っていて、今月は言われた額を出すことができないという相談だった。
神官は畳みかけるように、信者へ幸せの価値やそれについての相応な額についてにこやかに話す。

「これって…頭の中の整理ってやつか?罪悪感っていうよりは、何を言うかシュミレーションしてんのか…?」

魔王の言っていたとおり、”わるいやつ”なのかもしれないと俺はぞっとした。
場面が切り替わると、今度は多数の男女が神官の体に絡みついた。

その光景は、酒池肉林。
代わる代わるに入り乱れ、まさにソドム。
「金に汚いし低俗って、ことか…」
これが、神官の、夢。

「なかなか…ヘヴィーじゃん…?」
神に仕える人間は、欲に溺れない教えかと思っていたが、欲に溺れまくりの夢であった。
「制御されすぎたら、こうなるってこと?それとも、これのために神官しているのか?」

―――え!
襟首をつかまれ、後ろへ引っ張られる感覚。

「うわ、やべ…っ起きた!」
吸い込まれるように現実に引き戻されていく。

現実に引き戻されると、俺の上に神官が覆いかぶさっていた。

「ま、まじか」

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