元童貞社畜が異世界（転生？転移？）したらインキュバスになっただと？！

魔王の城（サタン城）

宿命転換

「お前には、存分に働いてもらうぞ」
「え」

知らず知らず伸びていた手にサタンの声で気が付く。

「まあ、がんばれ」
「え？」


グローブ越しからもわかる長い指が、俺の顎を優しくなぞるから背筋が粟立った。

「ん…っ」

グイっと顎を引っ張られ、唇を押し付けられる。
柔らかさに後頭部から背骨、尾てい骨の一線がびくびくと震えた。


サタンの左手は俺の腰、脇と徐々に上へと触れていく。
くすぐったさと、心地よさが脳を渦巻く。

唇の好きからサタンの熱い舌が入ってくる。
混乱で目頭が熱くなる。
恥ずかしさとこれから起きる状況と今起きていること、全てを同時進行に考えようにも思考はぐちゃぐちゃになっていく。


―――俺、初めてキス…

サタンが俺の胸元に触れ、優しく堅い胸を揉む。
外側から優しく包み混むような愛撫に、思わず小さな声が漏れた。


「ん…っ」
外側から中心部へ触れてほしいと、芽吹き始めた小さな蕾がジンジンと熱を持っているの感じた。


俺の上半身を撫で回す優しい手。
熱く優しい舌が俺の口内をかき回す。
―――じれったい。


息継ぎも知らない初めての口づけに息を整えることもできない。
される誘導のまま、口内の気持ちよさに溺れ、必死にサタンへついていく。

時折、ギュッと込み上げる熱さ。
胸が詰まって苦しい。
この苦しさに名前をつけるとすれば、‘切ない’だ。
’切ない‘を自覚すると、鼻がツンとした。
目尻から涙が頬を伝い、垂れる。