元童貞社畜が異世界(転生?転移?)したらインキュバスになっただと?!

暖鬼暖

文字の大きさ
上 下
11 / 24
魔王の城(サタン城)

俺vsサタン

しおりを挟む
倒れたままの俺の背中にずしりと重みを感じる。


「ーーーイッ」
背中に鋭い激痛。
サタンの長い足は俺の背中の上に乗せられ、
ギリギリと背中へヒールが食い込んでいく。



激痛でうつ伏せになっていると、
コツコツコツと俺の周りを歩く音が聞こえる。


首にビリリと痛みが走り、目を開ける。
顎に冷たい感触。


うつ伏せの顔を掘り起こし、
無理やり持ち上げられた。
長い黒髪が俺の頬に触れる。

赤いような緑のような不思議な目の色と視線がかち合った。

「き、キレイ…」
照明が暗く、はっきりと顔を認識できなかったが、
無駄な肉がついていないシュッとした輪郭
血の気のない白く透き通った薄い皮膚の上に
筋の通った鼻、血の気の良い赤い唇、
切れ長の目に長いまつげが縁取っている。


サラサラとした黒髪が、色っぽさをさらに引き出している。




ゴクリと唾を飲み込むと、
サタンと思わしき人物の顔が近づいてくる。

瞬きをすれば風でも感じそうなくらいの長いまつげ。
目を閉じた表情が人形ではないかと疑うほどに美しかった。



赤い唇が、俺の唇へ触れる。
温かい柔らかさが俺の不安を解いていく。





優しい唇にうっとりしていると、
レザーに混じったスパイシーな香り(多分、カルダモンとゼラニウム?)と甘ったるいムスクの香りで頭がくらくらした。
サタンからは甘くスパイシーな香りがふわんふわんと香り、極めつけにはバイオレットリーフが鼻腔をくすぐる。


血の通ったサタンの唇が、なんの前置きもなしに離れていく。

ーーーええ、やだ…さたんさま…触ふれていたい

追いつかない思考の中で、切なさと金木犀の香りを感じた。

ーーーーって、なんだこのきもち?

「私の部下だから仕方がない」
「え!」
「私はお前の考えていることがわかる」
「え!透視できるってこと?」
「そうだ」


切れ長の目に長いまつげ。
赤緑の瞳にじっと見つめられると、力が抜けてしまう。


「ん?なんだ、もうチャームの使い方も覚えたのか?」
「チャーム?」
「インキュバスに備わっている初期装備の技だ。
目が合ったモノを虜にして魅了させ、自分へ発情させることができる」
「ま…じ」
もしかして、ゴブリン相手にも俺、チャーム使ってた?



サタンが俺を見つめる。

ーーーーーーーな、なんかサタン様の前に来ると…




俺の意思とは関係なく(いや、そんなことはない)今度は俺からサタンの唇へ触れた。
サタンも応えるように押し付けられた唇へ唇を重ねる。

俺の胸の中で暑い思いがこみ上げる。
名前をつけることのできない想いで泣きそうになった。






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

美形×平凡の子供の話

めちゅう
BL
 美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか? ────────────────── お読みくださりありがとうございます。 お楽しみいただけましたら幸いです。

転生当て馬召喚士が攻め度MAXの白銀騎士に抗えません

雪平@冷淡騎士2nd連載中
BL
不幸体質大学生の青年が転生したのは魔術師ファンタジーBLゲームの世界だった。 当て馬として生まれたからには攻略キャラの恋の後押しをする事にした。 しかし、この世界…何処か可笑しい。 受け主人公が攻めに、攻め攻略キャラが受けになっていた世界だった。 童顔だった主人公は立派な攻めに育っていた。 受け達に愛されている主人公は何故か当て馬に執着している。 傍観者で良かったのに、攻めポジも危ぶまれていく。 究極の鉄壁一途な白銀騎士×転生当て馬召喚士 ゲームを忠実にするためには、絶対に受けとしてときめいてはいけない。 「君といられるなら、俺は邪魔する奴を排除する」 「俺はただの当て馬でいい!」 ※脇CP、リバキャラはいません、メインCPのみです。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話

gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、 立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。 タイトルそのままですみません。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

処理中です...