寝ても覚めても石に漱ぎ、流れに枕す

潮野 ノセ

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ハリッサ(1)

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 昨日のプチ宴会から陽が登って、まだ半日しか経っていない。が、この天狗さんのことがわかってきたかもしれない。

 最初は貫禄のある年寄りのように思ったが、なんだか子供っぽい。

 朝からこれは何だととにかくうるさい。トースターの使い方から始まり、冷蔵庫と冷凍庫の違い、炊飯器も何か言っていたな。。

 反応は「ほう、これは良いものだな」が大半だが、言い終わる前に色々な角度から眺めようとウロウロ動いて落ち着きがない。

「そんなに近づいたら火傷するよ!」
何がおもしろいのか遠赤外線ヒーターにほとんど触る勢いだった。

 どうもおかしい。町にも大概のものはあったし、知美のところにいたなら割と最新のものだって見たことがあるはずだ。

「天狗さん一体今まで何してたんだ?何でそんなに初めて見たみたいにする?」

お昼に電子レンジを使ったら張り付いて離れなくなったのでちょっと呆れてしまった。
レトルトカレー取り出せない。
思わず邪険に扱ってしまったが、バツが悪かったのか

「なんとなくは見えていたのだ。ぼんやりとな。しかしどんな意味があって、どんなもののために動くのかはわからんかった。。ワシのために供えられたものはわかるが他はよくわからん」
やたらと偉そうに説明された。
しょうがないってこと?かな。

 勝手なイメージ、ふわふわ浮いて何でも見てるんだと思っていたがそうではないらしい。
こちらのものはあまり見えずで、どうやら顔もはっきりはわからなかったようだ。
「お主は酒瓶ごと供えたからな。だから酒の名前で覚えた。」
過去の自分ナイス笑
これで少し繋がりが出来たらしい。でもホタルイカを食べちゃったからすぐには繋がらなかったってことだって。
 いや、魚介系はすぐ傷むからな。出しっぱなしはちょっと。。

 いそいそとカレーの準備を進めていたら、天狗さんが席に着いてしまった。
「あ、天狗さんお腹空いてますか?」
まさか用意してないとは言えない。何にも考えずにいつも通り1人分を用意していた。
「うむ、ここに入れてくれ。」
天狗さんは熱燗用の平たいおチョコを嘴で示した。

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