寝ても覚めても石に漱ぎ、流れに枕す

潮野 ノセ

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兼四(1)

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 頭が痛い。。これは飲み合わせが良くなかった時の二日酔いだ。。
 
 昨日飲んだのは、店で麦焼酎、家でも麦焼酎だったような…?あ、そうだ店で馴染みの祐さんにワイン一杯もらったんだったーー
そうかあれかー。
 
 わかってる。そんなに酒に強くない。しかもちゃんぽんがダメなタイプで、その日に同じ種類の酒しか飲めないという謎の縛りがある。
 昨日は横に座ってた祐さんと盛り上がっちゃって祐さんがボトルで飲んでいたワインを一杯もらったんだった。美味しかったけどそれで頭痛がするタイプの二日酔いになったようだ。

 水、、、痛い頭を抑えてゆっくり起き上がると、意外とテーブルの上が片付いていた。
 昨日グラス洗ったっけ…?珍しいな。えらいぞ自分!と自画自賛する。
 「おい、水だ。飲め。」
 寝起きで二日酔いにハスキーボイス。      びっくりしないやつはいないと思う。
驚きすぎてフリーズしていたら天狗さんがグッとグラスを押し付けてきた。
 「あ、ありがとうございます。」
どもりながら答えるのが精一杯だった。
 
  一気に水を飲んでフラフラとお風呂場に行き、顔を洗う。化粧水を吹きかけてクリームを塗る。ぼんやりしながら歯を磨く。
 「え?天狗さん?村に帰らないんですか?」
 歯を磨いたら頭が冴えてきた。天狗さんの水のおかげかいつもより回復が早い。それでもぼけぼけで歯磨きをしながら聞いてしまった。
 
 天狗さんは黙ってこちらに顔を向けた。
 正直、天狗さんの表情は全くわからないから怖い。黙っていると特にわからない。もう少し顔に出して欲しい。
 「それは、私がいると不都合があるということか?」
 天狗さんは良く通る声で聞いてきた。
「不都合と言うか、、私の家は狭いので場所の問題でーございます。」
 天狗さんの圧のせいか時代劇風の喋りになる。
 「ふむ、ではこれで解決だ。」
 天狗さんは音もなく消えたかと思ったら、小さくなっていた。手乗り文鳥ぐらいの大きさだ。可愛い。

 「実は禁忌を犯したのでしばらく帰れん。ここにいようと思う。」
 あまりに当然に言うので、思わず
 「え、はい。」
 と答えた。そう。答えてしまった。
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