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カイエンに連れられ、嫌、引きずられながら城に戻る頃にはもう夜が明け、朝日が降り注いでいた。
城の中から兵士達が出て来ているので、騒ぎになるのは間違いないだろう。
門をくぐり城内に入ると、1人の兵士が声を上げた。
『おい、あれ、カイエン様じゃないか?』
それはこの前私達を護衛してくれた、トカゲ顔の兵士達だった。
『バカを言うな、カイエン様はとっくの昔にお亡くなりになられたんだぞ?ん?嫌、失踪したんだったか?』
『しかし、俺はカイエン様の隊にいた事があるんだ、間違えるはずない。あれはやはりカイエン様だ!!』
その声が周りに聞こえると、皆がカイエン様だと口にしていく。終いにはカイエン様万歳と大合唱にまでになり、何の騒ぎだとサイレーイス様が城の中から飛び出して来た。
『何ごとだ!?』
サイレーイス様はカイエンの姿を認めると、目を見開きワナワナと震える指で彼を指差した。
『カイエン様!?そんなバカな!?』
『おぉ、俺だ。長く留守にして悪かったな。』
『、、本当に?本当にカイエン様なのですか?』
『そう言っているだろう。』
『あぁぁ、、カイエン様、お帰りなさいませ。』
サイレーイス様はうやうやしくお辞儀をして心から嬉しそうな顔をした。
『あぁ。』
カイエンは黒い短髪、白い肌に切れ長だがパッチリとした二重の目、その中にはルビーの様に深く美しい赤色の瞳が収まっている。そう、見た目だけはかなりのイケメンだ。
そして、サイレーイス様も美しい淡い金色の髪、陶器の様に美しい肌、薄紫色の瞳、整い過ぎて作り物のような顔立ちをしている。
そんな2人が並ぶと辺りが神々しい光に包まれたように輝いて見え、目がシパシパした。
イケメンに酔い、胸焼けしたみたいな顔をしていると、サイレーイス様がそれに気付いて不思議そうな顔をした。
『ん?ナタリー様?気分が悪いので?嫌、それよりなぜカイエン様と手を繋いでいらっしゃるのですか?』
その問いに、私はギクリという顔を、カイエンはニンマリという顔をした。
『それは今から説明する。ハデスは居るか?』
『はい。先程帰って来られましたが、、お会いするのですか?』
『あぁ。』
サイレーイス様は警戒した素ぶりを見せたが、カイエンはそれに気付いていないようだ。先程からカイエンは腹が立つほどの上機嫌であり、さすがに引っ張られっぱなしの右腕に限界を感じ私はブンッと彼の手を振り払うと横腹をそのまま殴ってやった。
『痛ッ!!何すんだよナタリー!!』
『何するんだよナタリー!じゃ無いわよ!さっきから手首が痛いし、あなたの態度が何だか腹立つのよ!』
『はぁ!?何だよ態度が腹立つって!?』
『これ見なさいよ!』
少し内出血してしまったのか、赤い痕が残った手首を見せつけた。
カイエンは本当に無自覚だったのだろう、その傷ましい手首を見て目を見開いた。
『嘘だろ?これ俺がしたのか、、』
その顔を見れば彼に悪気が無かったことは一目瞭然だ。魔力が戻り家に帰れるとなれば、カイエンがどれほど嬉しかったかも少しは理解出来たのだから、責めることも無かったのではないかと私は少し反省した。
『もう良いわ。少し落ち着いて欲しかっただけだから。』
そう言った私にそっと伸ばされたカイエンの手を避けようとしたが、一足遅く捕まってしまう。しかし、今度は優しく真綿を包むようにそっと握られた。
『悪かった。』
悲しそうな顔で私の手首を見つめるカイエンに、私は嘆息して彼の頭を撫でた。彼の大きい姿も何度か見ていたので違和感は無いが、もうあの小さい姿を見れないかと思うと寂しく感じた。
『もう良いって言ったでしょ?』
『良くない。治させてくれ。』
そう言うと手首を愛おしそうに優しく撫でながら魔力をまとわりつかすように流し込んできた。
ゆっくりと赤身が消えて行くのが分かる。
体力回復魔法とは違い、治療魔法は上位魔法だ。カイエンはそれを習得しているのだと少し驚いた。
『カイエン、あなた治癒魔法を使えるのね。』
彼は頷くと、さっきのお返しと言わんばかりに優しく私の頭を撫でながら微笑んだ。
『あぁ。ようやくお前に返す事が出来る。』
『返す?』
『世話になった。これから一生かけて恩を返す。』
カイエンが私の両手を取り愛を語ろうとした時、サイレーイスが堪りかねて口を挟んだ。
『ゴホンッ!さすがに2人の関係をお話し頂けますか?』
邪魔をするなと顔をしかめたカイエンと、真っ赤な顔をした私は対照的な反応だった。
『いや、ハデスの元へ行こう。説明はそれからだ。』
『わかりました、、。』
納得していない。サイレーイス様はそんな顔をしていたが、口答えはせずにまた長い廊下を歩き始めた。
大広間に入ったが、ハデス様はいつもの場所にいなかった。
『ハデス様は働き詰めだったので、今休んでおります。呼んで参りますのでここでお待ち下さい。』
サイレーイス様はそう言うと、部屋の隅にある扉へと入って行った。あそこは夜会の時に控え室に使われる場所だ。あの様な所でハデス様の寝室があるのかと私は驚いた。
「ナタリー、俺はお前を愛しているとアイツに宣言する。」
私の思考を停止させる声がした。カイエンを見ると彼は真剣な顔をしており、胸がドキリと跳ねる。
「勝手に宣言しないで。私は確かにカイエンの事は好きだけど、それはカイエンが私を好きだと言う好きとは違うわ。」
「どう違う!?好きならそれで良いじゃないか!!」
「、、良くない。あなたは私にとって弟の様な存在よ。家族を男として見ろと言われても無理な話しでしょう?」
「俺は家族だと思っていない。それに結婚してしまえば家族だろ?同じ事だ。」
確かに貴族の結婚に愛だの何だのそんな感情を持って結婚する人は少ない。それならば弟だと思っていても、良い感情があるだけマシであろう。
それでも、私は好きな人に出会ってしまったのだ。
「同じじゃない。私はもう出会ってしまったから。カイエン、ごめんなさい。」
「ナタリー、、俺は諦めたりしないからな。ようやく堂々と気持ちを伝えられるようになったのだから。」
カイエンはまた私の手を取り引き寄せようとしたが、その手は突如発生した黒い風により弾かれる事となった。
「何っ!?」
私はその黒い風に巻かれて目を剥いた。何が起こっているのか分からずにキョロキョロとしていると、背後から抱きとめられた。
「私だ。暴れるな。」
「ハデス様!?」
風が治ると、驚き尻餅をついた状態で呆然とこちらを見るカイエンと、全て分かっていたのだろう、美しい姿勢を保ったままそこに立つサイレーイス様の姿が見えた。
呆然としていたカイエンが、ハデス様に背後から抱きしめられている私の姿を認めると勢いよく立ち上がりこちらへ大股でやって来た。
「ハデス、ナタリーを離せ!!」
凄い剣幕で吠えたカイエンに動じる事なくハデス様は私をさらに抱え込む。
「これは兄さん、久しぶりすね。今までどこで何をしていたのですか?」
涼しげな顔でそう話すハデス様にカイエンはイラつき私の腕に手を伸ばそうとしたが、ハデス様が私を隠すように抱え込んだのでそれは叶わなかった。
「おい、ハデス!それは俺のだ。手を出すな!」
「おや?先程盛大に断られていたではないですか。兄さんは相変わらず面白い方ですね。」
「クソッ!」
カイエンはハデス様を殴ろうとして思い留まったようだった。
彼の視線は私の手首を捉えているように見えた。
先程私の手首を痕が付くほど握りしめてしまった事を思い出し、私を巻き込むまいと我慢したのかもしれない。
ギュッと口を引き結び、上げかけた手を握りしめて力無くそのまま振り下ろした。
「ハデス、話しをしよう。ナタリーの事を諦めるつもりは無いが、今大変なのも知っている。私情流されている場合では無いのは分かっているつもりだ。」
その態度にハデス様も私をそっと離し頷いた。
「分かった。こちらとしても兄さんが戻ってくれたなら心強い。」
その様子を見たサイレーイス様はホッとしたような顔をしてこちらに近付いて来た。
「さて、先程のハデス様の所で話すと言っていた事を教えて頂けますか?」
サイレーイス様はカイエンと私の顔を交互に見た。
「それならば私も、私もカイエンが魔力を無くした経緯を聞きたい。」
私がそう言ったので、カイエンが全ての説明を始めた。
魔力を無くしたまま追い出された訳、私と出会ってからの話し、、
カイエンやハデス様のお父様、先代魔王は人間を愛した魔王として私達の世界でもとても人気のあり有名な魔王だった。
しかし、彼の息子はハデス様以外人間嫌いであり、彼らが後を継げば人間達は迫害され奴隷や家畜のような扱いを受ける事は必至だった。
先代魔王はカイエンに後を継がす事を諦め、ハデスに自分の後を継がずと皆に表明した。
カイエンは納得出来ないと魔王に歯向かった。自分を殺す事さえ厭わない息子の姿を見て、その時魔王はカイエンにある魔法をかける決意をしたのだった。
それは魔族に伝わる古い古い魔法であり、カイエン自身には決して解く事の出来ない魔法だった。
解くためにはその魔法をかけた者が解除するか、魔法をかける時に何か条件を付けていれば、それをクリアーする事で魔法を解く事が出来る。
「その条件とは人間を心から愛することだった。俺に呪いをかけた後、親父は人間を良しとしない革命軍により殺された。親父に直接解いてもらえないと分かり絶望したさ。と言っても、その魔法をかけられた後すぐに魔法陣に放り込まれて人間の住む大陸へ俺は飛ばされた。親父が死んだと聞いたのはずっと先だったがな。」
私は納得した。この所カイエンから離れていたに関わらず魔力が枯渇しなかったのは、私を好きだと思い始めた事でカイエンにかけられていた魔法が少しずつほこびをみせていたからだったのだ。
そして先程私に思いを伝えた事で完全に魔法が解けることとなった。
「その状態で良く死なずにいれたもんですね。」
嫌味にも取れるような事をハデス様は言ったが、きっと彼は感心しているのだろう。嘲りの様子は無い。カイエンもそれが分かったのかイラついた様子も無くそれに答えていた。
「その時に出会ったのがナタリーだった。まだ幼い体には不釣り合いなほどの魔力を持っていたせいで魔力が暴走していたんだ。俺は魔力がほとんど無い状態だったから、地獄に仏かと思ったさ。俺がナタリーの魔力を吸い取って魔力の暴走を防いだんだ。」
私はカイエンと出会った頃を思い出していた。人間嫌いなこの男は最初手が付けられないほど難しい我儘で傲慢などうしようもない男っだった。
しかし、私はその時まだ小さく、彼の言っている事が分からない事も多かった。今思えばカイエンも歯がゆく思う事があったのだろう。
私達の関係は時間をかけて少しずつ構築されたかけがえのないものだったのだと、昔を思い返して気付かされた。
「ナタリーには本当に世話になった。命の恩人なんだ。だからこれからは側で守り愛していきたい。」
最初の彼では想像もつかない程の甘い言葉と声音に私は戸惑いを隠せなかった。
「カイエン、、」
「ハデスとは出会ったばかりだろう?ようやく、ようやくちゃんとした状態で気持ちを伝える事が出来たんだ。どうか俺にもチャンスをくれ。」
カイエンは跪き私の右手を取った。真剣な眼差しにドキドキと心はうるさかったが、私の心は決まっている。答えを引き延ばしカイエンに期待を持たせたくなかった。虫の良い話しだと思ったが、私はカイエンとの関係を壊したくないのだ。彼は私にとって家族も同然なのだから。
だが、ごめんなさいと答えようとした私の声は慌てて入って来たイアンと数人の兵によってかき消される。
『ハデス様大変です!!』
イアンが前置きも無くそう叫んだので、よっぽどの緊急事態であろう。私の身体も緊張で強張った。
『何事だ!?』
『バゼルハイド王から荷と書簡が!』
『荷だと?中身は?』
『勝手に開けてはと思いましてまだ見ておりませんが、血の匂いがプンプン漂っています。魔物の血の匂いでは無いので、きっと中身は人間。生死の有無は見てみないと分かりません。』
『穏やかならぬ事態だな。分かった。それは今どこに?』
『危険な物だといけないので、城の門より外側に置いてあります。書簡はこちらに。』
イアンはそう言うとハデス様に手紙を渡した。その際イアンはカイエンの姿を捉えたのだろう。とても驚いた顔をしていたが、今はそれどころでは無い。懸命にも声は上げなかった。
ハデス様が封を開け目を通していく。チラリと私の顔を見てきたので、きっと人質交換の事についても書かれているのだろう。
冷たい汗が背中を伝うのが分かったが、私はハデス様の答えを待つ他ない。
『箱の中身はゴロランド王だ。処刑を執り行ったがまだ生きているのでコチラに送るといった事が書かれている。』
その場にいる皆が目を見開いた。処刑を執り行ったが生きているなど、一体どんな状態なのか検討も付かない。
『サイレーイス、箱の中身を確認してこい。まだ生きているなら治療を施し歩けるまでに回復させておけ。』
『治療ですか?しかし、ハデス様、ゴロランド王と言えば戦争を引き起こした男ではないですか?一体なぜ治療などするのです、、』
サイレーイス様は理解出来ないと言った顔でハデス様の命令を拒否しようとしていた。そんな事きっとこれまで無かったのだろう、ハデス様は少し驚いた後、サイレーイス様を諭すように言った。
『サイレーイス、家族を殺された者達が沢山いるのだ。』
『分かっています。だからこそ、その男を治すなどと、、』
『最後まで聞け。その者達は行き場の無い気持ちを持て余し今にも爆破しそうな状態でいる。』
サイレーイス様は静かに頷く。
『彼らにも復讐の機会をやりたい。我慢しろ、、私はただそれだけしか彼らに言えず、何もしてやれない。ゴロランド王、いや、ゴロランドを何とか治し、逃げまどえる状態にしてくれ。』
ハデス様の意図に気付きサイレーイス様は深々と身体が折れ曲がるほど頭を下げた。
『分かりました!!我が命にかえてもゴロランドを必ず生かしてみせます!!イアン、お前は治療魔法が使える者を出来るだけ連れて来い!!』
その言葉に動いたのはカイエンだった。
『それならば俺が行こう。』
『ありがとうございます。皆急ぎますよ!!』
慌ただしく出て行く彼らに付いて行けず、私はその場に残された。
ハデス様が近寄り私をまた後ろから抱きしめた。
『ハデス様?』
顔だけ振り向くと、ハデス様が嘘を許さないといった怪しい笑顔で微笑んでいる。恐怖で身体が震えたが、なぜか彼の顔から目が離せずそのままの体制で固まった。
『ナタリー、お前は知っていたのか?』
『、、何を?』
思ったよりも掠れた声しか出ず、私は驚いた。これではやましい事がありますと言っているようなものでは無いか。
『フッ、知っていたようだな。手紙には人質を交換しろと書いてあった。ナタリー、お前には王妃と交換してでも取り戻さなければならぬ程の価値があるのか?』
彼の手が私の顎をすくい、そのまま私の顔に近付いてくる。嘘を許さないと彼の目が語っていた。
『分かりません。』
『分からない?』
『本当に分からないのです。お父様から私に帰還せよという話しが持ち上がっていると聞いてはいましたが、、交換の相手はエルザ様。もしその様な話しがあったとしても、エルザ様がこちらへ来るとなれば準備にも相当かかるはずです。』
ハデス様が頷きもせずにそのまま射抜く様な目で私を見つめていた。心臓が暴れるほど強く打ち鳴らしているが、今彼を納得させなければ二度と彼に信用されないかもしれない。私は必死だった。
『それがこんなにも早くハデス様にその事を知らせる手紙が届くとは、、。私にその様な価値があるとは思えません。向こうを出る際にアルベルト様やマリアさんに恨みを買ったかもしれませんが、その為にバゼルハイド王がエルザ様を手放すとも思えません。私は本当に心当たりが無いのです。』
信じて下さい。私は心から念じる様に彼の瞳を見た。
『分かった。信じよう。』
『本当に?』
安堵からか私の瞳から涙がポロリと零れ落ちた。
『あぁ。お前は秘密の多い女だが、自分の保身の為に嘘を付く女では無いと分かっている。それに今のお前の瞳には一点の曇りも無い。』
『、、ハデス様。』
『そへと、、今はそれどころでは無いが、落ち着けばお前の気持ちを聞かせろ。どちらを選ぶかちゃんと考えておけ。』
私はその言葉に頭を振った。選ぶも何も最初から気持ちは変わっていないのだ。
『私はもう伝えました。あなたを愛しています。それが答えです。』
『ナタリー。』
破顔したハデス様の顔が私に近付いてくるのが分かった。そんな場合では無い。そう彼に言えず、そのまま彼の唇を受け止めたのだった。
軽く触れ合ったかと思えば、私の唇を割って彼の舌が入ってくる。
『ハァ、、ハデ、、んっ、、』
逃げる私の舌を追いかける様に口内で動く熱い彼の舌を受け止め、私は目眩を起こした。
息苦しくて、幸せで、、
ピチャリとイヤラシイ音を立てて彼の熱い舌と唇が離れていく。私は焦点の合わない瞳で彼をぼんやりと眺めていた。
『お前を抱きたい。』
耳元で囁かれ一瞬息が止まった。私の身体の芯が熱くなる。
『ハデス様、、でも』
『分かっている。今はそれどころでは無い。』
気付けば彼は男の顔から魔王の顔へと戻っていた。
『行ってくる。ナタリー、お前は見なくて良い。ここにいろ。』
そう言うと足早に大広間から去って行く。その後ろ姿を見送った後、私は腰が砕けその場にペタリと座り込むのだった。
城の中から兵士達が出て来ているので、騒ぎになるのは間違いないだろう。
門をくぐり城内に入ると、1人の兵士が声を上げた。
『おい、あれ、カイエン様じゃないか?』
それはこの前私達を護衛してくれた、トカゲ顔の兵士達だった。
『バカを言うな、カイエン様はとっくの昔にお亡くなりになられたんだぞ?ん?嫌、失踪したんだったか?』
『しかし、俺はカイエン様の隊にいた事があるんだ、間違えるはずない。あれはやはりカイエン様だ!!』
その声が周りに聞こえると、皆がカイエン様だと口にしていく。終いにはカイエン様万歳と大合唱にまでになり、何の騒ぎだとサイレーイス様が城の中から飛び出して来た。
『何ごとだ!?』
サイレーイス様はカイエンの姿を認めると、目を見開きワナワナと震える指で彼を指差した。
『カイエン様!?そんなバカな!?』
『おぉ、俺だ。長く留守にして悪かったな。』
『、、本当に?本当にカイエン様なのですか?』
『そう言っているだろう。』
『あぁぁ、、カイエン様、お帰りなさいませ。』
サイレーイス様はうやうやしくお辞儀をして心から嬉しそうな顔をした。
『あぁ。』
カイエンは黒い短髪、白い肌に切れ長だがパッチリとした二重の目、その中にはルビーの様に深く美しい赤色の瞳が収まっている。そう、見た目だけはかなりのイケメンだ。
そして、サイレーイス様も美しい淡い金色の髪、陶器の様に美しい肌、薄紫色の瞳、整い過ぎて作り物のような顔立ちをしている。
そんな2人が並ぶと辺りが神々しい光に包まれたように輝いて見え、目がシパシパした。
イケメンに酔い、胸焼けしたみたいな顔をしていると、サイレーイス様がそれに気付いて不思議そうな顔をした。
『ん?ナタリー様?気分が悪いので?嫌、それよりなぜカイエン様と手を繋いでいらっしゃるのですか?』
その問いに、私はギクリという顔を、カイエンはニンマリという顔をした。
『それは今から説明する。ハデスは居るか?』
『はい。先程帰って来られましたが、、お会いするのですか?』
『あぁ。』
サイレーイス様は警戒した素ぶりを見せたが、カイエンはそれに気付いていないようだ。先程からカイエンは腹が立つほどの上機嫌であり、さすがに引っ張られっぱなしの右腕に限界を感じ私はブンッと彼の手を振り払うと横腹をそのまま殴ってやった。
『痛ッ!!何すんだよナタリー!!』
『何するんだよナタリー!じゃ無いわよ!さっきから手首が痛いし、あなたの態度が何だか腹立つのよ!』
『はぁ!?何だよ態度が腹立つって!?』
『これ見なさいよ!』
少し内出血してしまったのか、赤い痕が残った手首を見せつけた。
カイエンは本当に無自覚だったのだろう、その傷ましい手首を見て目を見開いた。
『嘘だろ?これ俺がしたのか、、』
その顔を見れば彼に悪気が無かったことは一目瞭然だ。魔力が戻り家に帰れるとなれば、カイエンがどれほど嬉しかったかも少しは理解出来たのだから、責めることも無かったのではないかと私は少し反省した。
『もう良いわ。少し落ち着いて欲しかっただけだから。』
そう言った私にそっと伸ばされたカイエンの手を避けようとしたが、一足遅く捕まってしまう。しかし、今度は優しく真綿を包むようにそっと握られた。
『悪かった。』
悲しそうな顔で私の手首を見つめるカイエンに、私は嘆息して彼の頭を撫でた。彼の大きい姿も何度か見ていたので違和感は無いが、もうあの小さい姿を見れないかと思うと寂しく感じた。
『もう良いって言ったでしょ?』
『良くない。治させてくれ。』
そう言うと手首を愛おしそうに優しく撫でながら魔力をまとわりつかすように流し込んできた。
ゆっくりと赤身が消えて行くのが分かる。
体力回復魔法とは違い、治療魔法は上位魔法だ。カイエンはそれを習得しているのだと少し驚いた。
『カイエン、あなた治癒魔法を使えるのね。』
彼は頷くと、さっきのお返しと言わんばかりに優しく私の頭を撫でながら微笑んだ。
『あぁ。ようやくお前に返す事が出来る。』
『返す?』
『世話になった。これから一生かけて恩を返す。』
カイエンが私の両手を取り愛を語ろうとした時、サイレーイスが堪りかねて口を挟んだ。
『ゴホンッ!さすがに2人の関係をお話し頂けますか?』
邪魔をするなと顔をしかめたカイエンと、真っ赤な顔をした私は対照的な反応だった。
『いや、ハデスの元へ行こう。説明はそれからだ。』
『わかりました、、。』
納得していない。サイレーイス様はそんな顔をしていたが、口答えはせずにまた長い廊下を歩き始めた。
大広間に入ったが、ハデス様はいつもの場所にいなかった。
『ハデス様は働き詰めだったので、今休んでおります。呼んで参りますのでここでお待ち下さい。』
サイレーイス様はそう言うと、部屋の隅にある扉へと入って行った。あそこは夜会の時に控え室に使われる場所だ。あの様な所でハデス様の寝室があるのかと私は驚いた。
「ナタリー、俺はお前を愛しているとアイツに宣言する。」
私の思考を停止させる声がした。カイエンを見ると彼は真剣な顔をしており、胸がドキリと跳ねる。
「勝手に宣言しないで。私は確かにカイエンの事は好きだけど、それはカイエンが私を好きだと言う好きとは違うわ。」
「どう違う!?好きならそれで良いじゃないか!!」
「、、良くない。あなたは私にとって弟の様な存在よ。家族を男として見ろと言われても無理な話しでしょう?」
「俺は家族だと思っていない。それに結婚してしまえば家族だろ?同じ事だ。」
確かに貴族の結婚に愛だの何だのそんな感情を持って結婚する人は少ない。それならば弟だと思っていても、良い感情があるだけマシであろう。
それでも、私は好きな人に出会ってしまったのだ。
「同じじゃない。私はもう出会ってしまったから。カイエン、ごめんなさい。」
「ナタリー、、俺は諦めたりしないからな。ようやく堂々と気持ちを伝えられるようになったのだから。」
カイエンはまた私の手を取り引き寄せようとしたが、その手は突如発生した黒い風により弾かれる事となった。
「何っ!?」
私はその黒い風に巻かれて目を剥いた。何が起こっているのか分からずにキョロキョロとしていると、背後から抱きとめられた。
「私だ。暴れるな。」
「ハデス様!?」
風が治ると、驚き尻餅をついた状態で呆然とこちらを見るカイエンと、全て分かっていたのだろう、美しい姿勢を保ったままそこに立つサイレーイス様の姿が見えた。
呆然としていたカイエンが、ハデス様に背後から抱きしめられている私の姿を認めると勢いよく立ち上がりこちらへ大股でやって来た。
「ハデス、ナタリーを離せ!!」
凄い剣幕で吠えたカイエンに動じる事なくハデス様は私をさらに抱え込む。
「これは兄さん、久しぶりすね。今までどこで何をしていたのですか?」
涼しげな顔でそう話すハデス様にカイエンはイラつき私の腕に手を伸ばそうとしたが、ハデス様が私を隠すように抱え込んだのでそれは叶わなかった。
「おい、ハデス!それは俺のだ。手を出すな!」
「おや?先程盛大に断られていたではないですか。兄さんは相変わらず面白い方ですね。」
「クソッ!」
カイエンはハデス様を殴ろうとして思い留まったようだった。
彼の視線は私の手首を捉えているように見えた。
先程私の手首を痕が付くほど握りしめてしまった事を思い出し、私を巻き込むまいと我慢したのかもしれない。
ギュッと口を引き結び、上げかけた手を握りしめて力無くそのまま振り下ろした。
「ハデス、話しをしよう。ナタリーの事を諦めるつもりは無いが、今大変なのも知っている。私情流されている場合では無いのは分かっているつもりだ。」
その態度にハデス様も私をそっと離し頷いた。
「分かった。こちらとしても兄さんが戻ってくれたなら心強い。」
その様子を見たサイレーイス様はホッとしたような顔をしてこちらに近付いて来た。
「さて、先程のハデス様の所で話すと言っていた事を教えて頂けますか?」
サイレーイス様はカイエンと私の顔を交互に見た。
「それならば私も、私もカイエンが魔力を無くした経緯を聞きたい。」
私がそう言ったので、カイエンが全ての説明を始めた。
魔力を無くしたまま追い出された訳、私と出会ってからの話し、、
カイエンやハデス様のお父様、先代魔王は人間を愛した魔王として私達の世界でもとても人気のあり有名な魔王だった。
しかし、彼の息子はハデス様以外人間嫌いであり、彼らが後を継げば人間達は迫害され奴隷や家畜のような扱いを受ける事は必至だった。
先代魔王はカイエンに後を継がす事を諦め、ハデスに自分の後を継がずと皆に表明した。
カイエンは納得出来ないと魔王に歯向かった。自分を殺す事さえ厭わない息子の姿を見て、その時魔王はカイエンにある魔法をかける決意をしたのだった。
それは魔族に伝わる古い古い魔法であり、カイエン自身には決して解く事の出来ない魔法だった。
解くためにはその魔法をかけた者が解除するか、魔法をかける時に何か条件を付けていれば、それをクリアーする事で魔法を解く事が出来る。
「その条件とは人間を心から愛することだった。俺に呪いをかけた後、親父は人間を良しとしない革命軍により殺された。親父に直接解いてもらえないと分かり絶望したさ。と言っても、その魔法をかけられた後すぐに魔法陣に放り込まれて人間の住む大陸へ俺は飛ばされた。親父が死んだと聞いたのはずっと先だったがな。」
私は納得した。この所カイエンから離れていたに関わらず魔力が枯渇しなかったのは、私を好きだと思い始めた事でカイエンにかけられていた魔法が少しずつほこびをみせていたからだったのだ。
そして先程私に思いを伝えた事で完全に魔法が解けることとなった。
「その状態で良く死なずにいれたもんですね。」
嫌味にも取れるような事をハデス様は言ったが、きっと彼は感心しているのだろう。嘲りの様子は無い。カイエンもそれが分かったのかイラついた様子も無くそれに答えていた。
「その時に出会ったのがナタリーだった。まだ幼い体には不釣り合いなほどの魔力を持っていたせいで魔力が暴走していたんだ。俺は魔力がほとんど無い状態だったから、地獄に仏かと思ったさ。俺がナタリーの魔力を吸い取って魔力の暴走を防いだんだ。」
私はカイエンと出会った頃を思い出していた。人間嫌いなこの男は最初手が付けられないほど難しい我儘で傲慢などうしようもない男っだった。
しかし、私はその時まだ小さく、彼の言っている事が分からない事も多かった。今思えばカイエンも歯がゆく思う事があったのだろう。
私達の関係は時間をかけて少しずつ構築されたかけがえのないものだったのだと、昔を思い返して気付かされた。
「ナタリーには本当に世話になった。命の恩人なんだ。だからこれからは側で守り愛していきたい。」
最初の彼では想像もつかない程の甘い言葉と声音に私は戸惑いを隠せなかった。
「カイエン、、」
「ハデスとは出会ったばかりだろう?ようやく、ようやくちゃんとした状態で気持ちを伝える事が出来たんだ。どうか俺にもチャンスをくれ。」
カイエンは跪き私の右手を取った。真剣な眼差しにドキドキと心はうるさかったが、私の心は決まっている。答えを引き延ばしカイエンに期待を持たせたくなかった。虫の良い話しだと思ったが、私はカイエンとの関係を壊したくないのだ。彼は私にとって家族も同然なのだから。
だが、ごめんなさいと答えようとした私の声は慌てて入って来たイアンと数人の兵によってかき消される。
『ハデス様大変です!!』
イアンが前置きも無くそう叫んだので、よっぽどの緊急事態であろう。私の身体も緊張で強張った。
『何事だ!?』
『バゼルハイド王から荷と書簡が!』
『荷だと?中身は?』
『勝手に開けてはと思いましてまだ見ておりませんが、血の匂いがプンプン漂っています。魔物の血の匂いでは無いので、きっと中身は人間。生死の有無は見てみないと分かりません。』
『穏やかならぬ事態だな。分かった。それは今どこに?』
『危険な物だといけないので、城の門より外側に置いてあります。書簡はこちらに。』
イアンはそう言うとハデス様に手紙を渡した。その際イアンはカイエンの姿を捉えたのだろう。とても驚いた顔をしていたが、今はそれどころでは無い。懸命にも声は上げなかった。
ハデス様が封を開け目を通していく。チラリと私の顔を見てきたので、きっと人質交換の事についても書かれているのだろう。
冷たい汗が背中を伝うのが分かったが、私はハデス様の答えを待つ他ない。
『箱の中身はゴロランド王だ。処刑を執り行ったがまだ生きているのでコチラに送るといった事が書かれている。』
その場にいる皆が目を見開いた。処刑を執り行ったが生きているなど、一体どんな状態なのか検討も付かない。
『サイレーイス、箱の中身を確認してこい。まだ生きているなら治療を施し歩けるまでに回復させておけ。』
『治療ですか?しかし、ハデス様、ゴロランド王と言えば戦争を引き起こした男ではないですか?一体なぜ治療などするのです、、』
サイレーイス様は理解出来ないと言った顔でハデス様の命令を拒否しようとしていた。そんな事きっとこれまで無かったのだろう、ハデス様は少し驚いた後、サイレーイス様を諭すように言った。
『サイレーイス、家族を殺された者達が沢山いるのだ。』
『分かっています。だからこそ、その男を治すなどと、、』
『最後まで聞け。その者達は行き場の無い気持ちを持て余し今にも爆破しそうな状態でいる。』
サイレーイス様は静かに頷く。
『彼らにも復讐の機会をやりたい。我慢しろ、、私はただそれだけしか彼らに言えず、何もしてやれない。ゴロランド王、いや、ゴロランドを何とか治し、逃げまどえる状態にしてくれ。』
ハデス様の意図に気付きサイレーイス様は深々と身体が折れ曲がるほど頭を下げた。
『分かりました!!我が命にかえてもゴロランドを必ず生かしてみせます!!イアン、お前は治療魔法が使える者を出来るだけ連れて来い!!』
その言葉に動いたのはカイエンだった。
『それならば俺が行こう。』
『ありがとうございます。皆急ぎますよ!!』
慌ただしく出て行く彼らに付いて行けず、私はその場に残された。
ハデス様が近寄り私をまた後ろから抱きしめた。
『ハデス様?』
顔だけ振り向くと、ハデス様が嘘を許さないといった怪しい笑顔で微笑んでいる。恐怖で身体が震えたが、なぜか彼の顔から目が離せずそのままの体制で固まった。
『ナタリー、お前は知っていたのか?』
『、、何を?』
思ったよりも掠れた声しか出ず、私は驚いた。これではやましい事がありますと言っているようなものでは無いか。
『フッ、知っていたようだな。手紙には人質を交換しろと書いてあった。ナタリー、お前には王妃と交換してでも取り戻さなければならぬ程の価値があるのか?』
彼の手が私の顎をすくい、そのまま私の顔に近付いてくる。嘘を許さないと彼の目が語っていた。
『分かりません。』
『分からない?』
『本当に分からないのです。お父様から私に帰還せよという話しが持ち上がっていると聞いてはいましたが、、交換の相手はエルザ様。もしその様な話しがあったとしても、エルザ様がこちらへ来るとなれば準備にも相当かかるはずです。』
ハデス様が頷きもせずにそのまま射抜く様な目で私を見つめていた。心臓が暴れるほど強く打ち鳴らしているが、今彼を納得させなければ二度と彼に信用されないかもしれない。私は必死だった。
『それがこんなにも早くハデス様にその事を知らせる手紙が届くとは、、。私にその様な価値があるとは思えません。向こうを出る際にアルベルト様やマリアさんに恨みを買ったかもしれませんが、その為にバゼルハイド王がエルザ様を手放すとも思えません。私は本当に心当たりが無いのです。』
信じて下さい。私は心から念じる様に彼の瞳を見た。
『分かった。信じよう。』
『本当に?』
安堵からか私の瞳から涙がポロリと零れ落ちた。
『あぁ。お前は秘密の多い女だが、自分の保身の為に嘘を付く女では無いと分かっている。それに今のお前の瞳には一点の曇りも無い。』
『、、ハデス様。』
『そへと、、今はそれどころでは無いが、落ち着けばお前の気持ちを聞かせろ。どちらを選ぶかちゃんと考えておけ。』
私はその言葉に頭を振った。選ぶも何も最初から気持ちは変わっていないのだ。
『私はもう伝えました。あなたを愛しています。それが答えです。』
『ナタリー。』
破顔したハデス様の顔が私に近付いてくるのが分かった。そんな場合では無い。そう彼に言えず、そのまま彼の唇を受け止めたのだった。
軽く触れ合ったかと思えば、私の唇を割って彼の舌が入ってくる。
『ハァ、、ハデ、、んっ、、』
逃げる私の舌を追いかける様に口内で動く熱い彼の舌を受け止め、私は目眩を起こした。
息苦しくて、幸せで、、
ピチャリとイヤラシイ音を立てて彼の熱い舌と唇が離れていく。私は焦点の合わない瞳で彼をぼんやりと眺めていた。
『お前を抱きたい。』
耳元で囁かれ一瞬息が止まった。私の身体の芯が熱くなる。
『ハデス様、、でも』
『分かっている。今はそれどころでは無い。』
気付けば彼は男の顔から魔王の顔へと戻っていた。
『行ってくる。ナタリー、お前は見なくて良い。ここにいろ。』
そう言うと足早に大広間から去って行く。その後ろ姿を見送った後、私は腰が砕けその場にペタリと座り込むのだった。
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