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私の住む世界には魔物が存在している。
急に何だと思うかもしれないが、私の世界の話しをする上で魔物の説明は必要不可欠だ。
魔物達は見た目こそ恐ろしい者が多いが、ほとんどの者が温厚な性格で平和を愛する種族だった。
一部の人間達はそんな魔物達を腰抜けだと決めつけ、侮り、魔物達が暮らしている国に攻め入った。
しかし魔物達は、人間の力では到底かなわない程、圧倒的に強かったのだ。
人間達は攻め入った事を後悔したが、時すでに遅かった。魔物の中でも力の弱い種族を皆殺しにしていたのだ。
怒り狂った魔物達は攻め入った兵士達を1人残らず殺した後、人間達が住む大陸へと進行していった。
この世界は小さな島国を除くと5つの大陸に分けられるのだが、魔物達はそれまで1つの大陸で静かに暮らしていた。
しかし、進行した魔物達は4つの大陸を占領し、生き延びた人間達は残り1つの大陸へと逃れる事となった。
もう滅びる道しか残されていないのだと人間達が死を覚悟した時、魔物達を束ねる魔王がある提案をしてきた。
残された大陸だけでこれから静かに暮らしていくならば、これ以上人間に手出しはしないと。
しかし、人間達の言葉だけでは信用出来ないので、人質を差し出す事を条件にした。
人間達が今いる大陸には、各国の民が集まっているので、言葉や文字といった文化が皆違っており、話し合いは難航していた。
その上、貴族社会の階級差別が根強く残る国が多く、プライドの高い者同士がぶつかり合い、一向に決まらない話し合いは暗礁に乗りかけていた。
しかし、そこで手腕を発揮した者がいた。
魔物達が住む大陸を除く、四大陸の中で一番勢力の強い国を支配していたバゼルハイド王であった。
もう彼は60を超えているのだが、背丈も高く筋骨隆々であり、神話に出て来る神を思わせるその雰囲気も相まって、皆彼の言葉に耳を傾けた。
「再建の間、我が国ハーベスターの王であるこのバゼルハイドが皆の指揮を取る。異論のある者は今ここで名乗り出ろ!」
この大陸に住む人間達を導いていくのは茨の道でしかない。どんなに見栄を張っていても、誰も彼に代わり民を率いて行きたい者などいなかったのだ。
私、ナタリー・コーベルハイド公爵令嬢もハーベスター国で暮らしていた。
来月には16歳になり、我が国では成人に当たる歳を迎える所だった。
国王バゼルハイドの息子、第一王子のアルベルト様は私の婚約者である。
同い年の私達は、二人が成人を迎えた後に結婚する事が決まっていた。
しかし魔物との戦争が始まってしまい、それどころでは無くなってしまったのだ。
バゼルハイド王の横に立つアルベルト様を見つめる私の顔は悲しみで歪んでいた。
アルベルト様は美しい容姿をしている。
白く美しく肌に、彫りの深い顔立ち、濃紺の長い髪を三つ編みにし、切れ長の美しい目には同じ濃紺の瞳が収まっている。
彼と婚約を結んだ時、私は自分はなんてこううんなのだろと神に感謝したものだ。
しかしその彼は今、茶色い柔らかな女性の髪を幸せそうな顔ですくっている。
その髪の持ち主はマリア・フロランティル男爵令嬢である。
小動物のように愛らしい彼女のぱっちりした目には淡い茶色の瞳が輝き、頬と唇は淡いピンクの花が咲いたかのような色合いで可愛らしい。
アルベルト様は婚約者の私にとても冷たかった。
マリアさんにはいつも微笑みを絶やさない彼が、私を鋭い冷ややかな視線で見てくると心が凍りそうだった。
周りの人に2人がダンスパーティーに出かけていた、手を繋いで歩いていた、、そう報告される度に自分は何なのだろうと涙を流した。
しかしどんなに彼女と仲良くしても、結婚する相手は私である。いつか私の事を見てくれるはずだと、王妃教育に励んできたし、王政も学んだ。
アルベルト様の役に立てればと苦手な武術や剣術、そして魔法の特訓もした。
周りの令嬢達が学園生活で友達と遊んでいるのを何度羨ましいと思ったか分からない。それでも、いつかアルベルト様に褒めてもらえればとその一心だけで努力してきたのだ。
しかし、今日この場で王様の言葉を聞き、私は絶望の淵へと立たされる事となる。
大勢の前で演説した後、王は私と、私に仕えてくれているフローラ・レイバンス男爵令嬢、そして近衛騎士団長のミカエル様を呼び出した。
私は嫌な予感を感じていた。
アルベルト様はこの場にはおらず、先程王の演説が終わった後マリアさんの腰に手を回し、2人でどこかへ立ち去る姿が見えた。
「お前達を呼んだのは、人質になって貰いたいからだ。」
王は前置きも無しにそう言った。数秒の沈黙の後、ミカエル様か叫んだ。
「なぜこの私が!今の騎士団をまとめられるのは私の他にいない!」
ミカエル様は取り乱しながらそう言った。
しかし私は分かっていた。ミカエル様は平民の叩き上げであり、功績を残した事で騎士団長まで上り詰めたが、彼を良く思わない者は多い。
近衛騎士団は貴族の三男や四男が多く在籍しているのだが、そんな者達は平民のミカエル様をバカにしている。
今回ミカエル様が人質に抜擢されたのは、そんな者達の口添えだろう。彼の悪い噂を王様に有る事無い事言ったのだろうと容易に予測出来た。
「ミカエルよ、お前は賢い人間だ。今回魔物の国へ行く人質達は、残された全ての人間達の運命を握っている。お前達の振る舞い1つで如何様にもなってしまうのだぞ?ナタリー嬢よ、あなたは我が息子の妻にしようと思っていた程の人間だ。あなたならば向こうでも上手に立ち振る舞えるだろう。」
有無を言わせぬバゼルハイド王の言葉に、ミカエル様は膝を折り黙り込んでしまった。しかし到底納得しているとは思えない顔をしている。
「王様、恐れながら1つお願いがございます。」
私が口を開いた事で周りが騒めく。今は使われていない古城の中にいるのだが、私達3人は国王の側近達に取り囲まれている。
「ナタリー嬢、申してみよ。」
「ありがとうございます。向こうではどのような扱いをされるか分かりません。自分の事は自分で出来ますので、どうかフローラを人質から外しては下さいませんか?」
私の言葉にフローラが目を見開いた。彼女の瞳に見る見る間に涙が溜まり、勢い良く首をブンブンと振ったが、私は見ないように努めた。
「しかしそなたは公爵家の令嬢であろう?メイドや小間使いに囲まれていただろうに、一人で生きていけるのか?」
「はい、陛下。自分の事は自分でとお母様にそう教えられ生きて参りました。自分の事は自分で出来ます。どうかフローラに後慈悲をお願い致します。」
私は美しい礼では無く、必死に頭を下げた。無作法なのかもしれないが、今こんな時に王族や令嬢などそんな事は何の役にも立たないのだ。
「分かった。出発は早ければ早い方が良い。明日にも発ってくれるか?」
「分かりました。」
私はそう言ったが、ミカエル様は言葉を発しなかった。
王様のいる部屋を出ると私の後ろを転がるように走りながらフローラが付いて来る。
「ナタリー様!!私は付いて行きます!!」
私が振り向くと、フローラの瞳に溜まっていた涙がポロポロと零れ落ちた。
彼女はクリクリの赤毛に赤い瞳、色が白く妖艶な雰囲気があり異性からとてもモテるのだ。私より1歳年上の彼女はもう17歳、ここに残り旦那様になる方を探し家族を持つのが彼女の幸せだと私はそう思っていた。
「フローラ、私はアルベルト様に捨てられたのよ。マリア様と幸せになるのに私が邪魔だったのだわ。それで人質に選ばれたのだとそう思うわ。」
「ナタリー様、、」
「厄介者を追いやりたい王様にとって、今回の魔王の提案は渡りに船だったのよ。沈むと分かっている泥舟にあなたを連れて行く訳には「ナタリー様、私はあなたに仕える時に、死ぬまで側にとそう言ったはずです。」
フローラの顔は真剣であった。
フローラが他の令嬢に虐められている所を私が助けてから、彼女は私を慕うようになった。
いずれ王妃になるだろう私に仕えたのは、私の側にいたいと言う彼女の願いを叶えるのと、行事見習いを兼ねてだったのだ。
「死ぬかもしれないわよ?」
「構いません。」
「家族にだってもう会えないし、新しい家族だって持てないわ。」
「構いません。」
「それに、、それに、、」
「ナタリー様、お側に。」
フローラはそう言って私を抱きしめた。私はいつの間にか泣き出してしまっていたのだった。
フローラの気持ちが嬉しかった。そしてあんなにも努力したのにも関わらず、アルベルト様に見向きもされずに捨てられたのが悲しかった。
「フローラ、、ありがとう。」
「ナタリー様、、お側にと約束しましたから。」
涙で歪む世界でフローラだけが輝いて見え、とても温かい気持ちに包まれた。
私はこうして人質になった。
急に何だと思うかもしれないが、私の世界の話しをする上で魔物の説明は必要不可欠だ。
魔物達は見た目こそ恐ろしい者が多いが、ほとんどの者が温厚な性格で平和を愛する種族だった。
一部の人間達はそんな魔物達を腰抜けだと決めつけ、侮り、魔物達が暮らしている国に攻め入った。
しかし魔物達は、人間の力では到底かなわない程、圧倒的に強かったのだ。
人間達は攻め入った事を後悔したが、時すでに遅かった。魔物の中でも力の弱い種族を皆殺しにしていたのだ。
怒り狂った魔物達は攻め入った兵士達を1人残らず殺した後、人間達が住む大陸へと進行していった。
この世界は小さな島国を除くと5つの大陸に分けられるのだが、魔物達はそれまで1つの大陸で静かに暮らしていた。
しかし、進行した魔物達は4つの大陸を占領し、生き延びた人間達は残り1つの大陸へと逃れる事となった。
もう滅びる道しか残されていないのだと人間達が死を覚悟した時、魔物達を束ねる魔王がある提案をしてきた。
残された大陸だけでこれから静かに暮らしていくならば、これ以上人間に手出しはしないと。
しかし、人間達の言葉だけでは信用出来ないので、人質を差し出す事を条件にした。
人間達が今いる大陸には、各国の民が集まっているので、言葉や文字といった文化が皆違っており、話し合いは難航していた。
その上、貴族社会の階級差別が根強く残る国が多く、プライドの高い者同士がぶつかり合い、一向に決まらない話し合いは暗礁に乗りかけていた。
しかし、そこで手腕を発揮した者がいた。
魔物達が住む大陸を除く、四大陸の中で一番勢力の強い国を支配していたバゼルハイド王であった。
もう彼は60を超えているのだが、背丈も高く筋骨隆々であり、神話に出て来る神を思わせるその雰囲気も相まって、皆彼の言葉に耳を傾けた。
「再建の間、我が国ハーベスターの王であるこのバゼルハイドが皆の指揮を取る。異論のある者は今ここで名乗り出ろ!」
この大陸に住む人間達を導いていくのは茨の道でしかない。どんなに見栄を張っていても、誰も彼に代わり民を率いて行きたい者などいなかったのだ。
私、ナタリー・コーベルハイド公爵令嬢もハーベスター国で暮らしていた。
来月には16歳になり、我が国では成人に当たる歳を迎える所だった。
国王バゼルハイドの息子、第一王子のアルベルト様は私の婚約者である。
同い年の私達は、二人が成人を迎えた後に結婚する事が決まっていた。
しかし魔物との戦争が始まってしまい、それどころでは無くなってしまったのだ。
バゼルハイド王の横に立つアルベルト様を見つめる私の顔は悲しみで歪んでいた。
アルベルト様は美しい容姿をしている。
白く美しく肌に、彫りの深い顔立ち、濃紺の長い髪を三つ編みにし、切れ長の美しい目には同じ濃紺の瞳が収まっている。
彼と婚約を結んだ時、私は自分はなんてこううんなのだろと神に感謝したものだ。
しかしその彼は今、茶色い柔らかな女性の髪を幸せそうな顔ですくっている。
その髪の持ち主はマリア・フロランティル男爵令嬢である。
小動物のように愛らしい彼女のぱっちりした目には淡い茶色の瞳が輝き、頬と唇は淡いピンクの花が咲いたかのような色合いで可愛らしい。
アルベルト様は婚約者の私にとても冷たかった。
マリアさんにはいつも微笑みを絶やさない彼が、私を鋭い冷ややかな視線で見てくると心が凍りそうだった。
周りの人に2人がダンスパーティーに出かけていた、手を繋いで歩いていた、、そう報告される度に自分は何なのだろうと涙を流した。
しかしどんなに彼女と仲良くしても、結婚する相手は私である。いつか私の事を見てくれるはずだと、王妃教育に励んできたし、王政も学んだ。
アルベルト様の役に立てればと苦手な武術や剣術、そして魔法の特訓もした。
周りの令嬢達が学園生活で友達と遊んでいるのを何度羨ましいと思ったか分からない。それでも、いつかアルベルト様に褒めてもらえればとその一心だけで努力してきたのだ。
しかし、今日この場で王様の言葉を聞き、私は絶望の淵へと立たされる事となる。
大勢の前で演説した後、王は私と、私に仕えてくれているフローラ・レイバンス男爵令嬢、そして近衛騎士団長のミカエル様を呼び出した。
私は嫌な予感を感じていた。
アルベルト様はこの場にはおらず、先程王の演説が終わった後マリアさんの腰に手を回し、2人でどこかへ立ち去る姿が見えた。
「お前達を呼んだのは、人質になって貰いたいからだ。」
王は前置きも無しにそう言った。数秒の沈黙の後、ミカエル様か叫んだ。
「なぜこの私が!今の騎士団をまとめられるのは私の他にいない!」
ミカエル様は取り乱しながらそう言った。
しかし私は分かっていた。ミカエル様は平民の叩き上げであり、功績を残した事で騎士団長まで上り詰めたが、彼を良く思わない者は多い。
近衛騎士団は貴族の三男や四男が多く在籍しているのだが、そんな者達は平民のミカエル様をバカにしている。
今回ミカエル様が人質に抜擢されたのは、そんな者達の口添えだろう。彼の悪い噂を王様に有る事無い事言ったのだろうと容易に予測出来た。
「ミカエルよ、お前は賢い人間だ。今回魔物の国へ行く人質達は、残された全ての人間達の運命を握っている。お前達の振る舞い1つで如何様にもなってしまうのだぞ?ナタリー嬢よ、あなたは我が息子の妻にしようと思っていた程の人間だ。あなたならば向こうでも上手に立ち振る舞えるだろう。」
有無を言わせぬバゼルハイド王の言葉に、ミカエル様は膝を折り黙り込んでしまった。しかし到底納得しているとは思えない顔をしている。
「王様、恐れながら1つお願いがございます。」
私が口を開いた事で周りが騒めく。今は使われていない古城の中にいるのだが、私達3人は国王の側近達に取り囲まれている。
「ナタリー嬢、申してみよ。」
「ありがとうございます。向こうではどのような扱いをされるか分かりません。自分の事は自分で出来ますので、どうかフローラを人質から外しては下さいませんか?」
私の言葉にフローラが目を見開いた。彼女の瞳に見る見る間に涙が溜まり、勢い良く首をブンブンと振ったが、私は見ないように努めた。
「しかしそなたは公爵家の令嬢であろう?メイドや小間使いに囲まれていただろうに、一人で生きていけるのか?」
「はい、陛下。自分の事は自分でとお母様にそう教えられ生きて参りました。自分の事は自分で出来ます。どうかフローラに後慈悲をお願い致します。」
私は美しい礼では無く、必死に頭を下げた。無作法なのかもしれないが、今こんな時に王族や令嬢などそんな事は何の役にも立たないのだ。
「分かった。出発は早ければ早い方が良い。明日にも発ってくれるか?」
「分かりました。」
私はそう言ったが、ミカエル様は言葉を発しなかった。
王様のいる部屋を出ると私の後ろを転がるように走りながらフローラが付いて来る。
「ナタリー様!!私は付いて行きます!!」
私が振り向くと、フローラの瞳に溜まっていた涙がポロポロと零れ落ちた。
彼女はクリクリの赤毛に赤い瞳、色が白く妖艶な雰囲気があり異性からとてもモテるのだ。私より1歳年上の彼女はもう17歳、ここに残り旦那様になる方を探し家族を持つのが彼女の幸せだと私はそう思っていた。
「フローラ、私はアルベルト様に捨てられたのよ。マリア様と幸せになるのに私が邪魔だったのだわ。それで人質に選ばれたのだとそう思うわ。」
「ナタリー様、、」
「厄介者を追いやりたい王様にとって、今回の魔王の提案は渡りに船だったのよ。沈むと分かっている泥舟にあなたを連れて行く訳には「ナタリー様、私はあなたに仕える時に、死ぬまで側にとそう言ったはずです。」
フローラの顔は真剣であった。
フローラが他の令嬢に虐められている所を私が助けてから、彼女は私を慕うようになった。
いずれ王妃になるだろう私に仕えたのは、私の側にいたいと言う彼女の願いを叶えるのと、行事見習いを兼ねてだったのだ。
「死ぬかもしれないわよ?」
「構いません。」
「家族にだってもう会えないし、新しい家族だって持てないわ。」
「構いません。」
「それに、、それに、、」
「ナタリー様、お側に。」
フローラはそう言って私を抱きしめた。私はいつの間にか泣き出してしまっていたのだった。
フローラの気持ちが嬉しかった。そしてあんなにも努力したのにも関わらず、アルベルト様に見向きもされずに捨てられたのが悲しかった。
「フローラ、、ありがとう。」
「ナタリー様、、お側にと約束しましたから。」
涙で歪む世界でフローラだけが輝いて見え、とても温かい気持ちに包まれた。
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