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変わらない日々からの変化

3話

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それから数時間仕事をして、もらった仕事が終わったころにヒステリ様が帰ってきた音がした。

「ユリアス、ただいま帰ったよ」

「おかえりなさい、お父様」

執務室では基本的にヒステリ様と二人なので、お父様と呼ぶように言われた。ここでしか、呼べないともいうが。

「仕事は終わったかい?」

「はい、こちらです」

「ありがとう、これが次の仕事ね」

「はい、わかりました」

今日の仕事はいつもより少ないのでたくさん寝れそうだ。

こんなことが日常になってから私の口数も減ってきた気がする。多くのことは仕事の中で知ることができたし妹の授業に変わりに出ることも多かったから常識も知っているしそこら辺の人よりも頭がいいと思っている。

でも、いくら頭がよくたって私はこの容姿で自信が付くことはない。だからなのかこんなにひどいことをされてきたのにヒステリ様に希望を出してしまうのかもしれない。

「そうだ、今日はユリアスも一緒に食事をとろう」

「えっ、良いんですか?」

「もちろん、それに知らせたいこともあるしね」

「はい、わかりました!」

食事を一緒にとることができるだなんてはじめてのことだ。ついに、家族の一員として認めてくれたのだろうか。それなら嬉しい。

「さて、今日も鞭を打たれたそうだね。かわいそうに……」

そう言ってヒステリ様は私に近寄って肩を撫でた。

「今日も薬を塗ってあげよう。こちらにおいで、ユリアス」

ヒステリ様の手には塗り薬があったが、目は私に欲情していた。

いつからかはわからないがヒステリ様は私に性欲をいだくようになった。私を触る手は温かいものから気持ち悪いものになり、言葉もねっとりとした感じになった。もちろん、性的なことはされていないと思いたい。

生まれてこの方性欲というものを感じるどころか、感情を失いつつあるのでそう言ったことに鈍感になっているのだろうと思う。こんな状態な私は愛されることも感じられないのではないかと心配になる。

「全く、娘も妻もこんなに傷をつけなくてもユリアスはいい子のにな」

そう言ってはいるがヒステリ様は決して止めることはしない。飴と鞭ということなのだろう。

「このくらいでいいだろう。ユリウスは食事の時間まで部屋にいなさい」

「はい、ありがとうございました」

そう言って私は自分の部屋に戻った。

部屋に戻って食事の時間までもらった仕事を少しでも終わらせておく。食事の時間が少しワクワクしてしまう。知らせが私とっていいものなことを願って書類に目を通す。
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