君の瞳から流れる涙の色は

夏目ゆうじん✌︎('ω')✌︎

文字の大きさ
上 下
8 / 18
変わらない日々からの変化

3話

しおりを挟む

それから数時間仕事をして、もらった仕事が終わったころにヒステリ様が帰ってきた音がした。

「ユリアス、ただいま帰ったよ」

「おかえりなさい、お父様」

執務室では基本的にヒステリ様と二人なので、お父様と呼ぶように言われた。ここでしか、呼べないともいうが。

「仕事は終わったかい?」

「はい、こちらです」

「ありがとう、これが次の仕事ね」

「はい、わかりました」

今日の仕事はいつもより少ないのでたくさん寝れそうだ。

こんなことが日常になってから私の口数も減ってきた気がする。多くのことは仕事の中で知ることができたし妹の授業に変わりに出ることも多かったから常識も知っているしそこら辺の人よりも頭がいいと思っている。

でも、いくら頭がよくたって私はこの容姿で自信が付くことはない。だからなのかこんなにひどいことをされてきたのにヒステリ様に希望を出してしまうのかもしれない。

「そうだ、今日はユリアスも一緒に食事をとろう」

「えっ、良いんですか?」

「もちろん、それに知らせたいこともあるしね」

「はい、わかりました!」

食事を一緒にとることができるだなんてはじめてのことだ。ついに、家族の一員として認めてくれたのだろうか。それなら嬉しい。

「さて、今日も鞭を打たれたそうだね。かわいそうに……」

そう言ってヒステリ様は私に近寄って肩を撫でた。

「今日も薬を塗ってあげよう。こちらにおいで、ユリアス」

ヒステリ様の手には塗り薬があったが、目は私に欲情していた。

いつからかはわからないがヒステリ様は私に性欲をいだくようになった。私を触る手は温かいものから気持ち悪いものになり、言葉もねっとりとした感じになった。もちろん、性的なことはされていないと思いたい。

生まれてこの方性欲というものを感じるどころか、感情を失いつつあるのでそう言ったことに鈍感になっているのだろうと思う。こんな状態な私は愛されることも感じられないのではないかと心配になる。

「全く、娘も妻もこんなに傷をつけなくてもユリアスはいい子のにな」

そう言ってはいるがヒステリ様は決して止めることはしない。飴と鞭ということなのだろう。

「このくらいでいいだろう。ユリウスは食事の時間まで部屋にいなさい」

「はい、ありがとうございました」

そう言って私は自分の部屋に戻った。

部屋に戻って食事の時間までもらった仕事を少しでも終わらせておく。食事の時間が少しワクワクしてしまう。知らせが私とっていいものなことを願って書類に目を通す。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

英雄の帰還。その後に

亜桜黄身
BL
声はどこか聞き覚えがあった。記憶にあるのは今よりもっと少年らしい若々しさの残る声だったはずだが。 低くなった声がもう一度俺の名を呼ぶ。 「久し振りだ、ヨハネス。綺麗になったな」 5年振りに再会した従兄弟である男は、そう言って俺を抱き締めた。 ── 相手が大切だから自分抜きで幸せになってほしい受けと受けの居ない世界では生きていけない攻めの受けが攻めから逃げようとする話。 押しが強めで人の心をあまり理解しないタイプの攻めと攻めより精神的に大人なせいでわがままが言えなくなった美人受け。 舞台はファンタジーですが魔王を倒した後の話なので剣や魔法は出てきません。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

あなたが愛してくれたから

水無瀬 蒼
BL
溺愛α×β(→Ω) 独自設定あり ◇◇◇◇◇◇ Ωの名門・加賀美に産まれたβの優斗。 Ωに産まれなかったため、出来損ない、役立たずと言われて育ってきた。 そんな優斗に告白してきたのは、Kコーポレーションの御曹司・αの如月樹。 Ωに産まれなかった優斗は、幼い頃から母にΩになるようにホルモン剤を投与されてきた。 しかし、優斗はΩになることはなかったし、出来損ないでもβで良いと思っていた。 だが、樹と付き合うようになり、愛情を注がれるようになってからΩになりたいと思うようになった。 そしてダメ元で試した結果、βから後天性Ωに。 これで、樹と幸せに暮らせると思っていたが…… ◇◇◇◇◇◇

白陽の残骸

iroha
BL
かつて神子として期待され、城に連れられてきた過去のある翡翠は、異世界からやって来たという本物の『白の神子』に今は仕えている。 うるさい周囲はいるものの、可愛らしい主人に仕えられて満足している翡翠だが、自分にだけ態度を変えてくる男のことが、煩わしいと思いながらも密かに大好きで――。 人のふりをしている人外×神子に仕える少年(もだもだ気味)のなんちゃって中華風異世界ファンタジー。 ※スピンオフ作品ではありません(異世界トリップした少年に仕える少年が主人公の話になります)。

秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~

めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆ ―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。― モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。 だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。 そう、あの「秘密」が表に出るまでは。

美しき父親の誘惑に、今宵も息子は抗えない

すいかちゃん
BL
大学生の数馬には、人には言えない秘密があった。それは、実の父親から身体の関係を強いられている事だ。次第に心まで父親に取り込まれそうになった数馬は、彼女を作り父親との関係にピリオドを打とうとする。だが、父の誘惑は止まる事はなかった。 実の親子による禁断の関係です。

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

婚約破棄された悪役令息は従者に溺愛される

田中
BL
BLゲームの悪役令息であるリアン・ヒスコックに転生してしまった俺は、婚約者である第二王子から断罪されるのを待っていた! なぜなら断罪が領地で療養という軽い処置だから。 婚約破棄をされたリアンは従者のテオと共に領地の屋敷で暮らすことになるが何気ないリアンの一言で、テオがリアンにぐいぐい迫ってきてーー?! 従者×悪役令息

処理中です...