君の瞳から流れる涙の色は

始まりは

2話

私たちは馬車に乗って孤児院をあとにしてしばらくしてヒステリ様の口が開いた。

「さて、これからのことを話そうか」

「はい、ヒステリ様」

「これからは、私のことはお父様と呼んでくれないかい？」

「わかりました、ヒ、お父様」

「いい子だ、ユリアス」

そういってお父様は私の頭をなでてくれた。頭をなでてもらったのも、もちろん初めてのことだったので少し驚いてしまった。

「さて、これから君の今後のことを話そうと思う」

「はい、お父様」

お父様はそういって私に今後の私の立場というものと教えられた。その言葉をとてもやさしく言うものだから私はそれがとても最低で配慮されているものではないことに気づくことができなかった。

「君はこれから私の家で済むことになるが家族といっても仮の者でしかない。だから、本当の家族になるための試験をしないといけないんだ」

「えっ、本当の家族ですか？」

「そう、本当の家族は一緒にご飯を食べたり遊んだり買い物をするものだけど君はまだそんなことができないんだ」

「わかりました、なにをすればいいんですか？」

「いい子だね、ユリアスは」

今まで家族がいたことなければ人の感情をよくわかっていなかった私は、それが本当のことなんだと思いこんでしまった。特に悪の感情しか知らなかったから感情に偏りを持ってしまっていた。

「君には私の家で家事をしてもらいながら商会で仕事をしてもらう」

「家事や仕事ですか？家事は孤児院でやっていましたからなんとなくできますけど、仕事はやったことないので、できるかわかりません……」

「大丈夫、教えてあげるから。それに、できないできるじゃなくて、やるんだよ」

「はい」

一瞬お父様の顔が孤児院での院長先生の顔と重なって見えた。そんなころあるわけがないのに……

「さて、私の本当の家族のことも教えておいたあげよう」

「はい……」

少し傲慢な言葉使いだったが私はそんな言葉使いしか知らなかったので普通ことだと思ってそのままお父様の言葉を聞いた。
お父様言うには、本当のお家族には妹とお母様がいるらしい。しかし、妹のことは様をつけることとお母様のことをお母様と呼んではいけないらしい。そして、お父様のことも人の目があうときはヒステリ様と呼ぶことも言われた。なんでも、私は本当の家族ではないからまだそう呼んではいけないらしい。

「わかったかい？ちゃんと守らないとお仕置きしないといけなくなるんだつやんと守るんだよ」

「わかりました、お父様」

「ユリアス、はいい子だね」

そういって、お父様は私の頭をなでた。