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EP.1 さよなら世界、こんにちは異世界
008
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side:M
魔法陣が現れて『キタコレ!!異世界転移じゃない!?』なんて思った瞬間に身体に激痛が走って意識を手放した。
いや、ちょっと待って。
私が知ってる異世界転生と違う!
私は事故ってないし激痛が走るのはおかしい!
魔法陣が現れたんだか、こう光った瞬間に異世界にトリップしって貴女は聖女ですこの国救ってください的なお約束パターンだと思ってたのに!!!
激痛ってなんだよ!私痛いの嫌いなんだけど!
あまりにひどい身体の痛さにぎゅっと目をつむって耐える。
この痛みは私だけじゃないみたいで、私を庇うように引き寄せてくれたオーナーも身体が痛むらしく痛みに耐えるような低い声を上げる。
しばらくすると痛みが落ち着いてきて、目を開けると……そこは真っ白な空間だった。
え、なにこれ……本当に異世界トリップ?
まじ?念願の夢がかなった!!?
あ、でもまってどうせトリップするなら新作のゲームをクリアしてからがよかったのに!
あれ、何か月も前からめっちゃ楽しみにしてたんだよね。
MMORPGでラスボスの魔王サマがめっちゃイケメンドストライクだったんだよな。
敵だけど!倒さなきゃいけないんだけどカッコいいんだよね。
「いってぇ……おい、大丈夫か?」
「わ、私は大丈夫です。オーナーは大丈夫です?」
「ああ……つか、ここは何処だ?」
オーナーも痛みが引いたのか最初に私の心配をしてくれる。
いや、オーナー優しいのはなんとなくわかってたけど、のぞき込んできた顔は怖い。
痛みでイラついてるのか痛みのせいで険しい顔になっているのかわからないが、いきなりその顔はいくら私でもびっくりする。
そんな私には気づかずオーナーは辺りをきょろきょろ見回している。
「ここは、神様のいるところです!……なんちゃって?」
どや顔で、私の願望8割なことを言ってみると、すごい怖い顔で睨まれた。
ふざけんなって顔ですかね。
マジ怖い。
「は~い、正解~☆ ここはボクの作った神域ってところだよ」
オーナーに睨まれてビビってる私の背後から、何とも明るい子供の声が聞こえた。
吃驚して振り返ろうとした私の腕をつかんで引き寄せ私を背後に庇ったオーナーは、地の底から出ているような低い声で相手を威嚇した。
「誰だ、てめぇ」
オーナー、イケメンか!
顔は怖いけど、声も怖いけどやってることはイケメンだよ?
なんてくだらない思考にのまれそうになりつつも、私は声の主が気になってオーナーの背後から顔をのぞかせてみると、そこには男の子が立っていた。
10歳~13歳くらいの男の子なんだけど、ホワイトブロンドの髪に金色の瞳で、肌の白さや瞳や髪の配色のせいかとても儚げに見える美少年だった。
「ボク?ボクは神サマだよ☆」
「はぁ!?」
「儚げ美少年なショタ神!!」
「おい!」
誰だ、と聞かれたショタ神様は、ドヤ顔で自分のことを神様だと名乗った。
そんなショタ神様にすごい怖い顔で怪訝そうな声を出したオーナーをよそに、私はついつい思ったことを素直に口に出してしまった。
そしてオーナーに一睨みされました。マジ怖い。
仕方ないと思うんだ。
だって、よくある転生モノとかでお約束な神様のいるところだと思ったわけですよ、まぁほぼほぼ私の願望だったんだけどさ。
それで、私の中のこういうときの神様はおじいちゃんとかちょっとドジなイケメンお兄さんかなって想像してたわけよ。
それが!!まさかの儚げな美人ショタときたものだから!
しかも、私の超好みときたもんだからテンション上がるよね!
この、見た目とチャラっとした喋り方のギャップがたまらん。
というわけで、ついついポロっと出ちゃうよね。
「ボクは本当に神サマだよ。キミたちのいた世界とは別の世界の神サマになるんだけどね」
「……信じられねぇな。つか、俺は神とかしんじてねぇし」
ショタ神様は私の発言をまるっと無視して話を進めようとしている。
なおも威嚇を止めないオーナーはとても怖い声とお顔なわけですが、ショタ神様はビビることなくむしろいい笑顔でオーナーを見ている。
「信じてないならどうしようもないな~。お姉さんは信じてくれる?」
「え、私も神様は信じてないけど……こういうことはあったら楽しそうだなって思ってましたよ」
私の信じていないという言葉にがくっと項垂れたショタ神様に向かって、それそれはいい笑顔だったらしい。これは、後日ショタ神様から聞いた話だけど。
「アレですよね!自分が作った世界が危機に陥ってるから救ってほしいとか、こっちの都合も考えてないような自己中極まりない理由で私たちを異世界飛ばすとかそんな感じでショタ神様が私たちをここに連れてきたんですよね!最近、小説やアニメで流行ってるやつですよね!」
「いや、違うけど」
「え??」
ドヤ顔で最近はやりの異世界転移ものの話をすると、ショタ神様は無表情で否定した。
そして、隣を見るとすごく呆れた顔をして可哀そうな子を見るような目でオーナーに見られた。
なんか、ふざけるなって怒られたり睨まれたりするよりも心にグサッと来るのはなんででしょう?
こんな顔されるくらいなら、まだ空気読めって怒られたほうがましだった気がする。
めっちゃ怖いけど。
魔法陣が現れて『キタコレ!!異世界転移じゃない!?』なんて思った瞬間に身体に激痛が走って意識を手放した。
いや、ちょっと待って。
私が知ってる異世界転生と違う!
私は事故ってないし激痛が走るのはおかしい!
魔法陣が現れたんだか、こう光った瞬間に異世界にトリップしって貴女は聖女ですこの国救ってください的なお約束パターンだと思ってたのに!!!
激痛ってなんだよ!私痛いの嫌いなんだけど!
あまりにひどい身体の痛さにぎゅっと目をつむって耐える。
この痛みは私だけじゃないみたいで、私を庇うように引き寄せてくれたオーナーも身体が痛むらしく痛みに耐えるような低い声を上げる。
しばらくすると痛みが落ち着いてきて、目を開けると……そこは真っ白な空間だった。
え、なにこれ……本当に異世界トリップ?
まじ?念願の夢がかなった!!?
あ、でもまってどうせトリップするなら新作のゲームをクリアしてからがよかったのに!
あれ、何か月も前からめっちゃ楽しみにしてたんだよね。
MMORPGでラスボスの魔王サマがめっちゃイケメンドストライクだったんだよな。
敵だけど!倒さなきゃいけないんだけどカッコいいんだよね。
「いってぇ……おい、大丈夫か?」
「わ、私は大丈夫です。オーナーは大丈夫です?」
「ああ……つか、ここは何処だ?」
オーナーも痛みが引いたのか最初に私の心配をしてくれる。
いや、オーナー優しいのはなんとなくわかってたけど、のぞき込んできた顔は怖い。
痛みでイラついてるのか痛みのせいで険しい顔になっているのかわからないが、いきなりその顔はいくら私でもびっくりする。
そんな私には気づかずオーナーは辺りをきょろきょろ見回している。
「ここは、神様のいるところです!……なんちゃって?」
どや顔で、私の願望8割なことを言ってみると、すごい怖い顔で睨まれた。
ふざけんなって顔ですかね。
マジ怖い。
「は~い、正解~☆ ここはボクの作った神域ってところだよ」
オーナーに睨まれてビビってる私の背後から、何とも明るい子供の声が聞こえた。
吃驚して振り返ろうとした私の腕をつかんで引き寄せ私を背後に庇ったオーナーは、地の底から出ているような低い声で相手を威嚇した。
「誰だ、てめぇ」
オーナー、イケメンか!
顔は怖いけど、声も怖いけどやってることはイケメンだよ?
なんてくだらない思考にのまれそうになりつつも、私は声の主が気になってオーナーの背後から顔をのぞかせてみると、そこには男の子が立っていた。
10歳~13歳くらいの男の子なんだけど、ホワイトブロンドの髪に金色の瞳で、肌の白さや瞳や髪の配色のせいかとても儚げに見える美少年だった。
「ボク?ボクは神サマだよ☆」
「はぁ!?」
「儚げ美少年なショタ神!!」
「おい!」
誰だ、と聞かれたショタ神様は、ドヤ顔で自分のことを神様だと名乗った。
そんなショタ神様にすごい怖い顔で怪訝そうな声を出したオーナーをよそに、私はついつい思ったことを素直に口に出してしまった。
そしてオーナーに一睨みされました。マジ怖い。
仕方ないと思うんだ。
だって、よくある転生モノとかでお約束な神様のいるところだと思ったわけですよ、まぁほぼほぼ私の願望だったんだけどさ。
それで、私の中のこういうときの神様はおじいちゃんとかちょっとドジなイケメンお兄さんかなって想像してたわけよ。
それが!!まさかの儚げな美人ショタときたものだから!
しかも、私の超好みときたもんだからテンション上がるよね!
この、見た目とチャラっとした喋り方のギャップがたまらん。
というわけで、ついついポロっと出ちゃうよね。
「ボクは本当に神サマだよ。キミたちのいた世界とは別の世界の神サマになるんだけどね」
「……信じられねぇな。つか、俺は神とかしんじてねぇし」
ショタ神様は私の発言をまるっと無視して話を進めようとしている。
なおも威嚇を止めないオーナーはとても怖い声とお顔なわけですが、ショタ神様はビビることなくむしろいい笑顔でオーナーを見ている。
「信じてないならどうしようもないな~。お姉さんは信じてくれる?」
「え、私も神様は信じてないけど……こういうことはあったら楽しそうだなって思ってましたよ」
私の信じていないという言葉にがくっと項垂れたショタ神様に向かって、それそれはいい笑顔だったらしい。これは、後日ショタ神様から聞いた話だけど。
「アレですよね!自分が作った世界が危機に陥ってるから救ってほしいとか、こっちの都合も考えてないような自己中極まりない理由で私たちを異世界飛ばすとかそんな感じでショタ神様が私たちをここに連れてきたんですよね!最近、小説やアニメで流行ってるやつですよね!」
「いや、違うけど」
「え??」
ドヤ顔で最近はやりの異世界転移ものの話をすると、ショタ神様は無表情で否定した。
そして、隣を見るとすごく呆れた顔をして可哀そうな子を見るような目でオーナーに見られた。
なんか、ふざけるなって怒られたり睨まれたりするよりも心にグサッと来るのはなんででしょう?
こんな顔されるくらいなら、まだ空気読めって怒られたほうがましだった気がする。
めっちゃ怖いけど。
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