悪役聖女は勇者になんかざまぁさせない

とみっしぇる

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9 最終話 ざまぁしてやる

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聖女アメリアは起きない。

魔王討伐の日から眠ったまんまだ。

魔王討伐から2ヶ月たったけど、私こと賢者ハルナは聖女アメリアの元に残っている。

理由は、こういう馬鹿は嫌いじゃないから。

400年前、聖女アイーシャを死なせてしまった賢者ルカが作った蘇生装置で、辛うじて命を繋いでいる。

「太陽の指輪」を使って魔力回路が完全に破損され、アメリアは老婆の姿をしているが、これは一気に生命力を吸われた影響。魔力水を満たし、ある処置をしていけば回復する見込みもある。


今は自力では息もできない。

だけど・・

「ハルナ、なに独り言言ってるの」
「あれシスティーナ、まだデンスにいたの」
「クリスもいるから、仕方なくいるのよ」

そう、勇者、拳聖も残っている。
実は賢者ルカが作った聖女を蘇生する装置は80パーセントで完成なのだ。

「400年前の賢者も面倒なもん作ってくれたよね」
「そうだよ。最低でも5日に1回は私の「軟気」、勇者の「聖気」を装置に流して、賢者が調整するように作るなんて」

「復讐したかったら、故郷に帰ればいいよ。そしたらアメリア、あっという間にお陀仏だから」
「そんなことしたら、勇者の魂が反応するのよ。女神が勝手に四人の魂をつないでるから。魔王戦でアメリアが倒れたときも、みんなに危険信号が鳴りまくったでしょ。迷惑ったらありゃしない」

「システィーナ、今日も信号が鳴らないから、アメリア大丈夫って言ってたでしょ」

「言ってない!」

こんな風に言ってるけど、システィーナとクリスも私と同じように故郷から婚約者を呼んで、こっちで籍を入れた。

口で何だかんだと言っても、アメリアを救う気だ。

「早く起きなよアメリア」
「だね、勝ち逃げなんて許さない」
「一人で暴走したことを断罪してあげないと」



「起きたらたっぷり「ざまあ」してあげるから」





   終わり


    
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