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291 毒と薬は紙一重
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いよいよ冬の柔道選手権・県予選の準決勝だ。
嫁ズのひとりカオル擁する茶薔薇も勝ち上がった。
準々決勝を応援した勇太ファミリーは、そのまま茶薔薇陣営に残った。
勇太の仕事は準決勝が終わってからスタートなので、今の時間はフリーだ。
すると、次第に茶薔薇陣営に女の子が増え始めた。
「うわあ、ちょっと複雑。増えた女の子は、私達の応援じゃなくて、応援に来てくれた勇太君を見に来たんだよね」
「ごめんよ~。ツバキ部長」
「ふふふ。冗談よ、みんな度胸付くし、恩恵もあるからね」
ツバキ部長が笑っている。
勇太に関わりだして、こういう状況にも慣れた。そして思わぬメリットもあった。
女子にだけど、前以上にモテてている。
カオル、ハラダ、他の部員と同様に声援が多いのは嬉しい。やる気も出る。
ハラダにはお弁当やお菓子の差し入れも増えた。
ただ、今日はひとりだけテンションが違う。
ビビりがいる。
1年生ながら次期エース候補として抜擢され、県予選は中堅に固定されているウメカワアヤノだ。
かなりのあがり症。
昨日から試合に出て3勝1敗。パラ高のキヨミ戦で観衆の多さに緊張して負けた。
まさに今、似たような状況が作られつつある。勇太見物のギャラリーが周囲に寄ってきた。
前の試合の前、カオル達先輩の面々に「任せてください!」と言った。そしては豪快に1本勝ちした人間と同一人物と思えない。
だからカオルは勇太に声をかけた。
「勇太~、アヤノの緊張しい、何とかなんねえかな」
「うん、彼女が実力出せないのは勿体ない。励ましてみるよ」
これはダメだ。柔道の試合で大きく動じたことがないカオル。1度は天に召されて神経が太くなった勇太。
周囲を見回して「あわわ」と呟くウメカワアヤノに勇太は近付いた。
そして、いきなり両方の頬を手で包んだ。
「にゃ、にゃ、にゃにを、ゆうたしゃん・・」
パラ高1年をリラックスさせるときに、やっている。
効果ありかと思った。
だけど、それは勇太慣れしている女の子相手だからカンフル剤になる。
勇太免疫がない女子には劇薬なのだ。
「ふぎゅるる~~」
ウメカワは顔を真っ赤にして、腰を落としてしまった。
同性から刺すような視線をたっぷり浴びたウメカワのメンタルに、勇太の頬ふにふには、毒として作用した。
「わわわ、アヤノしっかりしろ」
「ウメカワさん、どっか痛かったか!」
勇太に抱き起こされて、なおさらパニックになった。
「毒と薬は紙一重だよ、勇太」とルナ。
勇太の最初の励まし攻撃でウメカワは大きなダメージを受けた。
失敗。
「キスしてあげれば?」
麗子の意見は最後まで聞くまでもなく、却下。
とにかく勇太はウメカワの太い腰に手を回して立たせた。
きゃ~の歓声に、パニックが収まらないウメカワ。
状況を悪化させている。
時間がない。
勇太はウメカワの手をにぎにぎしたり、軽く抱き寄せて背中パンパン。
そして最後に励ました。
「・・頑張って」
耳元でささやくと、もうウメカワの頭から蒸気が見えるくらいの感じになった。
試合が始まった。そして結果は4勝1引き分け。
中堅ウメカワは試合開始からの1分をもたもた。
技ありを取られてピンチに陥った。最後に気を取り直して技ありを取り返して引き分け。
カオルの分析では、相手に申し訳ないけど、ウメカワの実力なら軽く勝ててよかった相手だそうだ。
今回に限っては、勇太の存在がマイナスに働いてしまった。
ネット上では、勇太の行動が応援なのか妨害なのか分からないと、賛否両論。
そして勇太とカオルは、ツバキ部長から揃って正座させられた。
嫁ズのひとりカオル擁する茶薔薇も勝ち上がった。
準々決勝を応援した勇太ファミリーは、そのまま茶薔薇陣営に残った。
勇太の仕事は準決勝が終わってからスタートなので、今の時間はフリーだ。
すると、次第に茶薔薇陣営に女の子が増え始めた。
「うわあ、ちょっと複雑。増えた女の子は、私達の応援じゃなくて、応援に来てくれた勇太君を見に来たんだよね」
「ごめんよ~。ツバキ部長」
「ふふふ。冗談よ、みんな度胸付くし、恩恵もあるからね」
ツバキ部長が笑っている。
勇太に関わりだして、こういう状況にも慣れた。そして思わぬメリットもあった。
女子にだけど、前以上にモテてている。
カオル、ハラダ、他の部員と同様に声援が多いのは嬉しい。やる気も出る。
ハラダにはお弁当やお菓子の差し入れも増えた。
ただ、今日はひとりだけテンションが違う。
ビビりがいる。
1年生ながら次期エース候補として抜擢され、県予選は中堅に固定されているウメカワアヤノだ。
かなりのあがり症。
昨日から試合に出て3勝1敗。パラ高のキヨミ戦で観衆の多さに緊張して負けた。
まさに今、似たような状況が作られつつある。勇太見物のギャラリーが周囲に寄ってきた。
前の試合の前、カオル達先輩の面々に「任せてください!」と言った。そしては豪快に1本勝ちした人間と同一人物と思えない。
だからカオルは勇太に声をかけた。
「勇太~、アヤノの緊張しい、何とかなんねえかな」
「うん、彼女が実力出せないのは勿体ない。励ましてみるよ」
これはダメだ。柔道の試合で大きく動じたことがないカオル。1度は天に召されて神経が太くなった勇太。
周囲を見回して「あわわ」と呟くウメカワアヤノに勇太は近付いた。
そして、いきなり両方の頬を手で包んだ。
「にゃ、にゃ、にゃにを、ゆうたしゃん・・」
パラ高1年をリラックスさせるときに、やっている。
効果ありかと思った。
だけど、それは勇太慣れしている女の子相手だからカンフル剤になる。
勇太免疫がない女子には劇薬なのだ。
「ふぎゅるる~~」
ウメカワは顔を真っ赤にして、腰を落としてしまった。
同性から刺すような視線をたっぷり浴びたウメカワのメンタルに、勇太の頬ふにふには、毒として作用した。
「わわわ、アヤノしっかりしろ」
「ウメカワさん、どっか痛かったか!」
勇太に抱き起こされて、なおさらパニックになった。
「毒と薬は紙一重だよ、勇太」とルナ。
勇太の最初の励まし攻撃でウメカワは大きなダメージを受けた。
失敗。
「キスしてあげれば?」
麗子の意見は最後まで聞くまでもなく、却下。
とにかく勇太はウメカワの太い腰に手を回して立たせた。
きゃ~の歓声に、パニックが収まらないウメカワ。
状況を悪化させている。
時間がない。
勇太はウメカワの手をにぎにぎしたり、軽く抱き寄せて背中パンパン。
そして最後に励ました。
「・・頑張って」
耳元でささやくと、もうウメカワの頭から蒸気が見えるくらいの感じになった。
試合が始まった。そして結果は4勝1引き分け。
中堅ウメカワは試合開始からの1分をもたもた。
技ありを取られてピンチに陥った。最後に気を取り直して技ありを取り返して引き分け。
カオルの分析では、相手に申し訳ないけど、ウメカワの実力なら軽く勝ててよかった相手だそうだ。
今回に限っては、勇太の存在がマイナスに働いてしまった。
ネット上では、勇太の行動が応援なのか妨害なのか分からないと、賛否両論。
そして勇太とカオルは、ツバキ部長から揃って正座させられた。
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