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279 婚約者対決は前世でも珍しい
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なぜか勇太&ルナのパラ高柔道部、カオルの茶薔薇学園の試合の前に、ファミリー分裂?が決まってしまった。
もうすぐパラ高と茶薔薇学園の試合だ。
ただでさえ、今回は勇太ファミリーが全員そろっている。おもに歌で全員が有名になってしまった。
会場には『パンの歌』の純子に会いたくて小学生まで来ている。
普通の武道館に2000人以上も人が来てしまった。選手も合わせてごったがえ。
そこに加えて伊集院君が応援に参上。
収集がつかなくなったところに、麗子がファミリーを4対4に分けて、勝負を言い出した。
周囲の動揺をよそに、麗子の提案は勝った陣営が負けた陣営の誰かに何かお願いをするというもの。
順当に茶薔薇が勝ったとき、カオルとかならソフトなお願いになりそうだ。だけど、麗子は何を言い出すか読めない。勇太、ルナ、真子、嘉奈の4人は、早くも麗子を警戒している。
腐った女子ギャラリーはきゃー、きゃーと騒ぐ。『肉体目当てだ』と声が出たけど、考える必要もなく全員で結婚する面々。
いずれ肉体的にも結ばれるのだから、体目当てもへったくれもない。
ただ麗子の言葉は、引火しやすいことが知られた。
◆◆
本日の最終試合が、4会場同時に始まる。
そして先鋒選手が各試合場で呼ばれたとき、茶薔薇学園のカオルが立った。そしてどよめいた。
勇太VSカオル。
秋の新人戦、ルナVSカオルに続いて婚約者対決。それも今回は希少な男子と嫁ズのひとひ。
早くも観衆の中を駆け巡っている噂では、どちらの応援をするかでファミリー8人が4対4で二つに分裂しているという。
そして注目点はカオルと勇太が本気で戦えるかということ。
3月3日のカオルの誕生日、勇太、カオル、梓、ルナと婚姻して初夜を迎える。
しかし観衆の99パーセントはそんなこと知らない。
カオルが処女でなく、もう勇太とセック●しまくりと思っている。
みんな、情を交わしたカオルと勇太は緩く、というか正攻法できれいに戦うと思っている。
試合前はそんな声も聞こえてきた。けれど何も聞こえないはど、今のカオルは集中している。
柔道に人生をかけている。
去年の8月インターハイ決勝で不知火マイコと戦ったときは、もっと観客が多かった。
けれど声援というか、きゃー、きゃーという黄色い声はインターハイの倍くらいあるけど、段々と聞こえなくなってきた。
麗子を介してカオルから勇太への伝言は、先鋒戦で戦おうというだけでなくもうひとつある。
『本当のガチで戦ってくれや』
カオルは順調にいけば、来年の冬から国際大会に出る。次回のニースではなく、その次のメルボルンオリンピックを見据えて国際大会の経験を積む。
日本柔道は強い。いつも世界選手権等で上位に入って、早々と五輪出場最大枠の2枠を国として取る。
あとは国際大会以上に熾烈な、国内大会で最大2枠を争うことになる。
その状態になったあと、次世代の有望株を国際大会に出して経験を積ませる。
世界に出ると、色々なタイプの選手がいる。総合格闘技系から転向するタイプもちらほら。
柔術系の、柔道ならラフプレイを平気でやる選手もいる。
階級を間違っているのではないかというほどのパワータイプもいる。
カオルは勇太の本領は、合気道を下地とした迎撃型。ミドルレンジにあると見ている。
その形で戦えという。
「ようしカオル、警告もらう覚悟でいくぞ」
「おう、練習では見せてくれねえ、優しさ抜きの勇太がいいぞ」
開始線に立った。
「始め!」
観衆の大半は、勇太は嫁ズとの対決だから普段通りに正面から組みにいくかと思った。けれど違った。
畳の上で滑るように脚を動かして、右に移動。カオルの左側に回った。
反応してカオルが左手で勇太をつかもうとすると、勇太は大きく離れた。勇太が組まない。
「え、勇太?」「あれ?」「勇太先輩?}
ルナをはじめ、パラ高の部員が最初に驚いた。
距離を取る勇太を追って、カオルが左手で勇太の襟を取ると、勇太もカオルの襟を取った。お互いに片腕だけの喧嘩四つの体勢。
そして同時に、無茶な体勢から投げ技に入った。
「うりゃああ!」
「こなくそ!」
ふたりして前につんのめって転んだ。そのまま場外に転がった。
「やめ、場外!」
どちらもお互いに手を貸さず、おのおの起き上がって開始線に戻った。
並んで歩いているけれど甘い空気などない。
再び開始のコールとともに、今度は正面から組み合った。
ギャラリーから声がもれる。
「ガチ?」
「勇太君、喧嘩を仕掛けてるみたい・・」
「カオルさんも承知みたいだね」
「ふたりとも怖い」
ガチすぎる婚約者対決に、戸惑いの声が上がっている。
もうすぐパラ高と茶薔薇学園の試合だ。
ただでさえ、今回は勇太ファミリーが全員そろっている。おもに歌で全員が有名になってしまった。
会場には『パンの歌』の純子に会いたくて小学生まで来ている。
普通の武道館に2000人以上も人が来てしまった。選手も合わせてごったがえ。
そこに加えて伊集院君が応援に参上。
収集がつかなくなったところに、麗子がファミリーを4対4に分けて、勝負を言い出した。
周囲の動揺をよそに、麗子の提案は勝った陣営が負けた陣営の誰かに何かお願いをするというもの。
順当に茶薔薇が勝ったとき、カオルとかならソフトなお願いになりそうだ。だけど、麗子は何を言い出すか読めない。勇太、ルナ、真子、嘉奈の4人は、早くも麗子を警戒している。
腐った女子ギャラリーはきゃー、きゃーと騒ぐ。『肉体目当てだ』と声が出たけど、考える必要もなく全員で結婚する面々。
いずれ肉体的にも結ばれるのだから、体目当てもへったくれもない。
ただ麗子の言葉は、引火しやすいことが知られた。
◆◆
本日の最終試合が、4会場同時に始まる。
そして先鋒選手が各試合場で呼ばれたとき、茶薔薇学園のカオルが立った。そしてどよめいた。
勇太VSカオル。
秋の新人戦、ルナVSカオルに続いて婚約者対決。それも今回は希少な男子と嫁ズのひとひ。
早くも観衆の中を駆け巡っている噂では、どちらの応援をするかでファミリー8人が4対4で二つに分裂しているという。
そして注目点はカオルと勇太が本気で戦えるかということ。
3月3日のカオルの誕生日、勇太、カオル、梓、ルナと婚姻して初夜を迎える。
しかし観衆の99パーセントはそんなこと知らない。
カオルが処女でなく、もう勇太とセック●しまくりと思っている。
みんな、情を交わしたカオルと勇太は緩く、というか正攻法できれいに戦うと思っている。
試合前はそんな声も聞こえてきた。けれど何も聞こえないはど、今のカオルは集中している。
柔道に人生をかけている。
去年の8月インターハイ決勝で不知火マイコと戦ったときは、もっと観客が多かった。
けれど声援というか、きゃー、きゃーという黄色い声はインターハイの倍くらいあるけど、段々と聞こえなくなってきた。
麗子を介してカオルから勇太への伝言は、先鋒戦で戦おうというだけでなくもうひとつある。
『本当のガチで戦ってくれや』
カオルは順調にいけば、来年の冬から国際大会に出る。次回のニースではなく、その次のメルボルンオリンピックを見据えて国際大会の経験を積む。
日本柔道は強い。いつも世界選手権等で上位に入って、早々と五輪出場最大枠の2枠を国として取る。
あとは国際大会以上に熾烈な、国内大会で最大2枠を争うことになる。
その状態になったあと、次世代の有望株を国際大会に出して経験を積ませる。
世界に出ると、色々なタイプの選手がいる。総合格闘技系から転向するタイプもちらほら。
柔術系の、柔道ならラフプレイを平気でやる選手もいる。
階級を間違っているのではないかというほどのパワータイプもいる。
カオルは勇太の本領は、合気道を下地とした迎撃型。ミドルレンジにあると見ている。
その形で戦えという。
「ようしカオル、警告もらう覚悟でいくぞ」
「おう、練習では見せてくれねえ、優しさ抜きの勇太がいいぞ」
開始線に立った。
「始め!」
観衆の大半は、勇太は嫁ズとの対決だから普段通りに正面から組みにいくかと思った。けれど違った。
畳の上で滑るように脚を動かして、右に移動。カオルの左側に回った。
反応してカオルが左手で勇太をつかもうとすると、勇太は大きく離れた。勇太が組まない。
「え、勇太?」「あれ?」「勇太先輩?}
ルナをはじめ、パラ高の部員が最初に驚いた。
距離を取る勇太を追って、カオルが左手で勇太の襟を取ると、勇太もカオルの襟を取った。お互いに片腕だけの喧嘩四つの体勢。
そして同時に、無茶な体勢から投げ技に入った。
「うりゃああ!」
「こなくそ!」
ふたりして前につんのめって転んだ。そのまま場外に転がった。
「やめ、場外!」
どちらもお互いに手を貸さず、おのおの起き上がって開始線に戻った。
並んで歩いているけれど甘い空気などない。
再び開始のコールとともに、今度は正面から組み合った。
ギャラリーから声がもれる。
「ガチ?」
「勇太君、喧嘩を仕掛けてるみたい・・」
「カオルさんも承知みたいだね」
「ふたりとも怖い」
ガチすぎる婚約者対決に、戸惑いの声が上がっている。
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