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272 勇太は仲間を助けてくれた人に、過剰な恩返しをする
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本当に冗談で言った。
純子&風花の助っ人ギタリスト・中戸明日香。
勇太に、特に風花を助けてくれたお礼を言われ、『曲がいいですね』と言った。
勇太には軽いノリのジョークも通じる。
だから『冗談ですよ~』と言って、勇太に笑ってもらうつもりだった。
なのに、勇太が本当に歌を作ってくれるようなムードになっている。
「え、ええ?」
明日香は驚いた。純子も風花も驚いている。
「そ、そんなジュースくれるみたいに。な、なんでですか」
「明日香さんが頼んだ仕事以上に風花さん達のサポートしてくれたでしょ。時間も割いてくれた。そのお礼」
さっき、明日香がこの世界の英語の曲を歌っていた。
シンガーソングライター志望と言っていたし、イメージに合う前世の曲を思い出した。
数少ない外国曲の引き出しの中のひとつだ。
勇太が調べた限りでは、この世界に似た曲がない。
Sが頭文字の女性歌手で、コンサートのパフォーマンスも独特なアメリカの人がヒットさせた歌曲だ。
「明日香さん、こっからのことは秘密だよ」
明日香のスマホを録画にして、セットした。ここからは配信なしで約束。
♪♪♩♪♩。勇太は前奏を簡単に口ずさんだ。
「アウツブレイク♩♪♪♪♩♪♪」
勇太の英語力では、かなりぐだぐだだ。しかし前世の病室でもよく聞いていた。フレーズとサビはきっちり覚えている。
「え、え、え」明日香は驚いている。いや、驚きすぎている。
本気で曲を作ってもらおうと思っていなかった。だけど、目の前では新曲が構築されている。
風花が、固まった明日香の代わりにギターを弾き出した。
「あ、あの、あの、勇太君・・」
「明日香さん、俺の発音が悪いし、出だしとサビの思い浮かんだスペル言うから、あとで言葉を繋げて下さい」
「は、はい、はい」
「俺ってさ、まともに楽譜を作れないの。だからひらめいた歌を歌って、風花さんに音拾ってもらって作品にしてもらってんの。その秘密だよ」
すでに明日香は3分くらい固まっていたが、今の言葉で我に帰った。
まさかの大チャンスだ。ひと通り聞いてみて、外国にも被る感じのリズムがない。
ギター曲でないけど、風花が弾いているしアコースティックギターでも、バンドでも使えるようにした曲としか思えない。
「あ、あの、この曲って純子&風花用に作っていたんじゃ・・」
「私、英語の歌ダメなんですよね・・」
てへへと笑う純子。
風花と純子にしても、助っ人のお礼にしては破格だと思う。
けれど自分たちは、明日香以上に何もしていないのに勇太に歌をもらった。
明日香は興奮しすぎている。ハッキリ言えばスカートの中がグショグショだ。
乗せたい思うフレーズも浮かんできた。勇太の曲と合わせてサビに入ると、とても力強い。
「♪₤₨♪♪stop!♪stop!!♪ahohooo!!!♪♪♪」
バンっと声、ギターが弾けて、サドンデスな終わり。
シーンとしたスタジオに強烈な余韻が残った。
これが自分のものになるのが信じられない。
ぼそっ。「これが助っ人のお礼って・・。何百倍返しなの・・」
なにげに十分に勇太の恩恵は受けている。
まず、勇太はステージに立った回数が意外と少ない。嫁ズや伊集院ファミリー、公開録画のゲストは単発の仕事。
作詞作曲した歌を披露したとき、オフィシャルの仕事で勇太と一緒に舞台に立ったのは純子、風花、そして自分しかいないのだ。
だから明日香も、色々なところで仕事の予約が入っている。
そもそも、今いるスタジオが、同業者が来たくてたまらないプレミアムスペース。そんな場所に自分は、気楽にLIMEで誘われて来ている。
スタジオ風景もたまに録画させてくれて、ネット上に流させてくれる。
それを流すのは明日香だけ。6割の称賛に4割のヘイト。
流したのは、最初の年末の音合わせから始まって2週間程度の風景。
動画は6本。
最初の動画がすでに350万回再生。これだけでも、ちょっとした稼ぎになる。勇太に還元しようと思ったら、断られた。
『俺の動画で利益が出た人には、遠慮なく使ってくれって言ってるんです』そう言って笑ってくれる。
純子&風花に無償で関わるのは、むしろ明日香からの恩返しなのだ。
明日香は正直に、それを言った。だけど勇太は遠慮せずに何でも使ってくれと言った。
「中戸さん、俺が恩を感じてるんだから貰って下さい」
頭まで下げられて、明日香は涙を流してしまった。
完成したら伊集院君に頼んで、勇太作曲、明日香作詞のイレギュラーコラボ作品として発表すると勇太が約束してくれた。
明日香は感謝ばかりだ。
それから一時間半も勇太、純子、風花も付き合ってくれて、明日香の歌が最低限の形になるまで付き合ってくれた。
どこから話が漏れたか、柔道連盟会長・鬼塚一子のはからいにより、高校柔道・冬の選手権全国大会で新曲が披露されることになった。
純子&風花の助っ人ギタリスト・中戸明日香。
勇太に、特に風花を助けてくれたお礼を言われ、『曲がいいですね』と言った。
勇太には軽いノリのジョークも通じる。
だから『冗談ですよ~』と言って、勇太に笑ってもらうつもりだった。
なのに、勇太が本当に歌を作ってくれるようなムードになっている。
「え、ええ?」
明日香は驚いた。純子も風花も驚いている。
「そ、そんなジュースくれるみたいに。な、なんでですか」
「明日香さんが頼んだ仕事以上に風花さん達のサポートしてくれたでしょ。時間も割いてくれた。そのお礼」
さっき、明日香がこの世界の英語の曲を歌っていた。
シンガーソングライター志望と言っていたし、イメージに合う前世の曲を思い出した。
数少ない外国曲の引き出しの中のひとつだ。
勇太が調べた限りでは、この世界に似た曲がない。
Sが頭文字の女性歌手で、コンサートのパフォーマンスも独特なアメリカの人がヒットさせた歌曲だ。
「明日香さん、こっからのことは秘密だよ」
明日香のスマホを録画にして、セットした。ここからは配信なしで約束。
♪♪♩♪♩。勇太は前奏を簡単に口ずさんだ。
「アウツブレイク♩♪♪♪♩♪♪」
勇太の英語力では、かなりぐだぐだだ。しかし前世の病室でもよく聞いていた。フレーズとサビはきっちり覚えている。
「え、え、え」明日香は驚いている。いや、驚きすぎている。
本気で曲を作ってもらおうと思っていなかった。だけど、目の前では新曲が構築されている。
風花が、固まった明日香の代わりにギターを弾き出した。
「あ、あの、あの、勇太君・・」
「明日香さん、俺の発音が悪いし、出だしとサビの思い浮かんだスペル言うから、あとで言葉を繋げて下さい」
「は、はい、はい」
「俺ってさ、まともに楽譜を作れないの。だからひらめいた歌を歌って、風花さんに音拾ってもらって作品にしてもらってんの。その秘密だよ」
すでに明日香は3分くらい固まっていたが、今の言葉で我に帰った。
まさかの大チャンスだ。ひと通り聞いてみて、外国にも被る感じのリズムがない。
ギター曲でないけど、風花が弾いているしアコースティックギターでも、バンドでも使えるようにした曲としか思えない。
「あ、あの、この曲って純子&風花用に作っていたんじゃ・・」
「私、英語の歌ダメなんですよね・・」
てへへと笑う純子。
風花と純子にしても、助っ人のお礼にしては破格だと思う。
けれど自分たちは、明日香以上に何もしていないのに勇太に歌をもらった。
明日香は興奮しすぎている。ハッキリ言えばスカートの中がグショグショだ。
乗せたい思うフレーズも浮かんできた。勇太の曲と合わせてサビに入ると、とても力強い。
「♪₤₨♪♪stop!♪stop!!♪ahohooo!!!♪♪♪」
バンっと声、ギターが弾けて、サドンデスな終わり。
シーンとしたスタジオに強烈な余韻が残った。
これが自分のものになるのが信じられない。
ぼそっ。「これが助っ人のお礼って・・。何百倍返しなの・・」
なにげに十分に勇太の恩恵は受けている。
まず、勇太はステージに立った回数が意外と少ない。嫁ズや伊集院ファミリー、公開録画のゲストは単発の仕事。
作詞作曲した歌を披露したとき、オフィシャルの仕事で勇太と一緒に舞台に立ったのは純子、風花、そして自分しかいないのだ。
だから明日香も、色々なところで仕事の予約が入っている。
そもそも、今いるスタジオが、同業者が来たくてたまらないプレミアムスペース。そんな場所に自分は、気楽にLIMEで誘われて来ている。
スタジオ風景もたまに録画させてくれて、ネット上に流させてくれる。
それを流すのは明日香だけ。6割の称賛に4割のヘイト。
流したのは、最初の年末の音合わせから始まって2週間程度の風景。
動画は6本。
最初の動画がすでに350万回再生。これだけでも、ちょっとした稼ぎになる。勇太に還元しようと思ったら、断られた。
『俺の動画で利益が出た人には、遠慮なく使ってくれって言ってるんです』そう言って笑ってくれる。
純子&風花に無償で関わるのは、むしろ明日香からの恩返しなのだ。
明日香は正直に、それを言った。だけど勇太は遠慮せずに何でも使ってくれと言った。
「中戸さん、俺が恩を感じてるんだから貰って下さい」
頭まで下げられて、明日香は涙を流してしまった。
完成したら伊集院君に頼んで、勇太作曲、明日香作詞のイレギュラーコラボ作品として発表すると勇太が約束してくれた。
明日香は感謝ばかりだ。
それから一時間半も勇太、純子、風花も付き合ってくれて、明日香の歌が最低限の形になるまで付き合ってくれた。
どこから話が漏れたか、柔道連盟会長・鬼塚一子のはからいにより、高校柔道・冬の選手権全国大会で新曲が披露されることになった。
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