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247 満天の星の中でルナ
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前世勇太と前世ルナの思い出の公園にそっくりな場所。
5月まではパラレルルナしか知らなかったはずの公園。
今、勇太とルナで立っている。
公園の横が急斜面だからフェンスが立ててある。なので見晴らしはいい。ただ風景は、国道、街頭、マンション。
ブランコと小さな砂場はあるけど、それ以外は何もない。
ルナがひとりで気晴らしに使っていた場所。
今では勇太とふたりだけで来る大切な場所に変わった。
ほかのファミリーにも、この場所は教えてある。だけど、みんな遠慮して一緒に来ると言わない。
「ルナ、寒くない?」
「さむーい。勇太って、シャツの上にコートだけでしょ。寒いのに強いよね」
「完全に冬仕様なんだよ」
「ふふっ」
ルナはフェンスに背を付けた。勇太も左横に並んだ。
そして静かに話し出した。
「私・・勇太に出会えて、去年が1番の年だったよ」
「そうか、ありがとう」
去年もルナは元旦の夜にここに来た。冬の星座をひとりで見ていた。
今年も晴れていて星がよく見える。
「ルナ、北極星はどれかな」
「あそこ」
勇太は星座には詳しくないけど、北極星と北斗七星、あとオリオン座くらいの名称は知っている。
「ルナ、北斗七星ってどれかな」
「しちせい?」
ルナは、これも勇太の不思議?と思った。『ありもしない星座』が口から出てきたのは初めて。
あとでカオルに話して、どの不思議に入るのか判別してみようと思った。
「勇太、北斗十字星なら、あの北極星から上下左右に伸びてるように見える星だよ」
当たり前のようにルナが言う。この世界でもパラレルな月は出ている。
パラレルな太陽、水星、火星、地球、土星、木星までは本で確認した。だから星の配置まで同じと思った。
どこからか、ずれるようだ。
「時の支配者が、北斗十字星を自分の星と言い張ったんだって。縁起を担ぐ時にも使ったんだよ」
「あの星々に導かれし、我が覇道を拒む者などおらぬ!とかか」
「そう、フランスの英雄、ナポレオンコボナパルコとかね」
「・・へえー」。あるんだ、と勇太は思った。
「黒くて大きな馬に乗って、角が突いたカブトを被ったのかな」
「そうだよ。勇太、勉強したんだね。ナポレオンコは身長220センチの巨女だったらしいもん」
当てずっぽの前世漫画キャラが、そのままで正解した。
オリオン座もないかと思えば、目の前にあった。
あとはケルベロス座、タイタン座、メデューサ座などたくさん教えてもらった。
勇太はそれらが前世にあったのか分からないが、初めて聞いた気がする。
ルナと一緒に星を見上げている。
今日の夜空には雲ひとつない。無数の星が空に浮かんでいる。
ルナが夢中になって教えてくれる。
「えーと、えと、あの西の方の正座はネプチューン座、
そんであの星座はなんだったけ」
勇太はルナを見ている。頭をぶんぶん振っている。
「あ、そうだ。あっちが・・金星、でね・・」
口を半開きにして、唇に指を当てて、一生懸命に星座を探してくれる。目もぱちくりしている。
「・・あ、勇太」
「ん?」
「私・・また夢中になって、アホの子みたくなってたかな」
「なってた」
「もう、止めてよ」
なにか言う代わりに、フェンスを背にしたルナの前に立って、ちゅっと唇を重ねた。
「アホの子になったルナも、すごく好き」
「・・ばか」
ここは穴場スポット。男子誘拐防止用の監視カメラはあるけど、人はめったに来ない。
再びフェンスを背にして、勇太が右腕の中にルナを抱いている。
「勇太・・困った」
「どうした?」
「5月に勇太のカフェに行ってからここまで、私っていい思い出しかない」
「今年は、もっといいことあるといいな」
「勇太は?」
「俺も、いいことだらけ。間門由乃さんの病気の時はあせったけどね」
「今年は勇太のお嫁さんになるし、幸せの予約も入ってる」
星明かりのルナも可愛すぎて、再びキスをした。
帰りも手を繋いでゆっくりと帰った。
そして家に着いたら、かなり燃え上がってしまった。
5月まではパラレルルナしか知らなかったはずの公園。
今、勇太とルナで立っている。
公園の横が急斜面だからフェンスが立ててある。なので見晴らしはいい。ただ風景は、国道、街頭、マンション。
ブランコと小さな砂場はあるけど、それ以外は何もない。
ルナがひとりで気晴らしに使っていた場所。
今では勇太とふたりだけで来る大切な場所に変わった。
ほかのファミリーにも、この場所は教えてある。だけど、みんな遠慮して一緒に来ると言わない。
「ルナ、寒くない?」
「さむーい。勇太って、シャツの上にコートだけでしょ。寒いのに強いよね」
「完全に冬仕様なんだよ」
「ふふっ」
ルナはフェンスに背を付けた。勇太も左横に並んだ。
そして静かに話し出した。
「私・・勇太に出会えて、去年が1番の年だったよ」
「そうか、ありがとう」
去年もルナは元旦の夜にここに来た。冬の星座をひとりで見ていた。
今年も晴れていて星がよく見える。
「ルナ、北極星はどれかな」
「あそこ」
勇太は星座には詳しくないけど、北極星と北斗七星、あとオリオン座くらいの名称は知っている。
「ルナ、北斗七星ってどれかな」
「しちせい?」
ルナは、これも勇太の不思議?と思った。『ありもしない星座』が口から出てきたのは初めて。
あとでカオルに話して、どの不思議に入るのか判別してみようと思った。
「勇太、北斗十字星なら、あの北極星から上下左右に伸びてるように見える星だよ」
当たり前のようにルナが言う。この世界でもパラレルな月は出ている。
パラレルな太陽、水星、火星、地球、土星、木星までは本で確認した。だから星の配置まで同じと思った。
どこからか、ずれるようだ。
「時の支配者が、北斗十字星を自分の星と言い張ったんだって。縁起を担ぐ時にも使ったんだよ」
「あの星々に導かれし、我が覇道を拒む者などおらぬ!とかか」
「そう、フランスの英雄、ナポレオンコボナパルコとかね」
「・・へえー」。あるんだ、と勇太は思った。
「黒くて大きな馬に乗って、角が突いたカブトを被ったのかな」
「そうだよ。勇太、勉強したんだね。ナポレオンコは身長220センチの巨女だったらしいもん」
当てずっぽの前世漫画キャラが、そのままで正解した。
オリオン座もないかと思えば、目の前にあった。
あとはケルベロス座、タイタン座、メデューサ座などたくさん教えてもらった。
勇太はそれらが前世にあったのか分からないが、初めて聞いた気がする。
ルナと一緒に星を見上げている。
今日の夜空には雲ひとつない。無数の星が空に浮かんでいる。
ルナが夢中になって教えてくれる。
「えーと、えと、あの西の方の正座はネプチューン座、
そんであの星座はなんだったけ」
勇太はルナを見ている。頭をぶんぶん振っている。
「あ、そうだ。あっちが・・金星、でね・・」
口を半開きにして、唇に指を当てて、一生懸命に星座を探してくれる。目もぱちくりしている。
「・・あ、勇太」
「ん?」
「私・・また夢中になって、アホの子みたくなってたかな」
「なってた」
「もう、止めてよ」
なにか言う代わりに、フェンスを背にしたルナの前に立って、ちゅっと唇を重ねた。
「アホの子になったルナも、すごく好き」
「・・ばか」
ここは穴場スポット。男子誘拐防止用の監視カメラはあるけど、人はめったに来ない。
再びフェンスを背にして、勇太が右腕の中にルナを抱いている。
「勇太・・困った」
「どうした?」
「5月に勇太のカフェに行ってからここまで、私っていい思い出しかない」
「今年は、もっといいことあるといいな」
「勇太は?」
「俺も、いいことだらけ。間門由乃さんの病気の時はあせったけどね」
「今年は勇太のお嫁さんになるし、幸せの予約も入ってる」
星明かりのルナも可愛すぎて、再びキスをした。
帰りも手を繋いでゆっくりと帰った。
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