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242 シャッフル◇カオル&ルナ◇
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ふたりずつに分かれた4つのペアでは、一緒に過ごす時間も多いルナとカオル。
だけど、普段はここに勇太か梓がいる。
「そういや、純粋なふたりって珍しいよな」
「だね」
こちらは、参道に並ぶ屋台で色々と買って大きな石に腰かけている。
ルナは、自分達だけの話題をカオルに振ってみる。
「私とカオルは、勇太の再会のしかたが不自然だよね」
「普通なら変な質問と思うが、アタイも心当たりがあるぜ」
ルナは、やはり勇太と過去に出会った覚えがない。幼少期に同じ街で遊んでいたカオルとは違う。
そう思っていたけれど、カオルも違和感だらけ。
「アタイも勇太と再会ってことで肩組まれた。けどな、親しかったことはない。それは間違いない」
勇太は小学生まで、男子警護のインフラが整っていない地域に住んでいた。
だから男子が少なくて、人間が素直だった幼少時代は周囲に女の子がたくさんいた。
カオルも従妹と一緒に勇太を見に行った。みんなで鬼ごっことかした。
だけど、可愛い女の子がたくさんいた。勇太と話すのは年上で可愛い、護衛役を買ってでた子ばかりだった。
カオルは勇太と家が近かった。だから遊んだ回数は多い。
「だけどな、会話した記憶がほとんどない。それこそ、遊ぼとか、おはよ、だ」
思い出してみたら、インターハイ予選のときの『再会』が異様だ。
『薫』を記憶していたのは、百歩譲ってアリとする。
「カオル、何が異様なの?」
「大きいのだけで2つある。まず、アタイの従姉のことだ」
「ああ、勇太は最初、カオルのことユリカさんって言ったね」
「そこが不思議なんだ」
「?」
「ユリカ姉は確かにいる。だけど12歳年上。家には来たことあるが本人は勇太と会ったことがないそうだ」
「えっ!」
「会ってたとしても、アタイと29歳のユリカ姉を間違うか?」
「じゃあ勇太は間違ってるのに・・教えてもいない、実在する人の名前を的確に言い当てたんだ」
ふたりで顔を見合わせた。
「もう1個もおかしいぞ」
「なに?」
「アタイを今川カオルって言った」
「別に不思議じゃないよ」
「アタイは母ちゃんが結婚をするとき引っ越した。そのあと籍を入れた女4人で話して『今川』の姓を選んだ。勇太と遊んだときのアタイは『横瀬カオル』だったんだよ」
「えええ~~~?」
「ルナだけの思い出公園、その近道を勇太が知ってたことくらいに不思議だろ」
「ホントだね」
感じ方によってはホラー。だけどふたりは違う。
ふたりは、これらの不思議があったから勇太と出会えたと感じる。
違和感を見つけると、嬉しいのだ。
5月10日に大きく変わった勇太との、運命を感じるから。
ルナの方の不思議は、純子とコラボすると浮き彫りになった。
ふたりは双子。育ててくれた親は同じだ。
なのに勇太は、純子と話すとき両親の名前が的確に出てくる。これは当たり前。
同じ両親なのに、ルナのことを話すときは親の名前を間違う。
まるでルナの両親だけ別人と認識しているかのようだ。
「不思議だな」
「やっぱり梓には言えないよね」
「だな。あいつ、自分に不思議がないこと、いまだに気にしてるもんな」
梓と勇太は従兄妹だからエピソードはたくさんあるけど、普通。そこに、ルナやカオルのような刺激的な答えはない。
梓がたまに思い出して、『導かれたルナとカオル、割り込んだ自分』と言ったりする。
「間違いなく勇太に愛されてるから気にするなって言いたいけどな、出会い方がな・・」
「カオルは、いきなり観衆の前で肩組まれたよね。で、呼び捨てにしろって笑われてた」
「ルナの方がすげえよ。血まみれの勇太に冤罪から救われたんだろ」
「今でも、色んな場所で、最初の話を聞かれるよ。カオルもでしょ」
「おう。今日は遊びに来た親戚に散々聞かれたぞ」
梓の前でしにくい話ばかりしている。
「それよか・・アレが困るよね」
「アレだな。女からの相談」
この1対12の世界、エロカワ男子から望まれて彼女になったことで羨望の目で見られる。
それに輪をかけてふたりは、男子に奉仕されている。
それも、女子が男子にやってもらいたいことの上位ランキングばかりだ。
男子に服を買わせて、夜は男子メシを作ってもらう。それもデザート付き。
まさにカオル。
夜はセッ●スで奉仕された上に、朝はモーニングコーヒーを淹れて起こされる。
そのまんまルナだ。
どうしたら、そこまでやってもらえるのかと、ふたりは聞かれる。けれど答えようがない。
勇太を誘導した覚えもないし、恋の駆け引きなんてできないふたりだ。
「この間はアタイ、セッ●スの前戯のこと後輩に聞かれて固まったぞ」
「カオル、未経験なのに何て答えたの?」
「体と心が動くままって答えたら・・3人くらいメモ取ってた」
「あははは、どっかの拳法少女みたい」
「笑うなや」
身体の中に勇太を刻み込まれているルナ。いまだキス止まりのカオル。
だけどふたりに嫌らしいマウントの取り合いはない。
だけど、普段はここに勇太か梓がいる。
「そういや、純粋なふたりって珍しいよな」
「だね」
こちらは、参道に並ぶ屋台で色々と買って大きな石に腰かけている。
ルナは、自分達だけの話題をカオルに振ってみる。
「私とカオルは、勇太の再会のしかたが不自然だよね」
「普通なら変な質問と思うが、アタイも心当たりがあるぜ」
ルナは、やはり勇太と過去に出会った覚えがない。幼少期に同じ街で遊んでいたカオルとは違う。
そう思っていたけれど、カオルも違和感だらけ。
「アタイも勇太と再会ってことで肩組まれた。けどな、親しかったことはない。それは間違いない」
勇太は小学生まで、男子警護のインフラが整っていない地域に住んでいた。
だから男子が少なくて、人間が素直だった幼少時代は周囲に女の子がたくさんいた。
カオルも従妹と一緒に勇太を見に行った。みんなで鬼ごっことかした。
だけど、可愛い女の子がたくさんいた。勇太と話すのは年上で可愛い、護衛役を買ってでた子ばかりだった。
カオルは勇太と家が近かった。だから遊んだ回数は多い。
「だけどな、会話した記憶がほとんどない。それこそ、遊ぼとか、おはよ、だ」
思い出してみたら、インターハイ予選のときの『再会』が異様だ。
『薫』を記憶していたのは、百歩譲ってアリとする。
「カオル、何が異様なの?」
「大きいのだけで2つある。まず、アタイの従姉のことだ」
「ああ、勇太は最初、カオルのことユリカさんって言ったね」
「そこが不思議なんだ」
「?」
「ユリカ姉は確かにいる。だけど12歳年上。家には来たことあるが本人は勇太と会ったことがないそうだ」
「えっ!」
「会ってたとしても、アタイと29歳のユリカ姉を間違うか?」
「じゃあ勇太は間違ってるのに・・教えてもいない、実在する人の名前を的確に言い当てたんだ」
ふたりで顔を見合わせた。
「もう1個もおかしいぞ」
「なに?」
「アタイを今川カオルって言った」
「別に不思議じゃないよ」
「アタイは母ちゃんが結婚をするとき引っ越した。そのあと籍を入れた女4人で話して『今川』の姓を選んだ。勇太と遊んだときのアタイは『横瀬カオル』だったんだよ」
「えええ~~~?」
「ルナだけの思い出公園、その近道を勇太が知ってたことくらいに不思議だろ」
「ホントだね」
感じ方によってはホラー。だけどふたりは違う。
ふたりは、これらの不思議があったから勇太と出会えたと感じる。
違和感を見つけると、嬉しいのだ。
5月10日に大きく変わった勇太との、運命を感じるから。
ルナの方の不思議は、純子とコラボすると浮き彫りになった。
ふたりは双子。育ててくれた親は同じだ。
なのに勇太は、純子と話すとき両親の名前が的確に出てくる。これは当たり前。
同じ両親なのに、ルナのことを話すときは親の名前を間違う。
まるでルナの両親だけ別人と認識しているかのようだ。
「不思議だな」
「やっぱり梓には言えないよね」
「だな。あいつ、自分に不思議がないこと、いまだに気にしてるもんな」
梓と勇太は従兄妹だからエピソードはたくさんあるけど、普通。そこに、ルナやカオルのような刺激的な答えはない。
梓がたまに思い出して、『導かれたルナとカオル、割り込んだ自分』と言ったりする。
「間違いなく勇太に愛されてるから気にするなって言いたいけどな、出会い方がな・・」
「カオルは、いきなり観衆の前で肩組まれたよね。で、呼び捨てにしろって笑われてた」
「ルナの方がすげえよ。血まみれの勇太に冤罪から救われたんだろ」
「今でも、色んな場所で、最初の話を聞かれるよ。カオルもでしょ」
「おう。今日は遊びに来た親戚に散々聞かれたぞ」
梓の前でしにくい話ばかりしている。
「それよか・・アレが困るよね」
「アレだな。女からの相談」
この1対12の世界、エロカワ男子から望まれて彼女になったことで羨望の目で見られる。
それに輪をかけてふたりは、男子に奉仕されている。
それも、女子が男子にやってもらいたいことの上位ランキングばかりだ。
男子に服を買わせて、夜は男子メシを作ってもらう。それもデザート付き。
まさにカオル。
夜はセッ●スで奉仕された上に、朝はモーニングコーヒーを淹れて起こされる。
そのまんまルナだ。
どうしたら、そこまでやってもらえるのかと、ふたりは聞かれる。けれど答えようがない。
勇太を誘導した覚えもないし、恋の駆け引きなんてできないふたりだ。
「この間はアタイ、セッ●スの前戯のこと後輩に聞かれて固まったぞ」
「カオル、未経験なのに何て答えたの?」
「体と心が動くままって答えたら・・3人くらいメモ取ってた」
「あははは、どっかの拳法少女みたい」
「笑うなや」
身体の中に勇太を刻み込まれているルナ。いまだキス止まりのカオル。
だけどふたりに嫌らしいマウントの取り合いはない。
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