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218 ラブコメ禁止地帯で地雷を踏むカオル
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12月26日の茶薔薇学園。冬休み中だが、カオルが柔道部に行くため校門をくぐった。
◇カオル◇
昨日は、他の嫁ズの好意で勇太とクリスマスデートをさしてもらった。
冬の選手権まで猛練習だけど、励みになったな。
それにしても楽しかった。えへへ。
アタイが男子と1対1でイルミネーションの中を歩く日が来るとは思ってなかったぞ。
食ったのは焼き肉だけど、パンケーキなんぞ食べるより数倍楽しかった。
やっぱ勇太は本当にこっちのことを考えてくれてんな。
イルミネーションの中で街角キスまで経験するたあ思わなんだ。
吉田真子のキスはサルサソース風味だったそうだけど、アタイのニンニク風味だ。
そのあとか? ライトアップされた川沿いまで行った。今度は思い切ってアタイからキスした。
あ、今度はアタイも勇太もミントガムたくさん噛んだあと。ミント味のキスだ。
キスのあとの方が緊張して漏らしそうだった。顔が真っ赤だったと思う、うん・・
周りがいちゃいちゃカップルだらけだっただろ。大胆になれた。さすがにスマホ撮影してるやつもいなかった。
家に帰って、姉妹や親に色々と聞かれた。
「イルミネーション見て、デザートのケーキ食った」って、一部をはしょって答えた。
やっぱアタイも女だ。
すげえ嬉しい。
なんだよアレ。イルミの中で男子とチューとかドラマだろ。部屋に帰って悶えたぞ、足バタバタして。姉妹は受け身の練習と思ったみてえだ。
布団に入れば1秒で寝落ちするのに、昨日は10分くらい眠れんかった。
今、自分でも分かるくらいにやにやしながら校内を歩いてると、ラグビー部の連中に会った。
「ようカオル、柔道部はこれからか」
「おっす。昨日、ネットで見たぞ、デートだったんだろ」
「カオルおはよ。幸せを分けろよ」
「お、おはよ。もう走ってるのか。ラグビー部は開始時間が早ええな」
いつものように右手を伸ばして拳はグー。ラグビー部の友人達といつものグータッチで挨拶しようとした。
なんだ? 今日は誰も応じてくれねえ。
「ん?どうした、こっちガン見して」
アタイの右手?みんな見てる?
「あ・・・」
勇太から嫁ズに贈られた恋人リング。梓やルナと一緒でアタイも右手の中指にはめたまんまだ。
「カオル、そりゃなんだ。噂のアレか?」
「ア、アタイだって女だぞ・・。嬉しいんだぞ・・」
「てめー、見損なったぞ!」
「なに見せびらかしてんだ」
「俺も嫁として勇太君に勧めろ」
「私には伊集院君の紹介だ!」
いや、アタイは悪くないよな。けど相手はヒートアップしてる。
「そろそろ時間だ。行かなきゃ」
フルダッシュで逃げて柔道場に駆け込んだ。
柔道場ならアタイを理解してくれる仲間ばかり。
「おはよ~っす」
「・・・」
誰も返事しねえ。
よく見ると部員が全員いる。なんでだ。
アタイは道場に入るのは早い方。先に来て掃除してる1年生が挨拶してきて、返事すんのが日常だ。
「みんな、早くから集まってどうした・・」
「カオル、昨日は楽しかった?」
部長のツバキが唐突に聞いてきた。
「ま、まあな」
「焼き肉のあとの外でチューは、なに味だったのかな」
「あ、あれ? 見てたのか? い、いや、川沿いで周りのカップルもキスとかしてたから、つい・・大胆になっちまって・・」
「え?」「え?」
「え?」
どうやら見られたのは、駅前イルミネーションの中でのチュー。
アタイは自分からやぶ蛇をつつきに行ったようだ。
「てめえ、あのあとまた、チューしたんかよ!」
「それになんだ、その右手の恋人リングは!」
「神聖なる道場に浮わついたモンを持ち込むなあ!」
言いがかりだ。
練習は白熱した。全国制覇を目指すアタイ達にはちょうどいい。
練習が終わる頃には、いつもの仲間に戻った。
ただし茶薔薇学園内では恋人リングは封印だ。パラ高の嫁ズみたく普段から着けてるのが危険なのは、よく分かった。
ここはラブコメ持ち込み禁止地帯だ。
練習が終わって、みんなに囲まれてツバキに聞かれた。
「ゆ、勇太君とは、もうシタの?」
「いや、いやいや、まだだぞ。アタイの誕生日に籍を入れるまでは清い体だ」
「くそ~余裕だな」
「ここまで来たら待てるか・・。カオルの誕生日って、3月3日だもんね」
「そうだけど、それがどうした」
「もうすぐやん」
「え?・・・あ」
アタイ、勇太と結婚の約束したのが8月2日。
アイツとセ●クスなんてできるのか、いまだに自信がねえ。
女子力不足の自覚もあるし。
あと半年くらい猶予があると思ってた・・
気付いたら残り70日を切ってる・・
「カオル、なに顔赤くしてんだよ」
「カオル先輩、妄想してますね~」
「わ、先輩かわいい~」
アタイのスケジュール。
来月は冬季大会の県予選。
勝てたら再来月は全国大会。
その翌月は・・
結婚。
意識したらドキドキしてきた。
◇カオル◇
昨日は、他の嫁ズの好意で勇太とクリスマスデートをさしてもらった。
冬の選手権まで猛練習だけど、励みになったな。
それにしても楽しかった。えへへ。
アタイが男子と1対1でイルミネーションの中を歩く日が来るとは思ってなかったぞ。
食ったのは焼き肉だけど、パンケーキなんぞ食べるより数倍楽しかった。
やっぱ勇太は本当にこっちのことを考えてくれてんな。
イルミネーションの中で街角キスまで経験するたあ思わなんだ。
吉田真子のキスはサルサソース風味だったそうだけど、アタイのニンニク風味だ。
そのあとか? ライトアップされた川沿いまで行った。今度は思い切ってアタイからキスした。
あ、今度はアタイも勇太もミントガムたくさん噛んだあと。ミント味のキスだ。
キスのあとの方が緊張して漏らしそうだった。顔が真っ赤だったと思う、うん・・
周りがいちゃいちゃカップルだらけだっただろ。大胆になれた。さすがにスマホ撮影してるやつもいなかった。
家に帰って、姉妹や親に色々と聞かれた。
「イルミネーション見て、デザートのケーキ食った」って、一部をはしょって答えた。
やっぱアタイも女だ。
すげえ嬉しい。
なんだよアレ。イルミの中で男子とチューとかドラマだろ。部屋に帰って悶えたぞ、足バタバタして。姉妹は受け身の練習と思ったみてえだ。
布団に入れば1秒で寝落ちするのに、昨日は10分くらい眠れんかった。
今、自分でも分かるくらいにやにやしながら校内を歩いてると、ラグビー部の連中に会った。
「ようカオル、柔道部はこれからか」
「おっす。昨日、ネットで見たぞ、デートだったんだろ」
「カオルおはよ。幸せを分けろよ」
「お、おはよ。もう走ってるのか。ラグビー部は開始時間が早ええな」
いつものように右手を伸ばして拳はグー。ラグビー部の友人達といつものグータッチで挨拶しようとした。
なんだ? 今日は誰も応じてくれねえ。
「ん?どうした、こっちガン見して」
アタイの右手?みんな見てる?
「あ・・・」
勇太から嫁ズに贈られた恋人リング。梓やルナと一緒でアタイも右手の中指にはめたまんまだ。
「カオル、そりゃなんだ。噂のアレか?」
「ア、アタイだって女だぞ・・。嬉しいんだぞ・・」
「てめー、見損なったぞ!」
「なに見せびらかしてんだ」
「俺も嫁として勇太君に勧めろ」
「私には伊集院君の紹介だ!」
いや、アタイは悪くないよな。けど相手はヒートアップしてる。
「そろそろ時間だ。行かなきゃ」
フルダッシュで逃げて柔道場に駆け込んだ。
柔道場ならアタイを理解してくれる仲間ばかり。
「おはよ~っす」
「・・・」
誰も返事しねえ。
よく見ると部員が全員いる。なんでだ。
アタイは道場に入るのは早い方。先に来て掃除してる1年生が挨拶してきて、返事すんのが日常だ。
「みんな、早くから集まってどうした・・」
「カオル、昨日は楽しかった?」
部長のツバキが唐突に聞いてきた。
「ま、まあな」
「焼き肉のあとの外でチューは、なに味だったのかな」
「あ、あれ? 見てたのか? い、いや、川沿いで周りのカップルもキスとかしてたから、つい・・大胆になっちまって・・」
「え?」「え?」
「え?」
どうやら見られたのは、駅前イルミネーションの中でのチュー。
アタイは自分からやぶ蛇をつつきに行ったようだ。
「てめえ、あのあとまた、チューしたんかよ!」
「それになんだ、その右手の恋人リングは!」
「神聖なる道場に浮わついたモンを持ち込むなあ!」
言いがかりだ。
練習は白熱した。全国制覇を目指すアタイ達にはちょうどいい。
練習が終わる頃には、いつもの仲間に戻った。
ただし茶薔薇学園内では恋人リングは封印だ。パラ高の嫁ズみたく普段から着けてるのが危険なのは、よく分かった。
ここはラブコメ持ち込み禁止地帯だ。
練習が終わって、みんなに囲まれてツバキに聞かれた。
「ゆ、勇太君とは、もうシタの?」
「いや、いやいや、まだだぞ。アタイの誕生日に籍を入れるまでは清い体だ」
「くそ~余裕だな」
「ここまで来たら待てるか・・。カオルの誕生日って、3月3日だもんね」
「そうだけど、それがどうした」
「もうすぐやん」
「え?・・・あ」
アタイ、勇太と結婚の約束したのが8月2日。
アイツとセ●クスなんてできるのか、いまだに自信がねえ。
女子力不足の自覚もあるし。
あと半年くらい猶予があると思ってた・・
気付いたら残り70日を切ってる・・
「カオル、なに顔赤くしてんだよ」
「カオル先輩、妄想してますね~」
「わ、先輩かわいい~」
アタイのスケジュール。
来月は冬季大会の県予選。
勝てたら再来月は全国大会。
その翌月は・・
結婚。
意識したらドキドキしてきた。
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