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214 ルナ、梓、カオルは安心する
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12月24日。クリスマスイブの午後7時半。
勇太、伊集院君、仲間の女子で格安ファミレスのサルベリアに来ている。
そこに勇太の異母兄妹のメイちゃんを呼んだ。
いまだに、異母兄妹のことを知っているのは勇太とその嫁ズ、そして伊集院君だけ。
メイちゃんがクラスメイト3人と来た。
「伊集院さん、勇太お兄さん、みなさん、誘っていただいてありがとうございます」
「あ、あのどうも・・冬木です」
「こ、こんばんは、サクラコです」
「お、お邪魔します、アリサです」
メイちゃんは、伊集院君と婚約者、勇太の関係者とひとしきり面識がある。だから普通。
だけど冬木ゲンジ、メイちゃんの友人は気後れしている。
席も店の人が大きなテーブルをくっつけて、大人数で座れるようにしてある。
四角い円座風だけど、勇太から見て左にメイちゃん、ゲンジ、サクラコ、アリサで並んで座らせた。
アリサの横に伊集院君で中学生4人を挟んで座っている。
店は満員で、勇太らが占有できるスペースもぎちぎち。
狭いし、他のお客さんから注目されている。
20人程度の集まりに、男子3人は多すぎだろと。
伊集院君の隣のアリサは、伊集院君と肩が密着している。早くも意識が飛びそうだ。
「メイちゃん、元気そうだね。勉強はかどってる?」
「ルナさん。後輩になれるように頑張ってますよ~」
「ところで、その男子はメイの彼氏か?」
カオルに言われ、その男子であるゲンジはドキッとしている。
「いえいえカオルさん、そっちの可愛い2人が冬木君の彼女に立候補してるんですよ。私は最近話すようになったから、護衛の人数合わせで呼ばれたんです。あはは」
「あ、あの・・」
そうじゃないと言いたいゲンジだが、気後れしている。
サクラコとアリサは、至近距離の伊集院君に話しかけられてドキドキ。こちらの会話は何も頭に入っていない。
「ふ~ん、メイの彼氏かと思った。アタイが言うのもなんだけど、メイはいい感じに綺麗になってるしな」
「ないですよカオルさん。私、顔も可愛くないし」
「そんなことない。か、可愛い」
ゲンジは勇気を出した。メイちゃんのことがガチで可愛いと思っている。
けれど・・
「ほら、冬木君っていい人なんです。モテてるのに、私なんかも褒めてくれるんです」
普通に笑っている。邪気のかけらもない。
『・・』が、ここにいる嫁ズの反応である。
ゲンジは、またも敗北感。そして焦っている。
クラスメイトのヤマモトタロウは、明らかにメイちゃんを彼女にしたいと狙っている。
アプローチに失敗していて、彼女3人とメイちゃんの仲が良くない。それで距離が縮まらない。
だけどヤマモトは誰にでも普通に挨拶する。上から目線は感じるけど、3人の彼女に誠実だ。
今でも懲りずにメイちゃんに話しかけている。メイちゃんも少し笑うときがある。
人付き合いをおろそかにして、男女比1対12の男子優遇社会の上で胡座をかいていた自分とは違う。
今までの自分を後悔している。
その上に伊集院君もハンサムでお金持ちなのに、メイちゃんの友達に丁寧に接している。
その伊集院君も、積極的にメイちゃんとコンタクトを図っている。
ネガティブになってきた。
「・・くん、冬木君」
「ん?」
メイちゃんが呼んでいる。
「ほら、勇太お兄さんに会えたんだから」
メイちゃんを挟んだ位置に座っている勇太が、グータッチを求めている。
メイちゃんが先に勇太とグータッチした。
促されてゲンジも勇太とグータッチした。
「よろしくね、冬木君」
「あ、あの、よろしくお願いします」
けれどゲンジは、真横にいるメイちゃんばかり意識している。
「メ、メイちゃんも、俺と・・」
「私も?オッケー」
こつんと当たった拳。これが今のゲンジの精一杯。
男女比1対12の世界。声をかけてきた人間から選べば、男子は簡単に女を作れる。
だけど特定の誰かに男子から恋をして、相手に気がないときは難度が上がる。
そうなると男女比は関係ない。
メイちゃんだけを見ているゲンジの恋は前途多難だ。
この状況はともかく、ルナ、梓、カオルの3人は安心している。
他の嫁ズと違い、メイちゃんが勇太に対して抱いていた恋心を知っている。
勇太がメイちゃんに異母兄妹だと知らせて、メイちゃんが泣いたときにも一緒にいた。
それは誰にも言っていない。
目の前のメイちゃんは、まだ次の恋を考えている様子でもない。
けれど、冬木ゲンジという手がかかるけど誠実そうな男子にくっつかれ、笑顔が柔らかくなっている。
同じ女としてメイちゃんのことを心配していた3人は、ゲンジに頑張れと言いたい。
勇太、伊集院君、仲間の女子で格安ファミレスのサルベリアに来ている。
そこに勇太の異母兄妹のメイちゃんを呼んだ。
いまだに、異母兄妹のことを知っているのは勇太とその嫁ズ、そして伊集院君だけ。
メイちゃんがクラスメイト3人と来た。
「伊集院さん、勇太お兄さん、みなさん、誘っていただいてありがとうございます」
「あ、あのどうも・・冬木です」
「こ、こんばんは、サクラコです」
「お、お邪魔します、アリサです」
メイちゃんは、伊集院君と婚約者、勇太の関係者とひとしきり面識がある。だから普通。
だけど冬木ゲンジ、メイちゃんの友人は気後れしている。
席も店の人が大きなテーブルをくっつけて、大人数で座れるようにしてある。
四角い円座風だけど、勇太から見て左にメイちゃん、ゲンジ、サクラコ、アリサで並んで座らせた。
アリサの横に伊集院君で中学生4人を挟んで座っている。
店は満員で、勇太らが占有できるスペースもぎちぎち。
狭いし、他のお客さんから注目されている。
20人程度の集まりに、男子3人は多すぎだろと。
伊集院君の隣のアリサは、伊集院君と肩が密着している。早くも意識が飛びそうだ。
「メイちゃん、元気そうだね。勉強はかどってる?」
「ルナさん。後輩になれるように頑張ってますよ~」
「ところで、その男子はメイの彼氏か?」
カオルに言われ、その男子であるゲンジはドキッとしている。
「いえいえカオルさん、そっちの可愛い2人が冬木君の彼女に立候補してるんですよ。私は最近話すようになったから、護衛の人数合わせで呼ばれたんです。あはは」
「あ、あの・・」
そうじゃないと言いたいゲンジだが、気後れしている。
サクラコとアリサは、至近距離の伊集院君に話しかけられてドキドキ。こちらの会話は何も頭に入っていない。
「ふ~ん、メイの彼氏かと思った。アタイが言うのもなんだけど、メイはいい感じに綺麗になってるしな」
「ないですよカオルさん。私、顔も可愛くないし」
「そんなことない。か、可愛い」
ゲンジは勇気を出した。メイちゃんのことがガチで可愛いと思っている。
けれど・・
「ほら、冬木君っていい人なんです。モテてるのに、私なんかも褒めてくれるんです」
普通に笑っている。邪気のかけらもない。
『・・』が、ここにいる嫁ズの反応である。
ゲンジは、またも敗北感。そして焦っている。
クラスメイトのヤマモトタロウは、明らかにメイちゃんを彼女にしたいと狙っている。
アプローチに失敗していて、彼女3人とメイちゃんの仲が良くない。それで距離が縮まらない。
だけどヤマモトは誰にでも普通に挨拶する。上から目線は感じるけど、3人の彼女に誠実だ。
今でも懲りずにメイちゃんに話しかけている。メイちゃんも少し笑うときがある。
人付き合いをおろそかにして、男女比1対12の男子優遇社会の上で胡座をかいていた自分とは違う。
今までの自分を後悔している。
その上に伊集院君もハンサムでお金持ちなのに、メイちゃんの友達に丁寧に接している。
その伊集院君も、積極的にメイちゃんとコンタクトを図っている。
ネガティブになってきた。
「・・くん、冬木君」
「ん?」
メイちゃんが呼んでいる。
「ほら、勇太お兄さんに会えたんだから」
メイちゃんを挟んだ位置に座っている勇太が、グータッチを求めている。
メイちゃんが先に勇太とグータッチした。
促されてゲンジも勇太とグータッチした。
「よろしくね、冬木君」
「あ、あの、よろしくお願いします」
けれどゲンジは、真横にいるメイちゃんばかり意識している。
「メ、メイちゃんも、俺と・・」
「私も?オッケー」
こつんと当たった拳。これが今のゲンジの精一杯。
男女比1対12の世界。声をかけてきた人間から選べば、男子は簡単に女を作れる。
だけど特定の誰かに男子から恋をして、相手に気がないときは難度が上がる。
そうなると男女比は関係ない。
メイちゃんだけを見ているゲンジの恋は前途多難だ。
この状況はともかく、ルナ、梓、カオルの3人は安心している。
他の嫁ズと違い、メイちゃんが勇太に対して抱いていた恋心を知っている。
勇太がメイちゃんに異母兄妹だと知らせて、メイちゃんが泣いたときにも一緒にいた。
それは誰にも言っていない。
目の前のメイちゃんは、まだ次の恋を考えている様子でもない。
けれど、冬木ゲンジという手がかかるけど誠実そうな男子にくっつかれ、笑顔が柔らかくなっている。
同じ女としてメイちゃんのことを心配していた3人は、ゲンジに頑張れと言いたい。
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