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213 伊集院的がイメージする普通のクリスマスイブ
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12月24日のクリスマスチャリティーコンサート。
子供の前で歌うシンガー達の周りで、勇太、伊集院君、その嫁軍団で動き回った。
招待した子供達をステージに上げたり、用意した小さなプレゼントを渡して回った。
特にハプニングも起こらなかった。
午後6時半、片付けもすべて終わった。
「勇太君、みんなでサルベリアに行くよね」
「もちろん!」
ここから伊集院君初の、高校生的なクリスマスイブが始まる。
会場となったホールの近くに、激安のファミレスがある。
伊集院君とパラ高婚約者3人。勇太ファミリー、そして参加したパラ高柔道部員。
風花は体調が不安だから、タクシーで帰った。葉子が待つ坂元家に。
希望者は他にもいるが、年明けに何かやることで納得してもらった。
これが伊集院君の希望。
普通の高校生ハーレムみたいなことを、やってみたかった。
自分と友達の勇太、その仲間で気兼ねしないメンバー。
伊集院君にしたら、本当に楽しみな時間なのだ。
夏祭りの帰りに寄ったファミレスから味を占めている。
伊集院君は、クリスマスが嫌いだった。
過去のクリスマスは、チャリティー系のイベントに参加。
そこまではいいけれど、終わってから政略絡みの会食とか始まる。イベントにさえ参加していない、有力者の娘を紹介されたこともある。
いい気分を台無しにされてきた。
希少な男子であることを利用される。それが伊集院君のクリスマスだった。
けれど今年は勇太がいるから、この日だけは空けた。
触れ合っていて気づいた。準備段階から、色んなことを一緒にやるのも楽しい。
婚約者の笑顔も柔らかくなる。
それが終わってからの打ち上げも、すごく楽しかった。
勇太との縁が切れないならいいなと、切に思っている。
近頃、たまに考えることがある。
勇太には公的には認められないけど、異母姉妹で中3のメイちゃんがいる。
本当に大事にしているのが分かる。
パラ高を志望しているし、彼女ともっと接点を持ってみたい。
会ったのは2回だけど、たまにLIMEして近況のことを聞いたりしてる。
飾り気がない返事が、むしろ新鮮だ。
勇太のように気が合うなら、嫁候補として考えてもいいななんて、珍しく暴走思考を巡らせている。
だから、たった今もLIMEしてみた。
ちょうどパラレル市に、クラスメイト男子の護衛役として来ているらしい。
「勇太君、みんな。メイちゃんも友達と一緒に近くにいるそうだよ。呼んでいいかな」
「おお~、いいねー」
「ぜひ呼んでよ」
「大歓迎」
お誘いLIMEを送った。
◆
メイちゃんのLIMEがピロ~ンと鳴った。
今日はメイちゃんのことが好きな冬木ゲンジ、ゲンジに気がある友人2人と一緒だ。
メイちゃんは、希少な男子の護衛役として来ている。
理由は、それのみ。
道徳の授業で中学生男子と出掛けるときは、最低3人で護衛するべきとある。
友人のアリサ、サクラコに誘われ、護衛の数合わせと疑わずに引き受けた。
自分とゲンジのためのお膳立てとは考えていない。クラスで最初に普通に話せたのが自分だから、気楽なんだろうねと言っている。
この流れは、残念ながらゲンジも知っている。
勇太と付き合っていないことは分かっても、なかなかメイちゃんにアプローチできないゲンジ。
今日も進展がない。クラスメイト2人は左右にいる。肝心のメイちゃんは少し後ろを歩きながら、ガチの護衛役をしている。
メイちゃんがLIMEを開いた。
伊集院『サルベリアに勇太君のファミリーやみんないるよ。これから友達と来ない?』
「わ・・」
「メイ、どうしたの?」
「あのねサクラコ、パラ高の人達が、これから近くにあるサルベリアに合流しないかって。4人で・・」
「お、もしかしてLIMEくれたの勇太さん?」
「勇太お兄さんもいるけど、LIMEは・・伊集院さんがくれた」
「ええ~、それすごいよ、メイ」
「えええ! あの伊集院さんとLIMEのやり取りしてるの?」
「どうかな。冬木君」
「え、えと・・」
「今日の私は冬木君の護衛任務がメインだから、乗り気でないなら断るよ」
ゲンジは、モテ男2人のところにメイちゃんを行かせたくない。
だけど言葉に出せない。メイちゃんに狭量だと思われたくない。
最近はネットで、めっちゃ勇太をチェックしている。真似するしかない。
「よ、よし。せっかくのお誘いだから行ってみようよ」
「やったー。早速行こうよゲンジ君」
「メイと友達で良かったー」
「ありがとう冬木君」
メイちゃんがいまだに『ゲンジ』と呼んでくれないことにやきもきしている。
そしてモテ男・勇太がメイちゃんの彼氏という線が消えたけど、それ以上の超モテ男が現れた。
ゲンジは焦っている。
メイの友達ふたりはゲンジの気持ちを知っている。
だから、メイ&ゲンジでくっついたあとに、自分達もゲンジの彼女に加えてもらう気だ。
だけど、今日は超モテ男の伊集院光輝とサルベリアパーティーに参加できるチャンス。
浮気とかではなく、アイドルと触れあえる感覚で参加を希望している。
それにしてもと、友人ふたりはメイに感心している。
またメイのスマホがピロ~ンと鳴った。
「伊集院さんが、早くおいでって。さ、行こうか」
あの伊集院君からLIMEをもらって、顔色も変えずにやり取りしている。
大注目のグループの中で、どんな立ち位置になるんだろうと。
子供の前で歌うシンガー達の周りで、勇太、伊集院君、その嫁軍団で動き回った。
招待した子供達をステージに上げたり、用意した小さなプレゼントを渡して回った。
特にハプニングも起こらなかった。
午後6時半、片付けもすべて終わった。
「勇太君、みんなでサルベリアに行くよね」
「もちろん!」
ここから伊集院君初の、高校生的なクリスマスイブが始まる。
会場となったホールの近くに、激安のファミレスがある。
伊集院君とパラ高婚約者3人。勇太ファミリー、そして参加したパラ高柔道部員。
風花は体調が不安だから、タクシーで帰った。葉子が待つ坂元家に。
希望者は他にもいるが、年明けに何かやることで納得してもらった。
これが伊集院君の希望。
普通の高校生ハーレムみたいなことを、やってみたかった。
自分と友達の勇太、その仲間で気兼ねしないメンバー。
伊集院君にしたら、本当に楽しみな時間なのだ。
夏祭りの帰りに寄ったファミレスから味を占めている。
伊集院君は、クリスマスが嫌いだった。
過去のクリスマスは、チャリティー系のイベントに参加。
そこまではいいけれど、終わってから政略絡みの会食とか始まる。イベントにさえ参加していない、有力者の娘を紹介されたこともある。
いい気分を台無しにされてきた。
希少な男子であることを利用される。それが伊集院君のクリスマスだった。
けれど今年は勇太がいるから、この日だけは空けた。
触れ合っていて気づいた。準備段階から、色んなことを一緒にやるのも楽しい。
婚約者の笑顔も柔らかくなる。
それが終わってからの打ち上げも、すごく楽しかった。
勇太との縁が切れないならいいなと、切に思っている。
近頃、たまに考えることがある。
勇太には公的には認められないけど、異母姉妹で中3のメイちゃんがいる。
本当に大事にしているのが分かる。
パラ高を志望しているし、彼女ともっと接点を持ってみたい。
会ったのは2回だけど、たまにLIMEして近況のことを聞いたりしてる。
飾り気がない返事が、むしろ新鮮だ。
勇太のように気が合うなら、嫁候補として考えてもいいななんて、珍しく暴走思考を巡らせている。
だから、たった今もLIMEしてみた。
ちょうどパラレル市に、クラスメイト男子の護衛役として来ているらしい。
「勇太君、みんな。メイちゃんも友達と一緒に近くにいるそうだよ。呼んでいいかな」
「おお~、いいねー」
「ぜひ呼んでよ」
「大歓迎」
お誘いLIMEを送った。
◆
メイちゃんのLIMEがピロ~ンと鳴った。
今日はメイちゃんのことが好きな冬木ゲンジ、ゲンジに気がある友人2人と一緒だ。
メイちゃんは、希少な男子の護衛役として来ている。
理由は、それのみ。
道徳の授業で中学生男子と出掛けるときは、最低3人で護衛するべきとある。
友人のアリサ、サクラコに誘われ、護衛の数合わせと疑わずに引き受けた。
自分とゲンジのためのお膳立てとは考えていない。クラスで最初に普通に話せたのが自分だから、気楽なんだろうねと言っている。
この流れは、残念ながらゲンジも知っている。
勇太と付き合っていないことは分かっても、なかなかメイちゃんにアプローチできないゲンジ。
今日も進展がない。クラスメイト2人は左右にいる。肝心のメイちゃんは少し後ろを歩きながら、ガチの護衛役をしている。
メイちゃんがLIMEを開いた。
伊集院『サルベリアに勇太君のファミリーやみんないるよ。これから友達と来ない?』
「わ・・」
「メイ、どうしたの?」
「あのねサクラコ、パラ高の人達が、これから近くにあるサルベリアに合流しないかって。4人で・・」
「お、もしかしてLIMEくれたの勇太さん?」
「勇太お兄さんもいるけど、LIMEは・・伊集院さんがくれた」
「ええ~、それすごいよ、メイ」
「えええ! あの伊集院さんとLIMEのやり取りしてるの?」
「どうかな。冬木君」
「え、えと・・」
「今日の私は冬木君の護衛任務がメインだから、乗り気でないなら断るよ」
ゲンジは、モテ男2人のところにメイちゃんを行かせたくない。
だけど言葉に出せない。メイちゃんに狭量だと思われたくない。
最近はネットで、めっちゃ勇太をチェックしている。真似するしかない。
「よ、よし。せっかくのお誘いだから行ってみようよ」
「やったー。早速行こうよゲンジ君」
「メイと友達で良かったー」
「ありがとう冬木君」
メイちゃんがいまだに『ゲンジ』と呼んでくれないことにやきもきしている。
そしてモテ男・勇太がメイちゃんの彼氏という線が消えたけど、それ以上の超モテ男が現れた。
ゲンジは焦っている。
メイの友達ふたりはゲンジの気持ちを知っている。
だから、メイ&ゲンジでくっついたあとに、自分達もゲンジの彼女に加えてもらう気だ。
だけど、今日は超モテ男の伊集院光輝とサルベリアパーティーに参加できるチャンス。
浮気とかではなく、アイドルと触れあえる感覚で参加を希望している。
それにしてもと、友人ふたりはメイに感心している。
またメイのスマホがピロ~ンと鳴った。
「伊集院さんが、早くおいでって。さ、行こうか」
あの伊集院君からLIMEをもらって、顔色も変えずにやり取りしている。
大注目のグループの中で、どんな立ち位置になるんだろうと。
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