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151 ゆがんだパラレル昭和の女
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昭和42年の8月1日。最初の嫁5人と出会って、ぴったり4年だ。
俺は因縁がある生まれ故郷に行って、まず村のお寺に行った。
住職さんを訪ねると、幸いにお袋の遺骨は残ってた。
うちの畑は人手に渡ったって住職さんに聞いた。これも予想通りだったし、もう未練もなかった。
速攻で骨壺に入っちまったお袋と婆さん連れて帰ろうとしたときだな。
村長の娘が寺の出口で待ってた。取り巻きみたいの8人連れてた。
ガタイがいい相撲取りみてえな女に成長してた。
こっちには銃を持った味方がいたが、バスの中に控えてて姿を見せてねえから、奴らは強気だった。
俺の中から、幸せだった4年間で忘れかけてた、真っ黒い感情が吹き出してきた。
婚約者達は、俺達母子を苦しめてきた人間だと思って、喧嘩腰だった。
けど、これは俺が乗り越えるべき相手。みんなを下がらせた。
「おいアイコ、何しに・・来た・・」
「良作、あんたを連れ戻しにきたんだ。あんたの故郷はここだよ」
「帰らねえ。ここは男にとって地獄だ!」
相手がビクッとした。
「散々、俺ら親子に嫌がらせして、お前らのお陰でお袋は死んだ」
「そ、そんなの・・」
「ここの村人に何ひとついい思い出なんぞない。お前らなんか滅びてしまえ!」
「なんだよ、あんた私んちの養子になるって言っただろ。私のものになるんじゃなかったのか。
・・そうか後ろにいる女どもが悪いんだな」
「悪りいのはてめえらだ」
「うるさい。お前をたぶらかした女どもは痛めつけてやる」
俺は頭に血が昇った。
「こいつらは俺の宝物だ。お前らなんぞと違う!」
アイコが依子につかみかかろうとした。そしたら思わず体が動いた。
バキって音がした。あはは。依子達を傷つけるって言われて、思わず顔を殴っちまった。
アイコは仰向けで白目剥いてた。
俺って昼は中華鍋振って、夜は婚約者5人相手に腰振ってたんだ。パワーあったんだぜ。
あてっ、みんなで頭はたくな。なおさらバカになるだろうが。
ええっと、続きを。
「村を出て知ったぞ。おめえらが村の男達してきたことは、今の日本じゃ犯罪だ。そのうち都会から警官が押し寄せてきて、村人全員が牢屋行きだ!」
倒れたアイコ見て俺に向かって来ようとした女どもが、えって顔になって止まった。
ハッタリだ。
けど、村の女どもも学校で授業受けて、あの村が何かヤバいって気づいてるやつもいたはず。
村長の娘より年上の女が、声を震わせながら喋り出した。
「あ、あのさ、街に出た従姉に言われたんだ。犯罪者になりたくなかったら、村長が連れてきた男とヤルなって・・」
何人かがブルブル震えだして、みんなに伝播した。
奴らを放っておいて、俺らは村を出た。
ま、俺が言ってたことは半分は本当になった。
後日、村長が逮捕された。この村と一緒に男子レンタルをしてた4つの村に一斉検挙が入ったのさ。
別の村出身の男子が、俺の故郷の村の村長んちにあった座敷牢から保護された。
俺と一緒に来た機動隊の人が帰りに1人減ってると思ったら、隣の村に協力要請して潜入調査してたみてえだ。
村長だけじゃない。役場の助役、駐在まで逮捕された。
その時は昭和42年。オリンピックが終わって2年。アメリカさんの手も借りて、全国で大規模な取り締まりが始まってた。
男子を解放して賠償金渡した村は厳重注意で済んだ。
その男子の希望地に定住させて、子供が欲しい女は謝礼付きで男子の家と交渉。子種をもらいに行った。
ほら、その頃から車も増えたし、移動が手軽になった。
やってみたら、男の家、食事を用意して男を飼うより手間も金も要らないって気付いたんだな、みんな。
俺の故郷の村長は勧告があったのに、適当な報告書を出してごまかそうとしてた。自分が重い罪を課せられて泣いたらしい。
俺は基本的に女には感謝してる。ただ自分の故郷の奴らだけは許せねえ。
どうしても許せねえ女、大切な女を傷つける女にはガツンと言え。そういうことだ。
あの頃の勇太を勘違いさせて悪かったな。
◇◇
パラレル勇太は思いっきり勘違いしていた。
勇太は原山さんには、パラレル勇太にもっと丁寧に説明してて欲しかったと思った。
女にガツンと言えって・・。その対象は本当に限定されてた。良作さんが恨みがある相手だけだった。
そりゃ、間接的でも母親を死なせた人間だもん、仇だもん。
当たり前だ。
パラレル勇太みたいなクソガキにも優しかった。けれど照れ隠しなのか、ぶっきらぼう。
勇太は原山良作さんの前世人物には心当たりがない。
ただ、奥さんの原山依子さんの名前は、前世でも知っていた。
弱者救済に力を注いでいた、勇太が住んでいた街の女市長が同じ名前だった。
いい旦那さんが支えてくれたらしいけど、もしかしたら・・
勇太は思いを馳せている。
俺は因縁がある生まれ故郷に行って、まず村のお寺に行った。
住職さんを訪ねると、幸いにお袋の遺骨は残ってた。
うちの畑は人手に渡ったって住職さんに聞いた。これも予想通りだったし、もう未練もなかった。
速攻で骨壺に入っちまったお袋と婆さん連れて帰ろうとしたときだな。
村長の娘が寺の出口で待ってた。取り巻きみたいの8人連れてた。
ガタイがいい相撲取りみてえな女に成長してた。
こっちには銃を持った味方がいたが、バスの中に控えてて姿を見せてねえから、奴らは強気だった。
俺の中から、幸せだった4年間で忘れかけてた、真っ黒い感情が吹き出してきた。
婚約者達は、俺達母子を苦しめてきた人間だと思って、喧嘩腰だった。
けど、これは俺が乗り越えるべき相手。みんなを下がらせた。
「おいアイコ、何しに・・来た・・」
「良作、あんたを連れ戻しにきたんだ。あんたの故郷はここだよ」
「帰らねえ。ここは男にとって地獄だ!」
相手がビクッとした。
「散々、俺ら親子に嫌がらせして、お前らのお陰でお袋は死んだ」
「そ、そんなの・・」
「ここの村人に何ひとついい思い出なんぞない。お前らなんか滅びてしまえ!」
「なんだよ、あんた私んちの養子になるって言っただろ。私のものになるんじゃなかったのか。
・・そうか後ろにいる女どもが悪いんだな」
「悪りいのはてめえらだ」
「うるさい。お前をたぶらかした女どもは痛めつけてやる」
俺は頭に血が昇った。
「こいつらは俺の宝物だ。お前らなんぞと違う!」
アイコが依子につかみかかろうとした。そしたら思わず体が動いた。
バキって音がした。あはは。依子達を傷つけるって言われて、思わず顔を殴っちまった。
アイコは仰向けで白目剥いてた。
俺って昼は中華鍋振って、夜は婚約者5人相手に腰振ってたんだ。パワーあったんだぜ。
あてっ、みんなで頭はたくな。なおさらバカになるだろうが。
ええっと、続きを。
「村を出て知ったぞ。おめえらが村の男達してきたことは、今の日本じゃ犯罪だ。そのうち都会から警官が押し寄せてきて、村人全員が牢屋行きだ!」
倒れたアイコ見て俺に向かって来ようとした女どもが、えって顔になって止まった。
ハッタリだ。
けど、村の女どもも学校で授業受けて、あの村が何かヤバいって気づいてるやつもいたはず。
村長の娘より年上の女が、声を震わせながら喋り出した。
「あ、あのさ、街に出た従姉に言われたんだ。犯罪者になりたくなかったら、村長が連れてきた男とヤルなって・・」
何人かがブルブル震えだして、みんなに伝播した。
奴らを放っておいて、俺らは村を出た。
ま、俺が言ってたことは半分は本当になった。
後日、村長が逮捕された。この村と一緒に男子レンタルをしてた4つの村に一斉検挙が入ったのさ。
別の村出身の男子が、俺の故郷の村の村長んちにあった座敷牢から保護された。
俺と一緒に来た機動隊の人が帰りに1人減ってると思ったら、隣の村に協力要請して潜入調査してたみてえだ。
村長だけじゃない。役場の助役、駐在まで逮捕された。
その時は昭和42年。オリンピックが終わって2年。アメリカさんの手も借りて、全国で大規模な取り締まりが始まってた。
男子を解放して賠償金渡した村は厳重注意で済んだ。
その男子の希望地に定住させて、子供が欲しい女は謝礼付きで男子の家と交渉。子種をもらいに行った。
ほら、その頃から車も増えたし、移動が手軽になった。
やってみたら、男の家、食事を用意して男を飼うより手間も金も要らないって気付いたんだな、みんな。
俺の故郷の村長は勧告があったのに、適当な報告書を出してごまかそうとしてた。自分が重い罪を課せられて泣いたらしい。
俺は基本的に女には感謝してる。ただ自分の故郷の奴らだけは許せねえ。
どうしても許せねえ女、大切な女を傷つける女にはガツンと言え。そういうことだ。
あの頃の勇太を勘違いさせて悪かったな。
◇◇
パラレル勇太は思いっきり勘違いしていた。
勇太は原山さんには、パラレル勇太にもっと丁寧に説明してて欲しかったと思った。
女にガツンと言えって・・。その対象は本当に限定されてた。良作さんが恨みがある相手だけだった。
そりゃ、間接的でも母親を死なせた人間だもん、仇だもん。
当たり前だ。
パラレル勇太みたいなクソガキにも優しかった。けれど照れ隠しなのか、ぶっきらぼう。
勇太は原山良作さんの前世人物には心当たりがない。
ただ、奥さんの原山依子さんの名前は、前世でも知っていた。
弱者救済に力を注いでいた、勇太が住んでいた街の女市長が同じ名前だった。
いい旦那さんが支えてくれたらしいけど、もしかしたら・・
勇太は思いを馳せている。
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