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238 続きの続き◇ルナにとっての勇太、伊集院君にとっての・・◇
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10月のある日、大学1年生だった桜塚ハルネは伊集院君と一緒に合コンに誘われた。
即OKと返事した伊集院君にハルネは驚いたけど、伊集院君は2人セットだから快諾した。
伊集院君はよく女の子に誘われる。何回か、ハルネと一緒にいるのに彼だけ誘われた。
その時は冷たい声で断った。
なぜ、普段のように軽くかわせず、苛立ったのか自分でも不思議だった。
ぼそっ「光輝、アタイとふたりで合コン誘われるの珍しいな」
ぼそっ「合計8人って言ってたろ。男女ひとりずつの欠員が出たんだよ、きっと」
そして会場の居酒屋に到着した。
そしてハルネは理解した。なぜ自分が呼ばれたか。そして、美男子と普段から一緒にいて同性からヘイトが少なかったか・・・
居酒屋では縦長のテーブル席に4人、4人で座った。
ハルネがいるのに何故か可愛い女子が『4人』いて、片側に並んで座った。
「伊集院君、桜塚君、男子はそっち側ね」
笑顔で勧められた席には右から、別大学の男子2人、そして伊集院君。その左側にハルネだった。
ハルネは男子と間違えられていた。
合コンは楽しく盛り上がった。
何度も吹き出す伊集院君の背中をハルネがバンバンたたいた。
◆
ふたりで夜道を歩いている。
「くっそー、珍しく合コンに誘われたと思ったら男子枠かよ!」
「途中でハルネが女子だって明かしたら、みんな驚いてたな」
「服装のせいで男子に見えたんかな」
「気にすんな。俺は女子に見えるから」
「あんがとよ。ま、みんな笑って盛り上がってくれたからいいや」
「あはは、ハルネってポジティブ」
「光輝がなんでも笑い飛ばしてくれるからだな。ははは」
ふと、伊集院君は思った。下手したら女子の尊厳に関わる話までハルネとは笑い飛ばせる。
呼吸が合う・・・
「呼吸って・・」
ルナと勇太は、いつもふたりでいるのが自然だった。それを周りを認めていた。
自分とハルネにも意外と茶々は入らない。それはハルネが女だと知っている人でも。
もしかしたら勇太&ルナのように、伊集院&ハルネが当たり前に映っているのかも・・
考える伊集院君に、ハルネが話を振ってきた。
「光輝、坂元勇太の病気が治ったらメシに誘ってくれ。4人で会ってみたい」
「・・・」
「アタイもなれるなら、みんなの仲間になりたい」
にっかーと笑うハルネの笑顔がまぶしい。ドキドキする。
そしてハルネには勇太の本当のことを言っていいと思った。
「ハルネ、真面目な話がある」
「・・うん」
病名は言わないが、勇太の体が長い時間をかけて弱っていること、治療法がないことを明かした。
「そうか・・」
「ああ、悲しけど、それが事実だ」
「おめえ、坂元にルナのことを頼まれたんだな」
「そうだ」
「じゃあ、坂元に何かあったらルナのそばで支えてやらんといかんな」
「それはない」
「なんでだ」
伊集院君とルナは、もう話をしている。2人で付き合っても、きっと合わない。だって勇太の話しかしない関係だ。
「それに俺は今日の合コンで、勇太にとってのルナみたいな女を見つけた」
ハルネに動揺が走った。だけど決めていた。モテている伊集院君に好きな女ができるときは邪魔しないと。
応援しようと。
正直に言えば、伊集院君の人柄に惹かれ始めている。男子として。だけど硬派のハルネは自分を貫くことに決めている。
ハルネは伊集院君と並んだまま立ち止まった。
「協力する。みんな可愛くて、話も弾んでたな。どこに座ってたおんな・・・ん」
肩をつかまれて、ちゅっとされた。最後まで言い終われなかった。
「俺の左側に座ってた、頭がぼさぼさの女だよ」
ハルネは何が起こったか分からなかった。だけど唇に感触は残っている。そしてどんどん頬が熱くなってきた。
「お、お、おめえ」
「これ以上言わすな、俺だって、恥ずかしい・・」
ふたりとも足は止まっている。
「俺のアパート、来ないか」
「もう夜も遅いぞ、おい」
「ご、合コンからのお持ち帰りってやつだ」
「本気か?」
「マジだ」
その日から、ふたりは恋人になった。
そして1年間くらい、伊集院君にはゲイ疑惑がつきまとった。
◆◆
再び、コーヒーショップで、伊集院君&ハルネとルナ。
「ふたりとも、いつも気遣ってくれてありがとうね」
「元気そうで良かったよ」
「今は大丈夫かな・・」
「辛くなったらアタイのとこに電話しろ。光輝置いて駆けつけるから」
「だから、ハルネってば」
「怒るな光輝」
「あはは、相変わらず仲良しだね」
「お、ルナの待ち人が来たみたいだ」
コーヒーショップに、小学2年生の女の子が入ってきた。
即OKと返事した伊集院君にハルネは驚いたけど、伊集院君は2人セットだから快諾した。
伊集院君はよく女の子に誘われる。何回か、ハルネと一緒にいるのに彼だけ誘われた。
その時は冷たい声で断った。
なぜ、普段のように軽くかわせず、苛立ったのか自分でも不思議だった。
ぼそっ「光輝、アタイとふたりで合コン誘われるの珍しいな」
ぼそっ「合計8人って言ってたろ。男女ひとりずつの欠員が出たんだよ、きっと」
そして会場の居酒屋に到着した。
そしてハルネは理解した。なぜ自分が呼ばれたか。そして、美男子と普段から一緒にいて同性からヘイトが少なかったか・・・
居酒屋では縦長のテーブル席に4人、4人で座った。
ハルネがいるのに何故か可愛い女子が『4人』いて、片側に並んで座った。
「伊集院君、桜塚君、男子はそっち側ね」
笑顔で勧められた席には右から、別大学の男子2人、そして伊集院君。その左側にハルネだった。
ハルネは男子と間違えられていた。
合コンは楽しく盛り上がった。
何度も吹き出す伊集院君の背中をハルネがバンバンたたいた。
◆
ふたりで夜道を歩いている。
「くっそー、珍しく合コンに誘われたと思ったら男子枠かよ!」
「途中でハルネが女子だって明かしたら、みんな驚いてたな」
「服装のせいで男子に見えたんかな」
「気にすんな。俺は女子に見えるから」
「あんがとよ。ま、みんな笑って盛り上がってくれたからいいや」
「あはは、ハルネってポジティブ」
「光輝がなんでも笑い飛ばしてくれるからだな。ははは」
ふと、伊集院君は思った。下手したら女子の尊厳に関わる話までハルネとは笑い飛ばせる。
呼吸が合う・・・
「呼吸って・・」
ルナと勇太は、いつもふたりでいるのが自然だった。それを周りを認めていた。
自分とハルネにも意外と茶々は入らない。それはハルネが女だと知っている人でも。
もしかしたら勇太&ルナのように、伊集院&ハルネが当たり前に映っているのかも・・
考える伊集院君に、ハルネが話を振ってきた。
「光輝、坂元勇太の病気が治ったらメシに誘ってくれ。4人で会ってみたい」
「・・・」
「アタイもなれるなら、みんなの仲間になりたい」
にっかーと笑うハルネの笑顔がまぶしい。ドキドキする。
そしてハルネには勇太の本当のことを言っていいと思った。
「ハルネ、真面目な話がある」
「・・うん」
病名は言わないが、勇太の体が長い時間をかけて弱っていること、治療法がないことを明かした。
「そうか・・」
「ああ、悲しけど、それが事実だ」
「おめえ、坂元にルナのことを頼まれたんだな」
「そうだ」
「じゃあ、坂元に何かあったらルナのそばで支えてやらんといかんな」
「それはない」
「なんでだ」
伊集院君とルナは、もう話をしている。2人で付き合っても、きっと合わない。だって勇太の話しかしない関係だ。
「それに俺は今日の合コンで、勇太にとってのルナみたいな女を見つけた」
ハルネに動揺が走った。だけど決めていた。モテている伊集院君に好きな女ができるときは邪魔しないと。
応援しようと。
正直に言えば、伊集院君の人柄に惹かれ始めている。男子として。だけど硬派のハルネは自分を貫くことに決めている。
ハルネは伊集院君と並んだまま立ち止まった。
「協力する。みんな可愛くて、話も弾んでたな。どこに座ってたおんな・・・ん」
肩をつかまれて、ちゅっとされた。最後まで言い終われなかった。
「俺の左側に座ってた、頭がぼさぼさの女だよ」
ハルネは何が起こったか分からなかった。だけど唇に感触は残っている。そしてどんどん頬が熱くなってきた。
「お、お、おめえ」
「これ以上言わすな、俺だって、恥ずかしい・・」
ふたりとも足は止まっている。
「俺のアパート、来ないか」
「もう夜も遅いぞ、おい」
「ご、合コンからのお持ち帰りってやつだ」
「本気か?」
「マジだ」
その日から、ふたりは恋人になった。
そして1年間くらい、伊集院君にはゲイ疑惑がつきまとった。
◆◆
再び、コーヒーショップで、伊集院君&ハルネとルナ。
「ふたりとも、いつも気遣ってくれてありがとうね」
「元気そうで良かったよ」
「今は大丈夫かな・・」
「辛くなったらアタイのとこに電話しろ。光輝置いて駆けつけるから」
「だから、ハルネってば」
「怒るな光輝」
「あはは、相変わらず仲良しだね」
「お、ルナの待ち人が来たみたいだ」
コーヒーショップに、小学2年生の女の子が入ってきた。
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