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134 貴様、それでも軍人か

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前世パクリという名の勇太考案服、白い詰襟学生服。

女の子のハートを刺激した。

再び柔道部とバドミントン部で集まり、文化祭で借りる空き教室で打ち合わせ。

前日は詰襟学生服の撮影大会になったけど、今日は我に返った女子達が机と椅子の配置、内装などで真面目な話をしている。

勇太とルナは接客を煮詰める班。あとは出す料理を考える班など計四班に別れて話をしている。

接客班の話し合い。

「じゃあ、秋葉原風にやる?」
「元祖、執事カフェ風だね」
「だね、お客さんが来たら、お帰りなさいませお姫様か、お嬢様で」

「う~ん、勇太君がいれば、何しても受けそうだけど・・」

もう少し煮詰めることにした。

やっぱり、白い詰め襟学生服に目が向いた。

「せっかく勇太君が斬新な服を作ったんだから、なんか生かしようないかな」

勇太が待ってきた、この世界になかった4着の詰襟服をメインに考えようと方向転換した。

「勇太君、この服ってなんというか威圧感みたいなもんあるよね」
「うんうん、なんか服自体が何か特別な感じ」

「どんなイメージでデザインしたの?」

「え、え~と、昔の海軍の職業軍人とかかな」

「軍人さん?」
「海上自衛隊、旧日本海軍、上着といえばセーラータイプが主流だよね」
「こんなのもありなのかな?」

「あっとね・・そうだ、リーフカフェで接客するときと、ムードを180度変えてみようか。ルナも立って」
「うん」

ちょっと、前世の宇宙戦艦とか、艦隊ものの下級士官とかだと、こんなだったかなと考えている。

ルナと勇太で詰襟学生服を着て、2人で打ち合わせた。

キヨミがお客役である。

「じゃあ、ルナが上官で俺が部下。始めるよ~」

「はい」
「どんなんだろ」

みんな戸惑いがあるけど興味津々である。

カフェでは常に笑顔の勇太が笑うのをやめて、まっすぐ前を向いた。

ルナも同じように真顔で前を向いた。

勇太とルナは後ろで手を組んで、足を肩幅の広さまで広げて立っている。

2人は無言になった。緊張感が漂っている。

そこに、お客役のキヨミが入ってきた。

女子達が注目している。

勇太、ルナはかかとを付けて足を揃えキヨミに敬礼をした。勇太からセリフスタート。

「お待ちしておりました。キヨミ大佐殿」
「ようこそ、我らが艦へ」

「わっ、なに?」

「出席者、全員揃いました。ルナ上官殿」
「う、うむ。第七艦隊所属・蜃気楼、定例会議を始めよう」

「???」

「どうぞ、お座り下さい」
「あ、ありがとです」

部下役の勇太が椅子を引いてキヨミを座らせた。

再び勇太が一歩下がった。

「会議の前に、お飲み物はいかがでしょうか」と勇太。

「あ、ああ、なるほど。喫茶室?」

「勇太三等兵、資料はどこだ?」。恐らくメニューのことである。


「申し訳ございません。資料室に置き忘れました!」

「勇太三等兵、たるんどるぞ!」
「はいっ!」


「ひゃっ」
キヨミだけでなく、みんなビックリ。

ルナが勇太を見上げた。そして胸ぐらをつかんで、顔を至近距離まで引き寄せた。

低い声でルナが言った。


「貴様、それでも軍人か」


「・・申し訳ありません」


「ル、ルナ?」
「ゆーた、せんばい・・」

耐えきれず、勇太とルナが吹き出した。
「ぷ、ゆ、勇太」「くくく、笑うなルナ」

2人の悪ノリである。

「まあ、こんな感じかな、イメージとしては」

「なんだ演技か。ちょっとビックリした」

「あはは」

勇太は厨二病みたいで少し恥ずかしい。

みんな笑ってくれたけど、内心はドキドキである。

男子が希少な世界の女子達は、がっちりハートをつかまれた。むしろルナの役をやってみたい。

そして『貴様、それでも軍人か!』と言いたい。勇太に敬礼させたい。

というわけで・・

やっぱり軍人ごっこが始まってしまった。

執事カフェから海軍カフェに方針変更。

ほぼ一巡してキヨミの番が回ってきた。今度は勇太と攻守交代した。

『貴様、それでも軍人か!』と勇太に大音量で言わせた。みんなブルっときた。

正直に言うとキヨミはちょっとちびって、そして濡れている。

だって16歳になったばかりの肉食乙女だもの・・

勇太の声には慣れていても、普段は優しい。演技とはいえ怒号を至近距離で浴びたのは初めて。キた。

怒鳴り声がビンビンに何かが響いてしまった。

顔が熱い。

バドミントン部の面々も驚いたけど、これはアリだと思っている。

女神印の響く声が大活躍だ。

下腹部にビンビンに響く、何かがいけない。勇太のせいである。

元をたどれば女神のせい。


ルナと梓まで、軍人ごっこで遊んでしまった。

準備がなかなか進まない。


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