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129 思わぬ人助け。だったらアリだね

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大型投稿サイト『sotube』に勇太の動画を投稿して、収益を出してしまった女の子達がいる。

特にルナの友人でクラスメイトの足達リエコは、10万円なんてレベルではない金額になる見込み。

リエコはじめ、かなりの額を手にした女子が、勇太にお金を還元したいと言ってきた。

結論からいくと、勇太は投稿した本人に収益金を使ってもらうつもり。

だけど、まずまずの金銭が絡む。

ルナ、梓、カオルには権利放棄をしていいか相談することにした。

グループLIMEで、経緯と考えを知らせた。そして返事を待つ。

今はルナと2人だ。

「ルナはどう思う?」
「傷付けたらいけないから本人には言えないけど、特にリエコには収益金をそのまんま渡したい・・」

勇太は、優しい顔でルナを見ている。

事情は聞いている。ぶっちゃけ足達リエコはお金がない。

リエコは母2人、娘4人の家族構成の長女。

本来、娘は2人だった。

だけど育児放棄で保護された双子をリエコの親が引き取った。リエコとは年が7歳離れている。

この世界では、どうしても解決できない問題点なのだ。

女性同士の婚姻をして人工受精で子供を作る人は多い。だけど、本当に血が繋がっているのは夫婦の片方。

リエコの双子義妹のケースは生みの親が亡くなってしまった。

残った母親が悲しみから酒に溺れ、子供への愛情を途切れさせてしまった。

一夫多妻が当たり前になり400年。

同じ夫を持つ絆を大切に、他の妻の子供を大切に育てている人の方が多数派。

けれど血の繋がりがないということは、何かをきっかけに親子関係さえ崩壊しやすい。

勇太はリエコに、双子を引き取ったお母さん2人をどう思うか聞いたことがある。

するとリエコは迷わず、親2人を尊敬していると言った。早く働いて、両親や妹達の手助けをしたいそうだ。

けれどルナに聞くと、リエコは本当はパラレル総合芸術大学に行って、映像技術を学びたかったと漏らしたことがあるそうだ。

やっぱりネックは金銭面。

そうなると、最近の勇太の活動からしても応援したくなっている。

これが、生き返った勇太の本質なのかもしれない。


「勇太、梓とカオルからLIMEの返事返ってきたよ」

「どれどれ、梓は運良く稼げた人がお金をもらえばいいってか・・」

「え~と、カオルは茶薔薇学園の人に収益のこと聞かれたから、出演料代わりにラーメン奢ってくれって言ったってさ」
「ははは、カオルらしすぎ」

早くも結論は出た。

「ルナ、これからも、俺ら絡みの動画で同じことを言ってくれる人がいるよね」
「だよね~」

「儲かった人が自由に使ってって言いたいけど、どうしたらいいんだろう」
「・・いい方法あるよ」

「ふむ?」


昼休みになって、朝の10人に空き教室に来てもらった。

そして、スマホやビデオカメラを勇太自身に向けて構えてもらった。

「勇太君、みんなスタンバイオッケーだよ」

「うう・・こっちから言い出したのに、改まってカメラに向かうと恥ずかしい」

やっぱりルナに背中をパンパンされて「ドンマイ」と言われている。

このイチャイチャシーンが、すでにネットに流れていることにルナは気付いていない。

足達リエコが合図して、来てくれた10人のアカウントで流してもらう動画を作る。

リアルタイムでも流している。

ガチガチの勇太が喋りだした。

「え、え~と、視聴者のみなさん、こんばんは。坂元勇太と言います」

「勇太まだ、こんにちはの時間だよ。頑張って」。ルナの突っ込みと励ましの声がいきなり入ってしまった。

「こほん。俺が絡む動画で出た収益のことに関して、複数のお話を聞きました」

息を吸ってしっかりカメラを見る。

「その利益を俺に還元したいと言ってくれる人がいるそうです。ありがたいお話ですが、お気持ちだけ受け取らせてもらいます。そのお金は、気にせずご自分でお使いください」

リエコが気付いた。実況中継のリエコチャンネル。

同接が、前触れなく始まった放送なのに100人を越えて、数が伸びている。

コメント欄も流れている。

『わ、勇太君やさし~』
『私も収益出てしまった人間です。いいんでしょうか』
『勇太君、自分のチャンネル作ってライブして下さい』
『そうだ!この収益を勇太君にスパチャしたい』

最後はリクエスト大会になってきた。

「では失礼します」

勇太がカメラに向かって礼をして撮影終了。


勇太は当面、自分のアカウントを作らないことにした。だけど月2回ほど配信を足立リエコのチャンネルを借りてやることにした。

収益のことを聞かれた。

リエコには映像技術の勉強をして、将来的には風花や純子の音楽プロモーションを作って欲しいと
お願いした。


ルナは勇太の行動に胸が熱くなるばかりだ。

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