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243 シャッフル◇嘉菜&梓◇
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◇異母姉妹の嘉菜と梓◇
ふたりは神社の裏の方を歩いている。
ふたりで歩くのは初めて。
「嘉菜さん、そういえば私達って姉妹でしたね」
「そうですよ。挨拶して数ヵ月だけど」
「じゃあ、そんなにかしこまらないで下さい。呼び方も呼び捨てがいいです」
嘉菜は考え込んだ。すごく真面目だ。
「私達の結び付きは姉妹というより、勇太さんの嫁ズですよ。だから、大変な最初の妻を買って出てくれた梓ちゃんに敬意を払わないと」
「だけど、実際に陽介父さんを介して、血が繋がってますもん」
「私の個人意見です。梓ちゃんとの結びつきは、嫁同士の方が嬉しいんです」
嘘偽りない嘉菜の本心だ。
「うわ、お姉ちゃん頑固だ。カッチカチ」
「これでも『マカド』の跡継ぎですからね」
ふたりして、少し笑った。
「そもそも私達って、姉妹っぽい過ごし方皆無でしたね」
「そうですね。勇太さんが捨て身で助けてくれなければ、家の都合で絶縁してたかもだし」
「ユウ兄ちゃんの捨て身か・・うらやましい」
「ええ? うらやましいのは私の方ですよ。勇太さんと普通にキスしているし、梓ちゃん」
「けどね・・」
梓は自分が運命の女性達に割り込んでいるのではないかと気がかりだ。
自分以外はみんな勇太の嫁ズに加わるときドラマチックな出来事があった。
勇太の嫁ズはルナの冤罪晴らしに始まり、目立つところで嫁ズと転機を迎えた。
嘉菜の時だって、勇太は裁判所で勝てる調停で負けを選んだ。そして半分前科を付けたような形で嘉菜への愛を示した。
自分も愛されているとは思うけど、麗子のように告白をされた訳でもない。純子のように歌ってシンクロした訳でもない。
※ちなみに麗子に告白したのはパラレル勇太。
梓はカオルとルナに、間違いなく勇太に愛されていると言われた。だから最初の嫁だと言われたけど、気持ちが揺らぐことがある。
「ふふふ、逆ですよ、梓ちゃん」
「え・・逆って」
「私、梓ちゃんの不安のことをちらりと耳にして、みんなに話を聞きました」
すると嘉菜は、自分達も含め少ないタイミングで勇太と会えたことが分かった。
「どういう・・」
「私と真子ちゃんは図書館前で会わなければ、お互いにひとりで自信がないままでした。こんなにうまくいってないです」
ルナにしてもしかりで、階段から落ちる勇太と遭遇しなければ何もなかった。
カオルもルナを試合で失神させなかったら、特筆する出会いになっていない。
純子&麗子など、お腹を減らした勇太が偶然にパン屋に入ったから逢えた。
「私達は、何かがずれていれば勇太さんと接点がなかったかもしれない。けれど梓ちゃんだけは違います」
勇太が心を入れ替えたとき、最初に梓の生活を整えるためのお金を母の葉子に渡した。
梓がバイトで大事な最初の約束をドタキャンした。すると勇太は次の日に延期してくれた。
バイトも手伝ってくれた。
7月末に籍を入れた日、3月にカオルと一緒に処女喪失をしたいと言ったら快諾してくれた。
「他にも色々とありますよね、梓ちゃん」
「ありますね・・」
「私だったら、ドタキャン1回で殿方に捨てられる自信があります」
「言われてみれば、普通はそうかもです・・」
「この男女比1対12の世界で、そんな都合を受け入れられてるでしょ」
真子&嘉菜は、少しのボタンの掛け違いがあったなら、勇太との縁は途切れていたと感じている。
逆に梓は、2番目以下の嫁ズが入れ替わっていたとしても1番目は間違いなかった。嘉菜はそう言う。
「それにね、勇太さんがエロカワ変身したのは、梓ちゃんの仕事を手伝ったことがきっかけでしょう」
「あ・・」
「自信を持ちましょうよ。私も真子ちゃんも、別格の梓ちゃんが羨ましいんですから」
梓は、このテーマで初めてすっきりしている。
嘉菜に言われた『別格』の二文字が心に響いた。
「ありがとう嘉菜さん、なんか元気出た」
「どういたしまして。少しだけ借りを返せましたかね」
嘉菜は思い出す。
勇太の6人目の嫁ズになれた日も、パラ高でお膳立てを整えていてくれたのは梓。
勇太ファミリーがスムーズなのは勇太の人格が大きい。だけど色んな調整は梓がやってくれる。
勇太&真子の誕生日の放課後デート、クリスマスの勇太&カオルも梓が誘導した。
梓自身は自分が得することもないのに、率先してやってくれる。
自分の1月5日の勇太とのデートも、梓が調整してくれた。
嘉菜は右手を差し出した。
「さ、私の頼りになる妹様、そろそろみんなの待ち合わせ時間ですよ」
「うん、お姉ちゃん」
人混みの中でみんなと合流するために、ふたりはしっかり手を繋いだ。
ふたりは神社の裏の方を歩いている。
ふたりで歩くのは初めて。
「嘉菜さん、そういえば私達って姉妹でしたね」
「そうですよ。挨拶して数ヵ月だけど」
「じゃあ、そんなにかしこまらないで下さい。呼び方も呼び捨てがいいです」
嘉菜は考え込んだ。すごく真面目だ。
「私達の結び付きは姉妹というより、勇太さんの嫁ズですよ。だから、大変な最初の妻を買って出てくれた梓ちゃんに敬意を払わないと」
「だけど、実際に陽介父さんを介して、血が繋がってますもん」
「私の個人意見です。梓ちゃんとの結びつきは、嫁同士の方が嬉しいんです」
嘘偽りない嘉菜の本心だ。
「うわ、お姉ちゃん頑固だ。カッチカチ」
「これでも『マカド』の跡継ぎですからね」
ふたりして、少し笑った。
「そもそも私達って、姉妹っぽい過ごし方皆無でしたね」
「そうですね。勇太さんが捨て身で助けてくれなければ、家の都合で絶縁してたかもだし」
「ユウ兄ちゃんの捨て身か・・うらやましい」
「ええ? うらやましいのは私の方ですよ。勇太さんと普通にキスしているし、梓ちゃん」
「けどね・・」
梓は自分が運命の女性達に割り込んでいるのではないかと気がかりだ。
自分以外はみんな勇太の嫁ズに加わるときドラマチックな出来事があった。
勇太の嫁ズはルナの冤罪晴らしに始まり、目立つところで嫁ズと転機を迎えた。
嘉菜の時だって、勇太は裁判所で勝てる調停で負けを選んだ。そして半分前科を付けたような形で嘉菜への愛を示した。
自分も愛されているとは思うけど、麗子のように告白をされた訳でもない。純子のように歌ってシンクロした訳でもない。
※ちなみに麗子に告白したのはパラレル勇太。
梓はカオルとルナに、間違いなく勇太に愛されていると言われた。だから最初の嫁だと言われたけど、気持ちが揺らぐことがある。
「ふふふ、逆ですよ、梓ちゃん」
「え・・逆って」
「私、梓ちゃんの不安のことをちらりと耳にして、みんなに話を聞きました」
すると嘉菜は、自分達も含め少ないタイミングで勇太と会えたことが分かった。
「どういう・・」
「私と真子ちゃんは図書館前で会わなければ、お互いにひとりで自信がないままでした。こんなにうまくいってないです」
ルナにしてもしかりで、階段から落ちる勇太と遭遇しなければ何もなかった。
カオルもルナを試合で失神させなかったら、特筆する出会いになっていない。
純子&麗子など、お腹を減らした勇太が偶然にパン屋に入ったから逢えた。
「私達は、何かがずれていれば勇太さんと接点がなかったかもしれない。けれど梓ちゃんだけは違います」
勇太が心を入れ替えたとき、最初に梓の生活を整えるためのお金を母の葉子に渡した。
梓がバイトで大事な最初の約束をドタキャンした。すると勇太は次の日に延期してくれた。
バイトも手伝ってくれた。
7月末に籍を入れた日、3月にカオルと一緒に処女喪失をしたいと言ったら快諾してくれた。
「他にも色々とありますよね、梓ちゃん」
「ありますね・・」
「私だったら、ドタキャン1回で殿方に捨てられる自信があります」
「言われてみれば、普通はそうかもです・・」
「この男女比1対12の世界で、そんな都合を受け入れられてるでしょ」
真子&嘉菜は、少しのボタンの掛け違いがあったなら、勇太との縁は途切れていたと感じている。
逆に梓は、2番目以下の嫁ズが入れ替わっていたとしても1番目は間違いなかった。嘉菜はそう言う。
「それにね、勇太さんがエロカワ変身したのは、梓ちゃんの仕事を手伝ったことがきっかけでしょう」
「あ・・」
「自信を持ちましょうよ。私も真子ちゃんも、別格の梓ちゃんが羨ましいんですから」
梓は、このテーマで初めてすっきりしている。
嘉菜に言われた『別格』の二文字が心に響いた。
「ありがとう嘉菜さん、なんか元気出た」
「どういたしまして。少しだけ借りを返せましたかね」
嘉菜は思い出す。
勇太の6人目の嫁ズになれた日も、パラ高でお膳立てを整えていてくれたのは梓。
勇太ファミリーがスムーズなのは勇太の人格が大きい。だけど色んな調整は梓がやってくれる。
勇太&真子の誕生日の放課後デート、クリスマスの勇太&カオルも梓が誘導した。
梓自身は自分が得することもないのに、率先してやってくれる。
自分の1月5日の勇太とのデートも、梓が調整してくれた。
嘉菜は右手を差し出した。
「さ、私の頼りになる妹様、そろそろみんなの待ち合わせ時間ですよ」
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