モブ顔の俺が男女比１対12のパラレルワールドに転生。またも同じ女の子を好きになりました

128 勇太効果の副産物

９月30日の月曜日。

勇太、ルナで少し早めに登校した。梓は例によってカオルにお弁当を届けに行った。

学校に到着すると、待ち合わせた10人の女子が待っていた。

主だったところは４人。

ルナと同じ２年４組の足達リエコ。
梓と同じ２年のバドミントン部でヤヒロカナエ、アシベヒロコ。
水面下で勇太のサポートをしている勇太ファンクラブ会長・３年の郷田サキ。

「で、どうしました皆さん」
「リエコまで、改まってなんだろ」

「実は・・」

ここにいる女子は、ネットにアップした動画の収益のことで勇太に相談に来た。

「５月のルナへのプロポーズ動画再生回数が累計4000万回を越えた？で、収益が出たと・・」

勇太は、何を相談されているのか分からない。

確かに勇太も、何本か自分絡みの動画は見た。

今世では世界規模で一番人気の『sotube』に投稿されている。

中身は恥ずかしいし、詳細は真剣に見ていない。再生回数をチェックして感心していた。

再生回数の多さに、さすが男が少ない世界と。その程度の感想だった。

５月の収益が今月になって計上された。ちなみに勇太は知らないが、前世より遅い。

投稿内容に男子撮影のコンプライアンス審査などがあり、間を置いている。

４ヶ月間で多くの動画を撮られている勇太だが、投稿はゼロ。勇太ファミリーの面々も、ルナが１度だけゴブリンパンを作る勇太を投稿した。そして放置。

なので勇太どころか、ルナ、梓、カオルもこの問題には無頓着だった。

足達リエコが困っている。

「私はルナと近いとこにいるでしょ。動画のアップ数も多いし、人気の動画が２本も独占でしょ。すごいことになってて・・」

人気の２本とは５月の動画でタイトルがこれ。

１本目は『女子のために戦う男子・勇太君』

ルナを馬鹿にした才賀ヨータローに勇太が飛びかかった動画。再生回数5000万回。

２本目は『ルナの初めて生音声実況』

保健室での初エッチ。再生回数2500万回。

どちらも国内外問わず反応も多い。

リエコは勇太とルナの日常、初のあ～ん、ぱく、などもネットに上げている。

登録者数50万人。再生100万回越えの動画を多く抱え、注目のチャンネルとなっている。

そして、多くの人気ソーチューバーと違い、撮影機材や交通費も使っていない。

５月には半月程度しか動画が流れていないのにサラリーマンの月収並みの利益が出てしまった。

またバドミントン部の人間も、勇太の部活シーンを撮って再生回数が稼げてしまった。

郷田が言うには、ここにいる10人以外にも困惑している人がいる。

郷田は、パラ高で勇太が初めて女子にハグしまくった動画を持っている。最初の伸びが良くて再生回数は1000万回。

「他にも茶薔薇学園の合同練習、勇太君の歌なんかは再生回数が伸びてるの」

「ふむふむ」

「ん～、だから勇太君を勝手に撮って得た収益だから、勇太君に渡すべきだって人がいて、相談されたの」

「え、俺に？」

「もちろん私達も同意見。勇太君個人では何のアカウントも作ってないから、私達のところに問い合わせが来たのよ」

「そう。勇太君に、収益の受け渡し方法を聞いてって頼まれたの」

勇太は前世でユーチューバーの存在は知っていた。動画の再生回数が多いとお金になるという基礎知識だけある。漠然と。


足達リエコには前に収益の話をされた記憶がある。

希少な男子動画なら１万円くらい収益が出るかと思った程度。収益は自分のものにしてくれと言った。

そのスタンスは変わらない。歌なんかで稼がせてもらえるし、応援してくれる人にネット収益で還元できればいいかと思っている、

だけど、ここでは返事はしない。

「もう一回、昼休みに集まりましょうよ。収益は皆さんでもらってもらうつもりですけど、金銭が絡むことなんで、ファミリーで相談してから返事します」

「・・だね勇太」

ルナは、家庭の事情からあまりお金がない友人リエコに収益金が渡るのを歓迎している。

それも、自身の恥ずかしい動画を削除申請しない理由のひとつ。


この世界、性的なものに対して各分野の規制が甘い。だけど男子モノはなんのコンテンツでも投稿数が少ない。

今回は勇太絡み、すなわち男性の動画だから勇太から申請があれば即削除。

防犯の名目から男子の動画はネット上に上がる。その後に肌が露出した動画の99パーセントは男性本人の申請で削除されている。

けれど削除申請さえなければ、勇太とルナの性器さえ映っていなければセーフというほど、本来のハードルは低い。


だからこそ、無頓着な勇太のエロカワ動画に人気が集まるのだ。