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136 文化祭が始まった
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10月12日土曜日。2日間に渡るパラ高文化祭のスタートである。
人がすごい。そして体育館に流れている。
今日の目玉は、伊集院君が参加する2年3組の劇『シンデレラ』
午後1時スタート。
現在は午前10時。なのに壮絶な場所取り合戦が始まっている。
勇太ら柔道部、バドミントン部合同カフェもスタートした。
こちらも人が山ほどいる。
会場の空き教室。1度に迎え入れられるお客さんは20人。だけど外に列ができている。
勇太は1時から自分のクラスの劇で裏方仕事を手伝う。その旨は伝えてある。
結局、執事カフェから海軍カフェに名前を方向を変更。
だけど看板には『カフェ蜃気楼』としか書いてない。
最初のお客さんがきた。
他校の女子高生のようだ。勇太が着用する見慣れない服。
ノーヒント状態だ。
こちらの世界に詰め襟服はなかったから、お客さん第一号は見当がつかない。
「第七艦隊、戦艦蜃気楼へようこそ。会議室へご案内します」
「え、なに?」
「軍部の司令官?」
「会議の資料をお持ちしました」
「資料?あ、メニューね」
「ああ、作戦会議室カフェなんだ」
待ちの人たちがガン見している。
勇太君、見たことない衣装つけてる・・
4人くらいいるよ、あの白い服・・
軍人だね、そういうコンセプトなんだ・・
男子の敬礼って、いいね~
待っている人が口々に感想を言っている。
「じゃあ私は三等兵のクッキーセットを」
「あ、私も」
「初めてお迎えした上官殿です。男子将校によるあ~ん、ぱく、はいかがでしょうか」
ルナが勝手に追加オプションを申し出ている。
「まじ、あのネットで見たやつ?」
「ぜ、ぜひお願いします」
あ~ん、ぱくで文化祭が始まった。
早速、スマホで撮影されている。
白い詰襟服は勇太だけ固定。あとの3着は女の子達で着まわし制にする。
詰め襟以外には、海上自衛官風なセーラータイプの服を持ち寄った。
詰襟学生服で真っ直ぐ立つと、みんな男装の麗人になって凛々しい。
勇太と写真を撮りたいとリクエストが多い。だけどルナ、梓、その他の女の子もお願いされている。
「あ、あのー、図々しいですけど、その白い服を着て撮影できませんか」
詰め襟を着て写真を撮りたいという、お客さんのリクエストにも応えた。
体格が勇太と同じくらいの子が着てみたいと言ったときだ。
「じゃあ、俺の着てみて」
「いいんです、か、か、か・・」
勇太は最近、自分のエロさのことを忘れていた。
勇太は暑がり。
白い詰襟服を脱ぐと、乳首が浮き出るくらいピッタリで薄いタンクトップ1枚だった。
カオルにもらった室内トレーニング用。外で披露してはいけないやつだ。
「ユウ兄ちゃん、迂闊だよ、相変わらず」
梓がつぶやいた。
なぜか詰襟女子と薄っすーいタンクトップ勇太の撮影大会になってしまった。
なんとか収めて、通常の海軍カフェ再開。
そこに柔道の練習を終えたカオルが仲間5人と来た。
「お、早速、新しい服を使ってるな」
カオルには1度、服を着せている。さすがにカオル用に作ってやつをいきなりレンタルはできない。
許可も取った。
「混んでるからアタイらは早めに帰るよ」
勇太はイタズラを思い付いた。カオルにも白い詰め襟服を羽織らせた。
トーンを変えた。カオルを立たせたまま、至近距離に近付いた。
「カオル下士官、戦艦蜃気楼にようこそ」
「な、あ、う、はい」
「今日の作戦は分かっているな」
ここまでの2時間と違ったカフェのムードに注目が集まった。
「さ、作戦?」
「そうだ、ん? カオル下士官、まさか忘れたのか!」
怒気を含んだ言い方で、普段とは違いすぎる勇太だ。
「わ、分かりません」
カオルを立たせた勇太はカオルの顎をつかんだ。そして耳元で重低音を響かせた。
「貴様、それでも軍人か」
「あ、はう、あ」
「貴様、別室に来い。思い出すまで、たっぷり尋問してやる」
「・・・ふえっ」
「覚悟しておけ」
「は、はわわわわ」
「ぷっ」「ぷぷっ」
いきなり演技した勇太に焦るカオル。ルナと梓が耐え切れず吹き出した。
「あっ、ダメだよ、梓もルナも。笑っちゃー」
「ごめーん」「びびったカオルちゃんも可愛い」
「な、なんだよ演出かよ。焦らせんなよー」
ちょっと涙目のカオルである。
昨日の夜、家で勇太と梓が遊んだバージョンだ。かなりの至近距離。
家では、このあと軽く火が着いた梓に勇太がキスされまくった。
この『軍人ごっこ』は柔道部、バドミントン部の運営スタッフ、要するに両部長の話し合いにより止められた。
ちょっと破壊力がありすぎる。
人前で女子が男子を怒ることが滅多にない世界。
逆があるかと思えば、それも少ない。レストランなどのクレームで店員女子を罵倒する最低男子はいる。
ほとんどの男子はパラレル勇太と同様に、肉食の女子相手に喧嘩なんてできない。
この軍人ごっこのように、やたらと距離が近く、気持ちまで籠もった男と女のリアルな喜怒哀楽劇。男女比1対12の世界では、一般的に見られるものではない。
柔道部、バドミントン部の面々は準備のときに経験している。
勇太に怒られる側、怒る側のどっちにしても、心に響くものがある。
特に怒られる側を味わったあとは、何かがぐしょぐしょに濡れていた。
勇太はカオル相手だから遊び心でやった。軽い気持ち。
だけど、ここに集まった女の子には未知の世界だった。
人がすごい。そして体育館に流れている。
今日の目玉は、伊集院君が参加する2年3組の劇『シンデレラ』
午後1時スタート。
現在は午前10時。なのに壮絶な場所取り合戦が始まっている。
勇太ら柔道部、バドミントン部合同カフェもスタートした。
こちらも人が山ほどいる。
会場の空き教室。1度に迎え入れられるお客さんは20人。だけど外に列ができている。
勇太は1時から自分のクラスの劇で裏方仕事を手伝う。その旨は伝えてある。
結局、執事カフェから海軍カフェに名前を方向を変更。
だけど看板には『カフェ蜃気楼』としか書いてない。
最初のお客さんがきた。
他校の女子高生のようだ。勇太が着用する見慣れない服。
ノーヒント状態だ。
こちらの世界に詰め襟服はなかったから、お客さん第一号は見当がつかない。
「第七艦隊、戦艦蜃気楼へようこそ。会議室へご案内します」
「え、なに?」
「軍部の司令官?」
「会議の資料をお持ちしました」
「資料?あ、メニューね」
「ああ、作戦会議室カフェなんだ」
待ちの人たちがガン見している。
勇太君、見たことない衣装つけてる・・
4人くらいいるよ、あの白い服・・
軍人だね、そういうコンセプトなんだ・・
男子の敬礼って、いいね~
待っている人が口々に感想を言っている。
「じゃあ私は三等兵のクッキーセットを」
「あ、私も」
「初めてお迎えした上官殿です。男子将校によるあ~ん、ぱく、はいかがでしょうか」
ルナが勝手に追加オプションを申し出ている。
「まじ、あのネットで見たやつ?」
「ぜ、ぜひお願いします」
あ~ん、ぱくで文化祭が始まった。
早速、スマホで撮影されている。
白い詰襟服は勇太だけ固定。あとの3着は女の子達で着まわし制にする。
詰め襟以外には、海上自衛官風なセーラータイプの服を持ち寄った。
詰襟学生服で真っ直ぐ立つと、みんな男装の麗人になって凛々しい。
勇太と写真を撮りたいとリクエストが多い。だけどルナ、梓、その他の女の子もお願いされている。
「あ、あのー、図々しいですけど、その白い服を着て撮影できませんか」
詰め襟を着て写真を撮りたいという、お客さんのリクエストにも応えた。
体格が勇太と同じくらいの子が着てみたいと言ったときだ。
「じゃあ、俺の着てみて」
「いいんです、か、か、か・・」
勇太は最近、自分のエロさのことを忘れていた。
勇太は暑がり。
白い詰襟服を脱ぐと、乳首が浮き出るくらいピッタリで薄いタンクトップ1枚だった。
カオルにもらった室内トレーニング用。外で披露してはいけないやつだ。
「ユウ兄ちゃん、迂闊だよ、相変わらず」
梓がつぶやいた。
なぜか詰襟女子と薄っすーいタンクトップ勇太の撮影大会になってしまった。
なんとか収めて、通常の海軍カフェ再開。
そこに柔道の練習を終えたカオルが仲間5人と来た。
「お、早速、新しい服を使ってるな」
カオルには1度、服を着せている。さすがにカオル用に作ってやつをいきなりレンタルはできない。
許可も取った。
「混んでるからアタイらは早めに帰るよ」
勇太はイタズラを思い付いた。カオルにも白い詰め襟服を羽織らせた。
トーンを変えた。カオルを立たせたまま、至近距離に近付いた。
「カオル下士官、戦艦蜃気楼にようこそ」
「な、あ、う、はい」
「今日の作戦は分かっているな」
ここまでの2時間と違ったカフェのムードに注目が集まった。
「さ、作戦?」
「そうだ、ん? カオル下士官、まさか忘れたのか!」
怒気を含んだ言い方で、普段とは違いすぎる勇太だ。
「わ、分かりません」
カオルを立たせた勇太はカオルの顎をつかんだ。そして耳元で重低音を響かせた。
「貴様、それでも軍人か」
「あ、はう、あ」
「貴様、別室に来い。思い出すまで、たっぷり尋問してやる」
「・・・ふえっ」
「覚悟しておけ」
「は、はわわわわ」
「ぷっ」「ぷぷっ」
いきなり演技した勇太に焦るカオル。ルナと梓が耐え切れず吹き出した。
「あっ、ダメだよ、梓もルナも。笑っちゃー」
「ごめーん」「びびったカオルちゃんも可愛い」
「な、なんだよ演出かよ。焦らせんなよー」
ちょっと涙目のカオルである。
昨日の夜、家で勇太と梓が遊んだバージョンだ。かなりの至近距離。
家では、このあと軽く火が着いた梓に勇太がキスされまくった。
この『軍人ごっこ』は柔道部、バドミントン部の運営スタッフ、要するに両部長の話し合いにより止められた。
ちょっと破壊力がありすぎる。
人前で女子が男子を怒ることが滅多にない世界。
逆があるかと思えば、それも少ない。レストランなどのクレームで店員女子を罵倒する最低男子はいる。
ほとんどの男子はパラレル勇太と同様に、肉食の女子相手に喧嘩なんてできない。
この軍人ごっこのように、やたらと距離が近く、気持ちまで籠もった男と女のリアルな喜怒哀楽劇。男女比1対12の世界では、一般的に見られるものではない。
柔道部、バドミントン部の面々は準備のときに経験している。
勇太に怒られる側、怒る側のどっちにしても、心に響くものがある。
特に怒られる側を味わったあとは、何かがぐしょぐしょに濡れていた。
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だけど、ここに集まった女の子には未知の世界だった。
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