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105 麗子、責任取ってよ

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ハル母さんの病気のことで悩んでいた麗子。

その治療費用を麗子の彼女でしかない純子が、歌で得られる収益から出そうとしている。

どうしたらいいか分からなくなった麗子が、本来の歌の権利を持つ勇太のところに来た。

麗子が純子に、多額のお金を借りる、または出してもらうのは、筋が違うということだ。

勇太、麗子、ルナ、梓で色々と話をしているところだった。

そこに純子が現れた。


「馬鹿だね、麗子」

「馬鹿とはなによ・・」

「ユリエママとも、ハル母さんとも話したよね。お金は貸す形にする。返済は、あるとき払いの催促なし。それでいいんだよ」

「だけど・・」

「ハル母さんも再手術して悪くなる可能性があるとこも全部を取り除いてもらう。それから、人工骨で補強すんの」

「え、それじゃ考えていた金額じゃすまない」
「だから、そのお金は私が出す。勇太君に力借りてだけど、何とかできる」

「ダメだよ」
「ダメじゃない。私、あんたの彼女でしょ。ハル母さんだって無関係じゃない」

かなり純子が怒っている。

そして麗子が涙声になった。

「・・純子の足を引っ張りたくないの」

「足を引っ張る?」

「純子ってパンの歌を歌い出してから、生き生きしてる。本当にやりたいこと見つかったよね」

「まあ、チャンスが生まれたね」

「だったら、そっちに集中して・・」

「何言ってるの麗子」

麗子は、ろくにお金も出せないパン屋の仕事を手伝ってくれる純子に感謝している。

だけどウスヤにか関わって、未来のために使える時間が削られることに心を痛めている。

自分が足枷になっていると、ここ最近は感じている。

「純子の貴重な時間を取ってしまってる。子供番組のオファーも断ったよね」

純子は麗子に近付いた。

そして・・

ぺしっと、麗子の頭を軽く叩いた。

「逆でしょ」
「逆?」

「私が急いでボイストレーニング受けたりしてんのは、誰のためだと思ってるの」

「・・・」

「分かってる。私が他人だから、お金が受け取れないって言うんでしょ。だったら・・」

純子は1枚の紙を出した。

「・・なにそれ」
「麗子に言うこと聞かせるための、人身売買契約書」

『婚姻届』と書いてあった。

「麗子が勇太君の男子プロポーズを断ってまで私を選んでくれた。私も、それに応えるしかないよね」

「純子、私は嬉しいけど・・」

「麗子、みんなの前で真実の愛って言ったんだから、あんたは私のものだよ。責任取ってよね」

「ホントに私でいいの」

純子は麗子の手を握った。

「うん。だからハル母さんも私の母さんになるんだからね」

「あ、ありがとう」

勇太達は、収まるとこに収まったなと思い、手をたたこうとした。

だが・・


「純子」
「どうしたの麗子」

「勇太君のことも好きだよね」
「すごく恩もできたし、正直に言えば惹かれてるね」

「ふむ?」
勇太が真横にいるのに、勝手に話し始めている。

「私も。2回も告白を断ったのに、勇太君が無償の愛をくれて、彼の人柄が分かった」

「ふむ?」

勇太は、パラレル勇太が告白してるけど2回目はしていないと言いたい。それに無償はいいとしても『愛』ではない。

思い込みの激しさにブーストがかかっている麗子に、嫌な予感がしている。梓とルナも慌てている。

3人ともシカトされている。

「だから純子」
「分かってる麗子」

「来年の6月に勇太君が3回目の告白をしてくれる。今度こそ受けるよ」
「うん」

「私達は先に入籍して、一緒に勇太君のお嫁さんになろう」


「だね」。小さな声で賛同するルナ。

「ふむ?」。理解できない勇太。

「なんじゃ、そりゃ」。呆れる梓。

見つめ合う麗子と純子。


勇太は、またしても俺は置き去りかいな、と言いたい。

6月に純子のクラスで騒動が起きたとき、来年も6月に勇太が麗子に告白リベンジマッチをやる流れになっている。

そこは、断られる前提でいた。

しかし今の会話を聞く限り、麗子はOKする気だ。

それも麗子の脳内で告白は、交際の申し込みからプロポーズに格上げ。プラス、セットで純子まで付いて来ることになっている。

暴走している。

「勇太、これで将来のお嫁さんは5人まで確定だね」
なぜ、パラレルルナは満面の笑顔を見せてくれるんだろうと思う。

まずはカオルも入れて4人で相談しなければ。梓も頭が痛い。

それ以前に勇太は思っている。

来年始まるのは、純子&麗子との交際。間違っても婚姻届持ってくるなよ、と。

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