101 / 254
101 必殺、ソフトタッチ固め
しおりを挟む
カオルのために勇太が茶薔薇学園に行った。代替わりしても歓迎してくれる。
早めに行くと言ってあったのに、部員が揃っていた。
「おはよう~勇太君」
「おっはよ~山田さん。部長になったんだね」
勇太の方から握手を求め、山田は喜んで応じた。
山田ツバキ。
勇太が茶薔薇学園を訪れたとき、初めて乱取りした相手である。166センチのショートヘアで面長の目元がきつい美形。
60キロ級の2段。柔道の強さではカオルとハラダシノの方が上だが、名門校の実力ナンバー3。
弱いわけがない。
人をまとめる力があって満場一致で部長に選ばれた。野獣系のカオルとハラダは誰も推さなかった。
ツバキは機転も利く。初めて勇太を押さえ込んだとき、長く密着したくて3分押さえ込んで1本だと嘘を教えた。
そして部員からの人望が倍増した。
今日は18人が練習に参加。準備運動から熱が入る。
「山田部長」
「勇太君、ツバキで頼む」
「じゃあツバキ部長、さっきのストレッチで聞きたいんだけど・・」
「ああ、あれはね・・」
山田はもくろんでいた。勇太とは少なくとも1年間は濃い交流ができる。
それなら山田部長と呼ばれるよりもツバキ部長と呼ばれたい。
『勇太君、ツバキで頼む』のセリフ。
簡単に出たようで、そうでもない。この1週間、毎日100回ずつ練習していた。
内心でガッツポーズしている。
彼女も格好よくて女子にモテるハンサム系。だから広い意味で、女子にしかモテない不知火マイコ系なのだ。
勇太はカオルの新しい技の練習に付き合っている。プラス左腕を使わせないための監視係。
カオルは右限定ながら、インターハイでは片腕の技が意外と使えそうな雰囲気だった。
隠し武器のような位置づけで作る。
30分後、カオルがばったりと倒れた。
「はあっ、はあっ。ちくしょうー、怪我明けとはいえ、これくらいの練習でへばるなんてな」
「ほらカオル、休めよ。まだ無理すんなって」
「いや、もっとやれる」
「まったく・・。その無茶をさせないために、俺が来たんだけどね。うりゃっ」
「な、なにすんだ」
勇太はカオルの後ろに座って、カオルの背中を股の間に乗せた。
そしてカオルの後頭部を胸に密着させ、首に手を回して優しく抱いた。
首の下から回した左手の手のひらで、頬を撫でている。
「はいは~い。梓やルナにも無理させんなって頼まれてるの。このまんま10分寝とこうな」
「う、うああ、うあ」
カオルがパニクっている。
勇太が転生後に濃く接してきたのは梓とルナ。
梓は別居の父と定期的に会うし、勇太と同居5年目。ルナも、この世界では珍しく父親と普通に暮らしている。プラス勇太と唯一、体の関係まである。
梓とルナは、この世界の女子では男子に慣れている方に入る。
勇太は、そのあたりがパラレルワールドの女子のスタンダードだと勘違いしている。
2人と同じ感じで、カオルと密着している。
カオルは家族は沢山いるが、男子と接したことがない。
ネットでは、今年の格闘技界イチのモテ女と言われているが、突然にモテただけだ。
ゼロから100になった。
いきなり勇太、伊集院君に距離を詰められたけれど、いまだに男子免疫が少ない。
嬉しいと思う前に、この状況にビビっている。
ツバキ新部長が、すごい目で見ている。今、戦ったら万全でも勝てる気がしない。
いや、部員も般若のような顔をしている。
プラス勇太の感触、響く声、漂うフェロモン・・
「・・・あぐっ」
キャパオーバーだ。
高校入学直後に絞め技を食らっても気絶しなかったカオル。なのに、勇太から首に手を回されただけでオチてしまった。
それもソフトタッチ。
「カオル、寝たのか?おしおし、少し休もうな」
部員はざわついている。
「あれって・・」
「カオル先輩、寝てるっていうか、オチてない?」
1年生が心配している。
「幸せ固めが極っただけだよ」
「勇太君にあの技かけて欲しいぜ」
「ちくしょ、幸せそうな顔で気絶しやがって」
「ほっとけ」
「ずっと寝てろ」
カオルと同じ2年生は辛辣である。
カオルは目覚めて再び特訓した。そして倒れて、またも勇太にソフトタッチ固めを食らった。
早めに行くと言ってあったのに、部員が揃っていた。
「おはよう~勇太君」
「おっはよ~山田さん。部長になったんだね」
勇太の方から握手を求め、山田は喜んで応じた。
山田ツバキ。
勇太が茶薔薇学園を訪れたとき、初めて乱取りした相手である。166センチのショートヘアで面長の目元がきつい美形。
60キロ級の2段。柔道の強さではカオルとハラダシノの方が上だが、名門校の実力ナンバー3。
弱いわけがない。
人をまとめる力があって満場一致で部長に選ばれた。野獣系のカオルとハラダは誰も推さなかった。
ツバキは機転も利く。初めて勇太を押さえ込んだとき、長く密着したくて3分押さえ込んで1本だと嘘を教えた。
そして部員からの人望が倍増した。
今日は18人が練習に参加。準備運動から熱が入る。
「山田部長」
「勇太君、ツバキで頼む」
「じゃあツバキ部長、さっきのストレッチで聞きたいんだけど・・」
「ああ、あれはね・・」
山田はもくろんでいた。勇太とは少なくとも1年間は濃い交流ができる。
それなら山田部長と呼ばれるよりもツバキ部長と呼ばれたい。
『勇太君、ツバキで頼む』のセリフ。
簡単に出たようで、そうでもない。この1週間、毎日100回ずつ練習していた。
内心でガッツポーズしている。
彼女も格好よくて女子にモテるハンサム系。だから広い意味で、女子にしかモテない不知火マイコ系なのだ。
勇太はカオルの新しい技の練習に付き合っている。プラス左腕を使わせないための監視係。
カオルは右限定ながら、インターハイでは片腕の技が意外と使えそうな雰囲気だった。
隠し武器のような位置づけで作る。
30分後、カオルがばったりと倒れた。
「はあっ、はあっ。ちくしょうー、怪我明けとはいえ、これくらいの練習でへばるなんてな」
「ほらカオル、休めよ。まだ無理すんなって」
「いや、もっとやれる」
「まったく・・。その無茶をさせないために、俺が来たんだけどね。うりゃっ」
「な、なにすんだ」
勇太はカオルの後ろに座って、カオルの背中を股の間に乗せた。
そしてカオルの後頭部を胸に密着させ、首に手を回して優しく抱いた。
首の下から回した左手の手のひらで、頬を撫でている。
「はいは~い。梓やルナにも無理させんなって頼まれてるの。このまんま10分寝とこうな」
「う、うああ、うあ」
カオルがパニクっている。
勇太が転生後に濃く接してきたのは梓とルナ。
梓は別居の父と定期的に会うし、勇太と同居5年目。ルナも、この世界では珍しく父親と普通に暮らしている。プラス勇太と唯一、体の関係まである。
梓とルナは、この世界の女子では男子に慣れている方に入る。
勇太は、そのあたりがパラレルワールドの女子のスタンダードだと勘違いしている。
2人と同じ感じで、カオルと密着している。
カオルは家族は沢山いるが、男子と接したことがない。
ネットでは、今年の格闘技界イチのモテ女と言われているが、突然にモテただけだ。
ゼロから100になった。
いきなり勇太、伊集院君に距離を詰められたけれど、いまだに男子免疫が少ない。
嬉しいと思う前に、この状況にビビっている。
ツバキ新部長が、すごい目で見ている。今、戦ったら万全でも勝てる気がしない。
いや、部員も般若のような顔をしている。
プラス勇太の感触、響く声、漂うフェロモン・・
「・・・あぐっ」
キャパオーバーだ。
高校入学直後に絞め技を食らっても気絶しなかったカオル。なのに、勇太から首に手を回されただけでオチてしまった。
それもソフトタッチ。
「カオル、寝たのか?おしおし、少し休もうな」
部員はざわついている。
「あれって・・」
「カオル先輩、寝てるっていうか、オチてない?」
1年生が心配している。
「幸せ固めが極っただけだよ」
「勇太君にあの技かけて欲しいぜ」
「ちくしょ、幸せそうな顔で気絶しやがって」
「ほっとけ」
「ずっと寝てろ」
カオルと同じ2年生は辛辣である。
カオルは目覚めて再び特訓した。そして倒れて、またも勇太にソフトタッチ固めを食らった。
59
お気に入りに追加
252
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?
悠
ファンタジー
貞操逆転世界に転生してきた日浦大晴(ひうらたいせい)の通う学園には"独特の校風"がある。
それは——男子は女子より立場が弱い
学園で一番立場が上なのは女子5人のメンバーからなる生徒会。
拾ってくれた九空鹿波(くそらかなみ)と手を組み、まずは生徒会を攻略しようとするが……。
「既に攻略済みの女の子をさらに落とすなんて……面白いじゃない」
協力者の鹿波だけは知っている。
大晴が既に女の子を"攻略済み"だと。
勝利200%ラブコメ!?
既に攻略済みの美少女を本気で''分からせ"たら……さて、どうなるんでしょうねぇ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる