93 / 296
93 この世界の神事とは
しおりを挟む
パラレルお盆になった。
カオルは安静期間も過ぎて、右手だけの筋トレを始めた。普通に外出も可能だ。
タイミングも良かったので、夏祭りに行くことにした。
今回は8人。
今日は8月15日で、由緒あるパラ南神社のお祭り。境内に続く道と階段に提灯が並んで、まずまずの規模。人もたくさん出ている。
勇太、ルナ、梓、カオルに、純子と臼鳥麗子のカップルで6人。
ダメ元で誘ってみた伊集院君も、婚約者の1人笠山ヒスイとデートの予定だったから、そのまんま合流してくれた。
このメンバーの総勢8人で歩いている。
電車をパラ南神社前で降りて伊集院君を待っていると、伊集院君は黒塗りの高級車でやってきた。
一旦は車に乗せられて、近くの呉服屋に入った。
そして神社まで歩いてきた。
やはり伊集院君といると目立つ。普段の数倍は注目されている。
そう素直に思う勇太だ。
◆
伊集院君は、意外にも初めての夏祭り。
小さい頃は、警備がとうだとか言われて我慢したとか。大事にされてきたけれど、やりたいことが全部できたわけでもない。
優しい伊集院君は周囲に気遣って生きてきた。
ただ、世界の有名な祭典を直接見ている。生のパラレルオーロラも見ている。
「すげっ、前世と違ってパラレル伊集院君って、すげえセレブなんだよな」。勇太は呟いている。
伊集院君は勇太に感謝している。
パラレル市限定になるが、勇太やみんなとセットなら、特攻してくる女子はいない。
だから、『普通』に歩ける。
「射的やろうよ勇太君。あれが金魚すくいだね。ヒスイ君、あのリンゴ飴とはなんだい」
「うふふ。光輝さん、落ち着いて。みんなビックリしてるよ」
「あはは。ついね」
なんと伊集院君のテンションがムチャ高い。
完全に珍しいものを見た子供だ。
笠山ヒスイが笑っている。それを見た伊集院君が照れている。
勇太と伊集院君は、普通の格好。
女子6人は伊集院君が用意してくれた浴衣を着ている。急なお誘いなのに、伊集院君は手配してくれた。
笠山ヒスイは黄色が基調。純子と麗子は、赤でお揃いのデザイン。
ルナは少しだけ黄色が入った青の基調。日暮れ直後に浮かんだ月のイメージだ。
梓は赤とピンクのベースに大きな花。美人だし華やかだ。
カオルは白にヒマワリをあらかじめリクエストしていた。一応は乙女だ。
小6で青い浴衣を着たとき、上野駅の西郷隆盛子像そっくりだった。濃い色の浴衣はトラウマなのだ。
勇太はどこでも人気だ。
「勇太くーん、こんばんはー」
「あ、どうもでーす」
「あ、今日はおふたり一緒ですね~」
「伊集院君、勇太君、楽しんでますかー」
「はいよ」
「うん、楽しんでますよ~」
勇太かパラレル市で目立ち始めて3か月。注目はされているが、東京のような過剰な感じはしなくなった。
女子達は、軽い挨拶だけで通り過ぎていく。
撮影されるのは相変わらずでも、伊集院君、勇太自身というより、その彼女らに遠慮してくれている感じだ。
カフェ店員で色んな女性と話すうち、相手も考えてくれるようになったようだ。
「そうそう、この距離感がいいんだよね。勇太君」
「ははは。東京では違ったけど、やっぱり地元がいいね」
「そうだね。勇太君のおかげで色んなことが分かったよ」
最近は7人の婚約者との関係が円滑とか。勇太から学んだ通り、無理に全員平等に接することなく、相手のリクエストを聞いて動くという。
勇太が東京で会った婚約者は茶道の家元の娘さん。普段はお堅い雰囲気だけど、2人のときは意外と甘えん坊だったとか。
ごちそうさんです。げぷっ。
◆
ぱんっと、射的の音がむなしく響いている。
「ちくしょー、もうやってらんねー」
「もう行こうよ、カオルちゃん。巫女さんの舞が始まるよ」
「左手さえ無事なら・・」。負けず嫌いのカオルだ。
今日のメインイベント。神社の境内で子宝祈願を願って巫女が踊る。
この辺は勇太の元の世界とまったく違う。男子減少からこっち、五穀豊穣よりも大事にされている。
4メートルある巨大で黒光りする木製ペ●スが地面からギンギンに立っている。周りを囲んだ4人の巫女が、箏楽器の音に合わせて舞っている。
白い巫女服の襟が大きく開き、胸がはみ出ている。赤い袴もスリットがすごい。
巫女さんの表情を見ると真剣。巨大●ニスに乳を押しつけたりするけど真剣。
まさに神事だ。
男女比1対12の世界。世界中に、こんなお祭りがある。むしろ、こっちがスタンダードだ。
女性陣だけでなく、パラレル伊集院君も手を合わせて真剣に舞を見ている。
勇太は集中できない。
どうしても、巨大ペニ●の巨大な亀頭にしか目がいかない。
カオルは安静期間も過ぎて、右手だけの筋トレを始めた。普通に外出も可能だ。
タイミングも良かったので、夏祭りに行くことにした。
今回は8人。
今日は8月15日で、由緒あるパラ南神社のお祭り。境内に続く道と階段に提灯が並んで、まずまずの規模。人もたくさん出ている。
勇太、ルナ、梓、カオルに、純子と臼鳥麗子のカップルで6人。
ダメ元で誘ってみた伊集院君も、婚約者の1人笠山ヒスイとデートの予定だったから、そのまんま合流してくれた。
このメンバーの総勢8人で歩いている。
電車をパラ南神社前で降りて伊集院君を待っていると、伊集院君は黒塗りの高級車でやってきた。
一旦は車に乗せられて、近くの呉服屋に入った。
そして神社まで歩いてきた。
やはり伊集院君といると目立つ。普段の数倍は注目されている。
そう素直に思う勇太だ。
◆
伊集院君は、意外にも初めての夏祭り。
小さい頃は、警備がとうだとか言われて我慢したとか。大事にされてきたけれど、やりたいことが全部できたわけでもない。
優しい伊集院君は周囲に気遣って生きてきた。
ただ、世界の有名な祭典を直接見ている。生のパラレルオーロラも見ている。
「すげっ、前世と違ってパラレル伊集院君って、すげえセレブなんだよな」。勇太は呟いている。
伊集院君は勇太に感謝している。
パラレル市限定になるが、勇太やみんなとセットなら、特攻してくる女子はいない。
だから、『普通』に歩ける。
「射的やろうよ勇太君。あれが金魚すくいだね。ヒスイ君、あのリンゴ飴とはなんだい」
「うふふ。光輝さん、落ち着いて。みんなビックリしてるよ」
「あはは。ついね」
なんと伊集院君のテンションがムチャ高い。
完全に珍しいものを見た子供だ。
笠山ヒスイが笑っている。それを見た伊集院君が照れている。
勇太と伊集院君は、普通の格好。
女子6人は伊集院君が用意してくれた浴衣を着ている。急なお誘いなのに、伊集院君は手配してくれた。
笠山ヒスイは黄色が基調。純子と麗子は、赤でお揃いのデザイン。
ルナは少しだけ黄色が入った青の基調。日暮れ直後に浮かんだ月のイメージだ。
梓は赤とピンクのベースに大きな花。美人だし華やかだ。
カオルは白にヒマワリをあらかじめリクエストしていた。一応は乙女だ。
小6で青い浴衣を着たとき、上野駅の西郷隆盛子像そっくりだった。濃い色の浴衣はトラウマなのだ。
勇太はどこでも人気だ。
「勇太くーん、こんばんはー」
「あ、どうもでーす」
「あ、今日はおふたり一緒ですね~」
「伊集院君、勇太君、楽しんでますかー」
「はいよ」
「うん、楽しんでますよ~」
勇太かパラレル市で目立ち始めて3か月。注目はされているが、東京のような過剰な感じはしなくなった。
女子達は、軽い挨拶だけで通り過ぎていく。
撮影されるのは相変わらずでも、伊集院君、勇太自身というより、その彼女らに遠慮してくれている感じだ。
カフェ店員で色んな女性と話すうち、相手も考えてくれるようになったようだ。
「そうそう、この距離感がいいんだよね。勇太君」
「ははは。東京では違ったけど、やっぱり地元がいいね」
「そうだね。勇太君のおかげで色んなことが分かったよ」
最近は7人の婚約者との関係が円滑とか。勇太から学んだ通り、無理に全員平等に接することなく、相手のリクエストを聞いて動くという。
勇太が東京で会った婚約者は茶道の家元の娘さん。普段はお堅い雰囲気だけど、2人のときは意外と甘えん坊だったとか。
ごちそうさんです。げぷっ。
◆
ぱんっと、射的の音がむなしく響いている。
「ちくしょー、もうやってらんねー」
「もう行こうよ、カオルちゃん。巫女さんの舞が始まるよ」
「左手さえ無事なら・・」。負けず嫌いのカオルだ。
今日のメインイベント。神社の境内で子宝祈願を願って巫女が踊る。
この辺は勇太の元の世界とまったく違う。男子減少からこっち、五穀豊穣よりも大事にされている。
4メートルある巨大で黒光りする木製ペ●スが地面からギンギンに立っている。周りを囲んだ4人の巫女が、箏楽器の音に合わせて舞っている。
白い巫女服の襟が大きく開き、胸がはみ出ている。赤い袴もスリットがすごい。
巫女さんの表情を見ると真剣。巨大●ニスに乳を押しつけたりするけど真剣。
まさに神事だ。
男女比1対12の世界。世界中に、こんなお祭りがある。むしろ、こっちがスタンダードだ。
女性陣だけでなく、パラレル伊集院君も手を合わせて真剣に舞を見ている。
勇太は集中できない。
どうしても、巨大ペニ●の巨大な亀頭にしか目がいかない。
53
お気に入りに追加
263
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
男女比1対99の世界で引き篭もります!
夢探しの旅人
恋愛
家族いない親戚いないというじゃあどうして俺がここに?となるがまぁいいかと思考放棄する主人公!
前世の夢だった引き篭もりが叶うことを知って大歓喜!!
偶に寂しさを和ますために配信をしたり深夜徘徊したり(変装)と主人公が楽しむ物語です!
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる