85 / 300
85 パラレル東京観光
しおりを挟む
色々とあって、ルナと東京で2人きりになった勇太。
前世の東京に行ったことがないくせに、パラレル東京を見物することにした。
羽田空港がパラレルでは神奈川県川崎空港になっていたけど、パラレル山手線は存在した。
浅草に行くとパラレル雷門もあった。
パラレル浅草寺でルナと一緒に写真を撮っていると、日本語を話す外国人の女性旅行者らに声をかけられた。一緒に撮りたいと言われた。それも5組くらい。
この辺りには男子もそこそこいる。なのに何故、勇太とルナのところに来たのか分からない。
とりあえずは応じた。リクエストされて肩も組んだ。
東京は男性的には治安が特にいい街になっている。パラレル市では外で見ない普通顔の男子も何人かいた。
大ざっぱな勇太の感覚では、パラレル市の4~5倍の男子出現率だ。必ず女子と一緒というのは共通。
そして、それらを映している女性も見かける。
「これなら、ルナと俺も周囲から変な注目を浴びずに、普通にデートできるな」
「そうだね。気兼ねなくて、今日も楽しいね」
これはルナも少し間違っている。注目はすごい。
注意して見ると、歩いている男子は違う街より多いが、一緒にいる女性が最低でも3人。
そして男子は薄手でもギリギリまで露出を抑えた服を着ている。
勇太だけが完全な1対1の男女のデート。
その上に勇太は8月のアスファルトの上を歩くために、バミューダパンツ、固定具付きサンダル、薄茶の女物シャツにボタン2個空け。
さっきの旅行者は来日前、ネットで日本の男子を検索。そこで必ず現れる『YUUTA』の存在を知っていた。
そして勇太のフェロモンと優しさを浴びて、どんどんSNSに感想を書き込んでいる。
その勇太が大切に扱うルナ。そのルナは旅行者から勇太への図々しいお願いに嫌な顔をすることがなく、むしろシャッターを押してくれたりした。
敬意を込めて『KOKESIGIRL』と紹介している。悪口のつもりではない。
この世界にはコケティッシュという褒め言葉はない。
まあ勇太もルナも、昨日までの3日間は柔道会場で数百人単位からガン見され続けていた。
本当はすごく注目されているのに、感覚が麻痺している。
パラレル東京タワー、少し名前は変わっているが、スカイツリーのパラレルな塔にも行った。
そして2人でパラレル秋葉原に来た。
勇太は前世のテレビやネットで見て、秋葉原はメイドカフェやアニメなどサブカルの聖地だと認識していた。
画像は入院中も映像は見ていた。
だからパラレル秋葉原とのギャップを楽しもうと極力、予備知識を持たずに来てみた。
「ん、何か思ってたのと違うぞ・・」
至る所にアニメ柄の看板等があるが、モチーフは5割くらい男子。前世の映像で見た魔法少女などの少女柄はゼロかと思えば、5割くらいは女の子の絵だった。
「そういや、女子同士の恋愛も多いんだし、オタクも多様化するわな」
1人で感心して、ルナに笑われた。
メイドカフェはない。もしかしたらと思っていたが、少なくともルナは聞いたことがない。
代わりに執事系カフェが何軒もある。
女子に奉仕する男性設定だけど、店員に男子はゼロらしい。身長高めの男装女子が正統派のお店にいる。
あとは、小柄とかぽっちゃりとか、お客の性癖に合わせて何店舗かマニア店があるとか。
そのうち、男女比1対1の異世界貴族学院をテーマにした一軒に、ルナと入ってみることにした。
2人で店に入った。クラシック音楽が緩やかに流れている。
客席のテーブルや椅子は重厚な感じ。お金持ちのサロン風だ。
店は混んでいて、スーツか、13世紀イギリス風のコスチュームを着用した男装女子が5人、お客さん20人の間を動き回っていた。
店員さんの1人が、ルナ達のところに来て、右手を伸ばして腰を折った。
「お帰りなさいませ、お嬢様がた・・あれれ」
「あのー、この店って男子でも入っていいんですか」
「ああああ、パラレル市の男性カフェ店員、勇太君だ!」
「あの勇太君?」
「マジ!」
店員だけでなく、お客さんも立ち上がって勇太を見た。
勇太の方が驚いた。男性もそこそこいる大都会パラレル東京に、自分を知っていて、見分けられる人がいると思わなかった。
とにかく、さっきまでのシックなムードを壊してしまった。
「いい感じのお店なのに・・。なんか営業妨害してすみません」
「あ、いえいえ。こちらこそすみません」
店員さんが勇太を知っているのは、ある意味当たり前だった。
勇太は極めて珍しい本物の男性カフェ店員。仕事の参考にしようと思い、彼女らは勇太をチェックしている。
それよりも、勇太を接客しに来たオスカルこと、山田依子は感心している。
騒ぎになった瞬間、勇太はドヤ顔をするどころか、店側に迷惑をかけてしまったと謝った。
優しいと評判だったが本当だ。短慮な男性でなく、きちんと『女性的』な常識的視点もある。
希少で甘やかされている男子とは思えない対応。
ネットで見せている謙虚な態度は、作られたものではないと思った。
前世の東京に行ったことがないくせに、パラレル東京を見物することにした。
羽田空港がパラレルでは神奈川県川崎空港になっていたけど、パラレル山手線は存在した。
浅草に行くとパラレル雷門もあった。
パラレル浅草寺でルナと一緒に写真を撮っていると、日本語を話す外国人の女性旅行者らに声をかけられた。一緒に撮りたいと言われた。それも5組くらい。
この辺りには男子もそこそこいる。なのに何故、勇太とルナのところに来たのか分からない。
とりあえずは応じた。リクエストされて肩も組んだ。
東京は男性的には治安が特にいい街になっている。パラレル市では外で見ない普通顔の男子も何人かいた。
大ざっぱな勇太の感覚では、パラレル市の4~5倍の男子出現率だ。必ず女子と一緒というのは共通。
そして、それらを映している女性も見かける。
「これなら、ルナと俺も周囲から変な注目を浴びずに、普通にデートできるな」
「そうだね。気兼ねなくて、今日も楽しいね」
これはルナも少し間違っている。注目はすごい。
注意して見ると、歩いている男子は違う街より多いが、一緒にいる女性が最低でも3人。
そして男子は薄手でもギリギリまで露出を抑えた服を着ている。
勇太だけが完全な1対1の男女のデート。
その上に勇太は8月のアスファルトの上を歩くために、バミューダパンツ、固定具付きサンダル、薄茶の女物シャツにボタン2個空け。
さっきの旅行者は来日前、ネットで日本の男子を検索。そこで必ず現れる『YUUTA』の存在を知っていた。
そして勇太のフェロモンと優しさを浴びて、どんどんSNSに感想を書き込んでいる。
その勇太が大切に扱うルナ。そのルナは旅行者から勇太への図々しいお願いに嫌な顔をすることがなく、むしろシャッターを押してくれたりした。
敬意を込めて『KOKESIGIRL』と紹介している。悪口のつもりではない。
この世界にはコケティッシュという褒め言葉はない。
まあ勇太もルナも、昨日までの3日間は柔道会場で数百人単位からガン見され続けていた。
本当はすごく注目されているのに、感覚が麻痺している。
パラレル東京タワー、少し名前は変わっているが、スカイツリーのパラレルな塔にも行った。
そして2人でパラレル秋葉原に来た。
勇太は前世のテレビやネットで見て、秋葉原はメイドカフェやアニメなどサブカルの聖地だと認識していた。
画像は入院中も映像は見ていた。
だからパラレル秋葉原とのギャップを楽しもうと極力、予備知識を持たずに来てみた。
「ん、何か思ってたのと違うぞ・・」
至る所にアニメ柄の看板等があるが、モチーフは5割くらい男子。前世の映像で見た魔法少女などの少女柄はゼロかと思えば、5割くらいは女の子の絵だった。
「そういや、女子同士の恋愛も多いんだし、オタクも多様化するわな」
1人で感心して、ルナに笑われた。
メイドカフェはない。もしかしたらと思っていたが、少なくともルナは聞いたことがない。
代わりに執事系カフェが何軒もある。
女子に奉仕する男性設定だけど、店員に男子はゼロらしい。身長高めの男装女子が正統派のお店にいる。
あとは、小柄とかぽっちゃりとか、お客の性癖に合わせて何店舗かマニア店があるとか。
そのうち、男女比1対1の異世界貴族学院をテーマにした一軒に、ルナと入ってみることにした。
2人で店に入った。クラシック音楽が緩やかに流れている。
客席のテーブルや椅子は重厚な感じ。お金持ちのサロン風だ。
店は混んでいて、スーツか、13世紀イギリス風のコスチュームを着用した男装女子が5人、お客さん20人の間を動き回っていた。
店員さんの1人が、ルナ達のところに来て、右手を伸ばして腰を折った。
「お帰りなさいませ、お嬢様がた・・あれれ」
「あのー、この店って男子でも入っていいんですか」
「ああああ、パラレル市の男性カフェ店員、勇太君だ!」
「あの勇太君?」
「マジ!」
店員だけでなく、お客さんも立ち上がって勇太を見た。
勇太の方が驚いた。男性もそこそこいる大都会パラレル東京に、自分を知っていて、見分けられる人がいると思わなかった。
とにかく、さっきまでのシックなムードを壊してしまった。
「いい感じのお店なのに・・。なんか営業妨害してすみません」
「あ、いえいえ。こちらこそすみません」
店員さんが勇太を知っているのは、ある意味当たり前だった。
勇太は極めて珍しい本物の男性カフェ店員。仕事の参考にしようと思い、彼女らは勇太をチェックしている。
それよりも、勇太を接客しに来たオスカルこと、山田依子は感心している。
騒ぎになった瞬間、勇太はドヤ顔をするどころか、店側に迷惑をかけてしまったと謝った。
優しいと評判だったが本当だ。短慮な男性でなく、きちんと『女性的』な常識的視点もある。
希少で甘やかされている男子とは思えない対応。
ネットで見せている謙虚な態度は、作られたものではないと思った。
54
お気に入りに追加
273
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

男女比1対99の世界で引き篭もります!
夢探しの旅人
恋愛
家族いない親戚いないというじゃあどうして俺がここに?となるがまぁいいかと思考放棄する主人公!
前世の夢だった引き篭もりが叶うことを知って大歓喜!!
偶に寂しさを和ますために配信をしたり深夜徘徊したり(変装)と主人公が楽しむ物語です!

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。

男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる