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77 またも公開プロポーズ
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インターハイに出場するカオルの応援に東京まで来た勇太。
明日は個人戦。一旦は宿泊先に来た。
勇太、ルナ、梓はテレビでインターハイ特集をやっていると聞いて、テレビを付けた。
いきなり自分に似た人が画面の中にいて、勇太は思考が止まった。
「・・誰?」「ユウ兄ちゃんだよ」「勇太かっこいい」
いきなり、茶薔薇学園のキクタが勇太に抱き締められて泣いているシーンが映っている。そのあとに、優勝した新潟代表のインタビューが短時間だけ放映された。
「・・なにこれ」
そして試合前に勇太が歌ってる場面とか、その他のシーンもたくさんある。
特番のメインではなく、サイドストーリー的コーナーなのに時間が長い。
特に勇太とカオルの絡みだ。
確かに取材には応じた。それは終わった団体戦、次の日からの個人戦、色んな話の中でスポットで10秒くらい映るモブシーンだと思っていた。
なんでこうなる。
勇太は、男子が少ない世界だから、こんなこともある。珍しいだけと思いつつも、恥ずかしくて仕方がない。
女神様は精神耐性は付けてくれなかったようだ。
「すげえ、前世なら切り抜かれても1秒で終わる映像だよ、これ。さすが男女比1対12の世界」
時間を少しさかのぼる。
インターハイ柔道団体で茶薔薇学園は3位だった。決定戦はない。
表彰式も終わり、次の日の個人戦に備え、宿舎に帰ることになった。もちろん勇太らは茶薔薇とは別にホテルをとっている。
とりあえず明日に向けて勇太が茶薔薇柔道部を激励したときだ。
「ちょ~っと、お待ち下さい」
江戸テレビを名乗るクルーが現れた。
東京の地元開催で柔道のインターハイも特集を組んであるとのこと。ぶっちゃけ、タカラヅカ歌劇団系女子・不知火マイコ枠だと明かされた。
「しかし、さっきの坂元さんの茶薔薇学園選手の抱擁シーンにネットで大反響がありましてね・・」
珍しい行動を取る男子で視聴率を稼ぎたいとはっきり言われた。美人さんのドヤ顔に勇太も毒気を抜かれた。
あと、彼女の誘導尋問に勇太ファミリーは、簡単に引っ掛かかった。
「桜塚部長さん、坂元さんは皆さんとどういう関係ですか?」
「ああ、そこにいる63キロ級代表の今川カオルが勇太君の彼女だよ」
「ちょ、ちょい部長」
「おおお、本当に恋人だったんですね! ネットで見た熱愛ぶりは本当なんですね」
「ア、アタイ達は、そんな感じじゃなくて、勇太にはルナも梓もいて・・」
「カオルちゃんも、ルナさんと私と一緒にユウ兄ちゃんのお嫁さんになります!」
「は」「ほ」「へ?」
梓がいきなり爆弾を投下した。
テレビクルーらも、驚きの声を上げた。
「これは素晴らしいですね。一流のアスリート女子は、他のことをする暇がなかったり、男子にすこお~しだけ、男子と、ほんのすこ~し、縁がないんですよね~」
インタビュアーの人が、ちょっと意地悪な目をしている。
「本格的な柔道家が、男性とお付き合いすると、何も尽くしてくれないでしょう」
勇太はちょっとむっとした。
「俺達がカオルに合わせればいいだけの話でしょう。俺達は3人でカオルの柔道を応援してるんです」
「女子が男子と付き合えたなら、男子に尽くすのは、当たり前では・・」
「別に、俺らのファミリーでは、そんな決まりはありません」
どうせ電波には乗らないと思い、勇太はしっかり意見を言った。
「俺は柔道を続けるカオルをサポートします。ルナと梓も同じです。だから俺達3人は、カオルにとって癒しになればいいです」
カオルが目を見開いて真っ赤だ。
「そうですよね~。大事なものをカオルに犠牲にさせても、意味がないですね~」。ルナも口を挟んだ。
「で、ではいずれカオルさんと坂元さんも結婚するのですか」
梓が、座った目になって前に出た。
「します。カオルちゃんとユウ兄ちゃんの入籍は、来年の3月3日です。カオルちゃんは同じ日に、私やルナさんとも入籍します」
「え」「え」「え」「へえー」
カオル、レポーター、勇太、ルナの順番で声を出した。
そう、当事者であるカオルも勇太も驚いている。どうも梓の独断のようだ。ルナは平常運転。
きゃ~、きゃ~、きゃーーーー。体育館が揺れるほど歓声が上がった。
秘密にしてきた勇太との入籍が周囲にバレた梓。なんとなく開き直りつつある。
勇太との関係がいきなり進展したカオル。インタビューの材料も柔道意外は用意していない。パニクった。
「あ、いや、その、あ、あ、勇太とは・・」
勇太はカオルの手を握った。ビクッとしたカオルは言葉が止まった。
勇太も、ゴールは分かっているなら、ここで否定してカオルに恥をかかせる必要もないと思った。
「・・・・勇太」
「カオル、梓やルナと一緒に俺と家族になろうよ」
とてもシンプル。勇太は笑いながら、照れるカオルの肩を抱いた。
「う、うん、アタイなんかでもいいのか・・」
「もちろん」
「こ、これから、しあわせに・・」。カオルの声が女子達の嬌声にかき消された。
ルナに続く公開プロポーズ。それもインターハイの真っ最中だ。
しどろもどろで顔を赤くしたカオルに、全国の格闘女子からたくさんの称賛、たくさんのヘイトが集まっている。
ルナは唖然とするギャラリーの中で、拍手した。周囲も釣られて拍手した。
高校在学中にプロポーズされる人間は、そこそこいる世界。だけどインターハイの開催中の公開プロポーズは例がない。
それらの映像が、きっちりテレビで流れた。おまけのコーナーなのに、20分を優に越えていた。
CMに入ったテレビの前で勇太は呟いた。
「この辺、カットしてくれって言ったのに・・」
モテていても、顔もモブなら心もモブ。恥ずかしさで頭を抱える勇太だった。
明日は個人戦。一旦は宿泊先に来た。
勇太、ルナ、梓はテレビでインターハイ特集をやっていると聞いて、テレビを付けた。
いきなり自分に似た人が画面の中にいて、勇太は思考が止まった。
「・・誰?」「ユウ兄ちゃんだよ」「勇太かっこいい」
いきなり、茶薔薇学園のキクタが勇太に抱き締められて泣いているシーンが映っている。そのあとに、優勝した新潟代表のインタビューが短時間だけ放映された。
「・・なにこれ」
そして試合前に勇太が歌ってる場面とか、その他のシーンもたくさんある。
特番のメインではなく、サイドストーリー的コーナーなのに時間が長い。
特に勇太とカオルの絡みだ。
確かに取材には応じた。それは終わった団体戦、次の日からの個人戦、色んな話の中でスポットで10秒くらい映るモブシーンだと思っていた。
なんでこうなる。
勇太は、男子が少ない世界だから、こんなこともある。珍しいだけと思いつつも、恥ずかしくて仕方がない。
女神様は精神耐性は付けてくれなかったようだ。
「すげえ、前世なら切り抜かれても1秒で終わる映像だよ、これ。さすが男女比1対12の世界」
時間を少しさかのぼる。
インターハイ柔道団体で茶薔薇学園は3位だった。決定戦はない。
表彰式も終わり、次の日の個人戦に備え、宿舎に帰ることになった。もちろん勇太らは茶薔薇とは別にホテルをとっている。
とりあえず明日に向けて勇太が茶薔薇柔道部を激励したときだ。
「ちょ~っと、お待ち下さい」
江戸テレビを名乗るクルーが現れた。
東京の地元開催で柔道のインターハイも特集を組んであるとのこと。ぶっちゃけ、タカラヅカ歌劇団系女子・不知火マイコ枠だと明かされた。
「しかし、さっきの坂元さんの茶薔薇学園選手の抱擁シーンにネットで大反響がありましてね・・」
珍しい行動を取る男子で視聴率を稼ぎたいとはっきり言われた。美人さんのドヤ顔に勇太も毒気を抜かれた。
あと、彼女の誘導尋問に勇太ファミリーは、簡単に引っ掛かかった。
「桜塚部長さん、坂元さんは皆さんとどういう関係ですか?」
「ああ、そこにいる63キロ級代表の今川カオルが勇太君の彼女だよ」
「ちょ、ちょい部長」
「おおお、本当に恋人だったんですね! ネットで見た熱愛ぶりは本当なんですね」
「ア、アタイ達は、そんな感じじゃなくて、勇太にはルナも梓もいて・・」
「カオルちゃんも、ルナさんと私と一緒にユウ兄ちゃんのお嫁さんになります!」
「は」「ほ」「へ?」
梓がいきなり爆弾を投下した。
テレビクルーらも、驚きの声を上げた。
「これは素晴らしいですね。一流のアスリート女子は、他のことをする暇がなかったり、男子にすこお~しだけ、男子と、ほんのすこ~し、縁がないんですよね~」
インタビュアーの人が、ちょっと意地悪な目をしている。
「本格的な柔道家が、男性とお付き合いすると、何も尽くしてくれないでしょう」
勇太はちょっとむっとした。
「俺達がカオルに合わせればいいだけの話でしょう。俺達は3人でカオルの柔道を応援してるんです」
「女子が男子と付き合えたなら、男子に尽くすのは、当たり前では・・」
「別に、俺らのファミリーでは、そんな決まりはありません」
どうせ電波には乗らないと思い、勇太はしっかり意見を言った。
「俺は柔道を続けるカオルをサポートします。ルナと梓も同じです。だから俺達3人は、カオルにとって癒しになればいいです」
カオルが目を見開いて真っ赤だ。
「そうですよね~。大事なものをカオルに犠牲にさせても、意味がないですね~」。ルナも口を挟んだ。
「で、ではいずれカオルさんと坂元さんも結婚するのですか」
梓が、座った目になって前に出た。
「します。カオルちゃんとユウ兄ちゃんの入籍は、来年の3月3日です。カオルちゃんは同じ日に、私やルナさんとも入籍します」
「え」「え」「え」「へえー」
カオル、レポーター、勇太、ルナの順番で声を出した。
そう、当事者であるカオルも勇太も驚いている。どうも梓の独断のようだ。ルナは平常運転。
きゃ~、きゃ~、きゃーーーー。体育館が揺れるほど歓声が上がった。
秘密にしてきた勇太との入籍が周囲にバレた梓。なんとなく開き直りつつある。
勇太との関係がいきなり進展したカオル。インタビューの材料も柔道意外は用意していない。パニクった。
「あ、いや、その、あ、あ、勇太とは・・」
勇太はカオルの手を握った。ビクッとしたカオルは言葉が止まった。
勇太も、ゴールは分かっているなら、ここで否定してカオルに恥をかかせる必要もないと思った。
「・・・・勇太」
「カオル、梓やルナと一緒に俺と家族になろうよ」
とてもシンプル。勇太は笑いながら、照れるカオルの肩を抱いた。
「う、うん、アタイなんかでもいいのか・・」
「もちろん」
「こ、これから、しあわせに・・」。カオルの声が女子達の嬌声にかき消された。
ルナに続く公開プロポーズ。それもインターハイの真っ最中だ。
しどろもどろで顔を赤くしたカオルに、全国の格闘女子からたくさんの称賛、たくさんのヘイトが集まっている。
ルナは唖然とするギャラリーの中で、拍手した。周囲も釣られて拍手した。
高校在学中にプロポーズされる人間は、そこそこいる世界。だけどインターハイの開催中の公開プロポーズは例がない。
それらの映像が、きっちりテレビで流れた。おまけのコーナーなのに、20分を優に越えていた。
CMに入ったテレビの前で勇太は呟いた。
「この辺、カットしてくれって言ったのに・・」
モテていても、顔もモブなら心もモブ。恥ずかしさで頭を抱える勇太だった。
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