上 下
49 / 300

49 純子と遭遇しなかった理由

しおりを挟む
パラレル純子は、勇太最愛のルナの双子の妹。

同じ学校で同じ学年。そのうち会うかと思えば、校内で会わなかった。学校には行っていたが、授業終了と同時に学校を出ていた。

あらゆる人を避けていたそうだ。

階段も3階の端を使っていた。2年の校舎棟は横長。階段は1組の左横、3組と4組の間、6組の右横のさらに奥にある。下駄箱は6組が一番近い。

勇太は3組で、基本的に4組のルナと待ち合わせて3組横の階段から降りる。純子は6組横からダッシュで帰っていた。そしてパン屋に直行。


2か月前、勇太が転生した直後に純子は糾弾されていたらしい。

純子はセック●クイーンの異名を持って同性から羨望のまなざしを受けていた。

しかし、昨年の10月から少しずつ雲行きが怪しくなっていた。

9月までは女子を山ほど抱いた。男子もルナを介して知り合ったりして、計3人と関係を持った。

簡単に言えば、調子に乗りすぎた。これは純子本人談だ。

10月、ルナが彼女として連れてきた女子と自宅で関係を持ってしまった。

女子が大半のこの世界。男子を女子同士でシェアする関係で嫉妬心は少ない。しかし、仁義はある。

男女比1対12の世界では、男女比1対1の世界に比べて女子が男子をゲットするのに使う労力、金銭が大きい。

神経もすり減らす。勇太とルナ、伊集院君どパラ高の婚約者3人のように、女性がノーリスクだった方がレアケース。

梓だって、ゲスだったパラレル勇太程度の男に尽くした。ストレスが極限までたまり、女遊びをしてしまうほど苦悩した。

梓の母葉子も金銭面の不安が生じるほど、パラレル勇太にお金を渡していた。

有名な例は、血筋が名門である伊集院光輝君。産まれた瞬間から、彼の婚約者に娘を据えるために動いた金持ちが多数。億単位の金銭が右から左へと流れている。

過去には一族の存亡をかけて、男子を囲うこともあった。複数の女子で協力して男子の生活基盤を整えることもあった。

口約束でも契約は絶対だった。

そこに無関係の女性が横入りしたとき、恐ろしいことが起きた。

知らなかったで済まされるケースなどない。男子がいかに横入りした女子を寵愛していようと、男子に実権などない。


浮気、寝取りに関しては、パラレル世界と勇太の前世では結末が大きく違う。

男子が少なすぎる。

次の恋を探そうにも、相手はいない。女性が一度のチャレンジで失うものが大きすぎるのだ。

血みどろの事件録が残されている。

だからトラブルを避けるため、恋人として付き合う前や、関係を持つ前に、誰もが同時期に付き合っている人間の有無などを申告するようになった。

いや、申告せねばならない。

重婚可能な上に、同性で結婚できる世界。自由に見えてリスクも大きい。

婚姻の際には財産の権利に複数の人間が絡んでしまうので、相続権と放棄の手続きが勇太の前世よりもはるかに複雑だ。

法の抜け穴をくぐる、詐欺まがいの事件も多発した。

断罪のため、刃傷沙汰が横行した時期もあった。

その流れで性別を問わず、寝取りや横取りは『悪』。

男子1人と女子複数が付き合うことは容認されている世界。

だけどそれは、女子が寛容な世界だから話し合いの上に成り立つ。

男子も女性が自分を得るのに支払った対価を考えねばならない。裏切ったら、どのくらいの報復が待っているかと。

未婚であっても『黙って浮気』、『黙って二股』などはモラルが低いとされる。


純子はルナが家に連れてきた女の子と自分の部屋でヤッた。

実は純子だけが悪い訳ではない。

その女の子は以前は純子と付き合って別れていた。純子は円満に終わったつもりでも、女の子は大きな未練があった。

少し病んでいた。

ちょうど彼女を作ろうとしていたルナを利用して、純子に再び近付いた。

女の子は、純子にはルナに偶然に会ったと嘘をついた。以前のように家に入れてもらったと濁した。

ルナが母親が用意したお茶を取りに行った隙を突いた。そして女の子は純子の部家のドアを少し開けたまま、純子に覆い被さった。

最後に1回と懇願して素早く脱いで、純子も脱がせた。

そこを、お茶を運んできたルナと、手伝ってくれた母親に見られた。

純子から見ると、寝取りをさせられた。

伊集院君に話かけられたときも、最初は笑顔で対応した。しかしルナ目当てと知って落胆し、塩対応が幾つかあった。

伊集院君もアウトだけど、最初は良かった伊集院ファンの心証を悪くした。

気をつけているつもりでも、脇が甘かった。

3人目に関係を持った男子は、婚約者がいることを黙っていた。

男子が悪いが、純子も婚約者が自分のクラスメイトのような気がしたのに、確認しなかった。

確認して婚約者ナシと音声でも残しておけば、少なくとも純子は糾弾されない。

純子は、各方面からヘイトを集め始め、少しずつ悪い噂が立っていた。


決定的だったのは、勇太が転生した5月10日。パラレル勇太を階段から突き落としたとして、双子の姉・ルナが逮捕されそうになった、あの日だ。

しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?

ファンタジー
貞操逆転世界に転生してきた日浦大晴(ひうらたいせい)の通う学園には"独特の校風"がある。 それは——男子は女子より立場が弱い 学園で一番立場が上なのは女子5人のメンバーからなる生徒会。 拾ってくれた九空鹿波(くそらかなみ)と手を組み、まずは生徒会を攻略しようとするが……。 「既に攻略済みの女の子をさらに落とすなんて……面白いじゃない」 協力者の鹿波だけは知っている。 大晴が既に女の子を"攻略済み"だと。 勝利200%ラブコメ!? 既に攻略済みの美少女を本気で''分からせ"たら……さて、どうなるんでしょうねぇ?

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

貞操逆転世界の男教師

やまいし
ファンタジー
貞操逆転世界に転生した男が世界初の男性教師として働く話。

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

男女比1/100の世界で《悪男》は大海を知る

イコ
ファンタジー
男女貞操逆転世界を舞台にして。 《悪男》としてのレッテルを貼られたマクシム・ブラックウッド。 彼は己が運命を嘆きながら、処刑されてしまう。 だが、彼が次に目覚めた時。 そこは十三歳の自分だった。 処刑されたことで、自分の行いを悔い改めて、人生をやり直す。 これは、本物の《悪男》として生きる決意をして女性が多い世界で生きる男の話である。

処理中です...