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55 二度フラれる男
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勇太の予測通り、純子はクラスメイトから責められている。
婚約者を寝取られたという長野多香子。
勇太は、今の純子の状況を知ったルナは、きっと純子を助けようとすると予想した。ルナも断罪の原因に少しだけ絡んでいる。
そのルナをサポートするため、女神の知識を使うことを思い付いた。
勇太がルナの横に立って、真顔で声を出している。
「判例では昭和62年、男子であっても結婚を匂わせた詐欺として処罰された。その男性には配偶者もおり、それを黙って架空の結婚式代金を払わせたため罪は加算された。そして重婚法の第87条では・・」
スマホで確認している女子が驚いた。勇太の口から出る法律関連の中身が正確なのだ。
テストの平均点が24点だった勇太がた!
せっかくの知識だが、女神がインプットしてくれたのは前世と違うことだけ。物理とか数学など、どっちの世界でも共通していることはサービスなし。
勇太はむしろ、そっちをインプットしてよと思った。
さて、この場合は女子にとって、勇太のセリフの中身は問題でなくなってきた。
エロ可愛い勇太の口から流れるように出てくる言葉。もちろん言葉は、女神印の魅力ある響きに乗せられている。
質が高い音楽のように響いてくる。
近くにいるルナ、純子、麗子は、うっとりと耳を傾けている。敵である長野も顔が赤くなった。
免疫がない2年6組の女子は、勇太を見て頬が赤くなってきた。
梓がこの光景をあとでネットで見て、ヤバいと呟くことになる。
勇太は続けた。
「ま、この場合、民事訴訟でも立証は難しいと感じるけど、どうするの長野さん」
「う、うう。私は・・」
「あ、ああ、ごめん長野さん」
「え?」
「君も被害者みたいなもんだから。俺も法律とか持ち出して悪かった」
自分が使えるレベルのネタが切れた。気遣っているふりをして強引に収めようとする勇太である。
「相手が好きで盲目になるのもいいけど、しっかり見極めないと怪我をするよ」
「・・わかった」
「ありがとう、ふー」
しかし長野は、まだ興奮している。
「・・訴えるってのは言い過ぎた。だけど、なんであなた達が純子を助けるの?特に花木ルナ」
「私?」
「そうだよ花木ルナ、あんたは純子に色々と食らってるでしょ」
ルナは、即答できない。そして、いつものように考え出した。
「そんな女を救っても、メリットなんかないでしょ」
ルナは微笑んだ。ちょっと苦笑いが入っている。
「だね~、メリットなんてないよねー。それに、まだ姉妹のわだかまりも沢山残ってるよ」
「なら、なんでなの」
「メリットでしょ。そんなもんなくても、私に良くしてくれる人がいるの。その人から学んだの」
「そんな人、いないよね」
「いるよ。ここに勇太がいるもん」
「え、あ・・」
「冤罪から救ってくれた勇太が、その後も私に優しくしてくれるんだよね。だから勇気も沸いてくるんだ」
「・・・」
「それに、似てなくても純子とは姉妹だもん」
「純子は、あなたに何か返してくれるの」
「ふふふ。希少な男子の勇太が私に見返りなんか求めてないんだよ。私も純子にお返しなんて貰わなくても、満たされてるもん」
ルナは、勇太の手をぎゅっと握った。勇太も握り返した。
「純子は、私じゃなくて麗子さんに何かしてあげて欲しいな」
「お姉ちゃん・・」
長野は、まだ納得がいかないようだ。
「麗子はいい人間だから、純子の手をつかんだだけだよ。純子、あんたを本気で好きになる人間なんているもんか」
かなりトゲがある言葉。一瞬、教室内が静まりかえった。
「いますよ」
沈黙を破ったのは、臼鳥麗子だった。
「ルナさんと純子の共通の友人は、純子を許せない。だけど私は純子しか知らない。純子と2ヶ月一緒にいた私には反省しているのも良く分かる」
「・・麗子」
「私の家業のパン屋が大変なのを知って、見返りもなく休みの日も手伝ってくれる」
純子は、パラレルも根が優しいんだと勇太は思った。
「一緒にうちでご飯を作って食べて楽しかった」
麗子が純子を優しい目で見ている。
一気にムードが柔らかくなった。
「だからね、私から迫って関係を持ったけど、純子ってセッ●スもうまいの。誰よりもイカせてくれたわ」
「へ?」勇太は、変な声が出てしまった。
「私は純子が1番好きよ」
ざわざわざわとなっている。
『あれ、勇太君は?』と、ざわついている。
麗子が勇太とルナを見た。なんだか自分に酔った目をしている。
「ルナさんが、私と純子も一緒に勇太君のお嫁さんなろうって言ってくれたことは嬉しかった」
いや、その手前の、さらに前くらいの話はルナがした。だけど、勧めてはないでしょと勇太は思った。
ルナと勇太は顔を見合わせた。彼女になりたいなら~うんぬん~とはルナが言ったが、話が飛躍している。
麗子が勇太の目をまっすぐ見た。勇太は嫌な予感がした。
そして麗子は頭を下げた。
「坂元勇太さん、申し出は嬉しいですが、私は『真実の愛』を見つけてしまいました」
「・・・は?」
「私は純子を愛しています。ごめんなさい」
勇太が、ルナが、長野が、そして2年の6組のクラスメイトが、フリーズしている。
誰よりも純子が固まっている。
ぼそっと勇太。「・・俺、告白もしてないのにフラれた?」
麗子は思い込みが激しいタイプのようである。
勇太は去年、パラレル勇太で臼鳥麗子にフラれた。
そして今年、今の勇太で臼鳥麗子にフラれた。ということになった。
中身が入れ替わっても玉砕だ。
さすがのルナも何と言っていいか分からなかった。ただ驚いた勇太の顔がツボに入ったのか笑い出した。
勇太の背中をたたいて「ドンマイ」と励ましている。
「え、え、えええ~?」
そして純子。
2週間前。自重していたのに、麗子の家に泊まったとき、麗子に迫られ一線を越えた。
麗子を裏切るつもりはないけれど、魅力的な勇太が現れた。
うわさ通り勇太が麗子に2度目の告白をするなら、麗子はどうするんだろうと考えていた。
考えていたが、この展開は予測していなかった。
正直に嬉しい。
移り気で他人からヘイトを集めていた自分を大事に思ってくれる。
真実の愛と言ってくれた麗子に対し、誠実に生きるべきだと反省している。
勇太のことは少しいいなと思ったけど、それは考えないことにした。
パラレル純子も、前世純子と同様に勇太への思いは封印する方向なのか。
婚約者を寝取られたという長野多香子。
勇太は、今の純子の状況を知ったルナは、きっと純子を助けようとすると予想した。ルナも断罪の原因に少しだけ絡んでいる。
そのルナをサポートするため、女神の知識を使うことを思い付いた。
勇太がルナの横に立って、真顔で声を出している。
「判例では昭和62年、男子であっても結婚を匂わせた詐欺として処罰された。その男性には配偶者もおり、それを黙って架空の結婚式代金を払わせたため罪は加算された。そして重婚法の第87条では・・」
スマホで確認している女子が驚いた。勇太の口から出る法律関連の中身が正確なのだ。
テストの平均点が24点だった勇太がた!
せっかくの知識だが、女神がインプットしてくれたのは前世と違うことだけ。物理とか数学など、どっちの世界でも共通していることはサービスなし。
勇太はむしろ、そっちをインプットしてよと思った。
さて、この場合は女子にとって、勇太のセリフの中身は問題でなくなってきた。
エロ可愛い勇太の口から流れるように出てくる言葉。もちろん言葉は、女神印の魅力ある響きに乗せられている。
質が高い音楽のように響いてくる。
近くにいるルナ、純子、麗子は、うっとりと耳を傾けている。敵である長野も顔が赤くなった。
免疫がない2年6組の女子は、勇太を見て頬が赤くなってきた。
梓がこの光景をあとでネットで見て、ヤバいと呟くことになる。
勇太は続けた。
「ま、この場合、民事訴訟でも立証は難しいと感じるけど、どうするの長野さん」
「う、うう。私は・・」
「あ、ああ、ごめん長野さん」
「え?」
「君も被害者みたいなもんだから。俺も法律とか持ち出して悪かった」
自分が使えるレベルのネタが切れた。気遣っているふりをして強引に収めようとする勇太である。
「相手が好きで盲目になるのもいいけど、しっかり見極めないと怪我をするよ」
「・・わかった」
「ありがとう、ふー」
しかし長野は、まだ興奮している。
「・・訴えるってのは言い過ぎた。だけど、なんであなた達が純子を助けるの?特に花木ルナ」
「私?」
「そうだよ花木ルナ、あんたは純子に色々と食らってるでしょ」
ルナは、即答できない。そして、いつものように考え出した。
「そんな女を救っても、メリットなんかないでしょ」
ルナは微笑んだ。ちょっと苦笑いが入っている。
「だね~、メリットなんてないよねー。それに、まだ姉妹のわだかまりも沢山残ってるよ」
「なら、なんでなの」
「メリットでしょ。そんなもんなくても、私に良くしてくれる人がいるの。その人から学んだの」
「そんな人、いないよね」
「いるよ。ここに勇太がいるもん」
「え、あ・・」
「冤罪から救ってくれた勇太が、その後も私に優しくしてくれるんだよね。だから勇気も沸いてくるんだ」
「・・・」
「それに、似てなくても純子とは姉妹だもん」
「純子は、あなたに何か返してくれるの」
「ふふふ。希少な男子の勇太が私に見返りなんか求めてないんだよ。私も純子にお返しなんて貰わなくても、満たされてるもん」
ルナは、勇太の手をぎゅっと握った。勇太も握り返した。
「純子は、私じゃなくて麗子さんに何かしてあげて欲しいな」
「お姉ちゃん・・」
長野は、まだ納得がいかないようだ。
「麗子はいい人間だから、純子の手をつかんだだけだよ。純子、あんたを本気で好きになる人間なんているもんか」
かなりトゲがある言葉。一瞬、教室内が静まりかえった。
「いますよ」
沈黙を破ったのは、臼鳥麗子だった。
「ルナさんと純子の共通の友人は、純子を許せない。だけど私は純子しか知らない。純子と2ヶ月一緒にいた私には反省しているのも良く分かる」
「・・麗子」
「私の家業のパン屋が大変なのを知って、見返りもなく休みの日も手伝ってくれる」
純子は、パラレルも根が優しいんだと勇太は思った。
「一緒にうちでご飯を作って食べて楽しかった」
麗子が純子を優しい目で見ている。
一気にムードが柔らかくなった。
「だからね、私から迫って関係を持ったけど、純子ってセッ●スもうまいの。誰よりもイカせてくれたわ」
「へ?」勇太は、変な声が出てしまった。
「私は純子が1番好きよ」
ざわざわざわとなっている。
『あれ、勇太君は?』と、ざわついている。
麗子が勇太とルナを見た。なんだか自分に酔った目をしている。
「ルナさんが、私と純子も一緒に勇太君のお嫁さんなろうって言ってくれたことは嬉しかった」
いや、その手前の、さらに前くらいの話はルナがした。だけど、勧めてはないでしょと勇太は思った。
ルナと勇太は顔を見合わせた。彼女になりたいなら~うんぬん~とはルナが言ったが、話が飛躍している。
麗子が勇太の目をまっすぐ見た。勇太は嫌な予感がした。
そして麗子は頭を下げた。
「坂元勇太さん、申し出は嬉しいですが、私は『真実の愛』を見つけてしまいました」
「・・・は?」
「私は純子を愛しています。ごめんなさい」
勇太が、ルナが、長野が、そして2年の6組のクラスメイトが、フリーズしている。
誰よりも純子が固まっている。
ぼそっと勇太。「・・俺、告白もしてないのにフラれた?」
麗子は思い込みが激しいタイプのようである。
勇太は去年、パラレル勇太で臼鳥麗子にフラれた。
そして今年、今の勇太で臼鳥麗子にフラれた。ということになった。
中身が入れ替わっても玉砕だ。
さすがのルナも何と言っていいか分からなかった。ただ驚いた勇太の顔がツボに入ったのか笑い出した。
勇太の背中をたたいて「ドンマイ」と励ましている。
「え、え、えええ~?」
そして純子。
2週間前。自重していたのに、麗子の家に泊まったとき、麗子に迫られ一線を越えた。
麗子を裏切るつもりはないけれど、魅力的な勇太が現れた。
うわさ通り勇太が麗子に2度目の告白をするなら、麗子はどうするんだろうと考えていた。
考えていたが、この展開は予測していなかった。
正直に嬉しい。
移り気で他人からヘイトを集めていた自分を大事に思ってくれる。
真実の愛と言ってくれた麗子に対し、誠実に生きるべきだと反省している。
勇太のことは少しいいなと思ったけど、それは考えないことにした。
パラレル純子も、前世純子と同様に勇太への思いは封印する方向なのか。
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