モブ顔の俺が男女比1対12のパラレルワールドに転生。またも同じ女の子を好きになりました

とみっしぇる

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45 パラレル世界の人名って・・

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勇太の日常生活は平穏だ。

いや、伊集院君と仲良くなったことで周囲がざわついている。だけど彼の登校日以外のクラスメイトは冷静。

過去にパラレル勇太をシカトしてきたクラスメイトと、新生勇太の距離は相変わらず縮まらない。

理由は抜きにして、勇太はこの落差を見ている。最近はモテていると思う反面、いい気になるのは危険だと痛感している。

学校生活の通常がそれだから、自己評価は相変わらず上げにくい。

そして成績もクラス最下位だったから、なおさら強気になれない。


テスト期間が終わってみたら成績はクラスで最下位。学年でも下から11番目。勇太の下位10人はみんな男子である。

女神印は回復力、魅力なので、学力は細工なし。前世の病気により高1の秋から進展がなかった勇太がベース。

Ⅰか月間はしっかり頑張ったところでまだまだである。

ルナと一緒に原礼留市立パラレル大学を目指しているが、不甲斐ない結果に終わった。

ルナは学年で真ん中でも、進学校の中での話。パラ大なら十分に合格圏内に入っている。

勇太もパラ大は希少な男子枠で入れる。しかし高校と違って単位不足では卒業させてもらえない。

現代は男女比偏りの社会でも、そこまで甘くない。

なので一般入試を受けると仮定して、合格ラインまで偏差値を上げることが目標だ。

勇太のテスト結果は予想以上に散々だった。

日本史と世界史には奥の手があったのに、それもダメ。

使う機会は少なくても、転生させてくれた女神がパラレル世界の簡単な紹介を勇太の頭の中に入れてくれた。

その中には歴史も入っていた。

普段は梓、ルナとの会話とパラレル勇太の記憶で事足りるから使ってなかった。

意識すると年表みたいなものが頭に浮かんだ。この精度が意外に高かった。いや、高すぎた。

そのせいで、高校のテストでは妨げになった。

どういうことか?

歴史というものは江戸幕府しかり、同時期に成立した中国の清王朝しかりで、時の支配者が創生の歴史を都合よく改ざんしたといわれる。

例えばパラレル徳川家康。勇太の前世と同じく由緒ある源氏の末裔を名乗ったと、教科書には書いてある。

しかし勇太の中にある女神印の歴史年表には事実のみが記されている。

パラレル家康の先祖は源氏ではなかった。だから勇太はテストで正確な答えを書いた。

『三河村のゴンゾー』と。

結果は『不正解』。正解は、やっぱり源氏で源頼朝。

教科書の内容と一致するものがテストでは正解なのだ。

勇太は徳川埋蔵金の行方とか期待したが、探った頭の中の年表に金目のものはなかった。

残念です。地道に勉強するしかない。

「勇太、最近は勉強にも熱が入ってるねー」
「ルナ~、俺が馬鹿すぎるとルナに恥かかせちゃうだろ」

「頑張ってるね、えらいよね」
「ルナに褒められると、励みになる~」

「・・へえー、ほっこりする男女の恋愛ってあるんだ~」
「わ、ルナって愛されてる~」
「勇太君に私も言ってもらいたい・・」
ルナの友人らが呟いている。

ルナの教室に行って、みんなに勉強を教えてもらっている勇太。相変わらずである。

勉強を教えてくれる女の子達にお礼を考えているが、みんな、あーんしてクッキーを頼んでくる。


勇太は、男女比が狂ったあとの歴史に少し疑問を感じる。

勇太が住む場所が原礼留市と書いてパラレル市と読むくらいおかしい。

男子減少が起こった直後の江戸幕府の将軍が徳川家光子。これはまだいい。

だけど幕末の有名人、桂小五郎が桂小五郎子。高杉晋作が高杉晋作子はねえだろ、と。

これも100歩譲ってアリとする。

しかし外国の歴史は・・

ロシアのスターリンがスターリンコ、アメリカのリンカーンがリンカーンコ。


なんだそりゃ!

男女比1対12で偉人も女子に変わっている。だけど名前の最後に『こ』が付いて女なのは、日本だけだろ。

勇太は思い付きでルナに聞いた。

「アメリカ大陸を発見したのは女子でコロンブスコかな」

「ぷぷっ。ブスコって勇太。コロンブスは世界の男女比が狂う前の人だよ。男子だよ」

異世界トラップに引っ掛かった勇太だった。

「げ、大陸発見の年号の方は、石の国を見つけたコロンブス、で1492年でいいのか」
「いしで14、くにで92。勇太が考えたの、その覚え方!」

なるほど、このあたりは前世とは違うわけかと勇太は感じた。

「ルナが知ってるのは?」
「私はね~」

ルナが唇に指を当てて、いつもの思案のポーズに入る。

勇太はまた嬉しくなった。教室でなければ、キスしていたところだ。

「あった。冠『なくし』た平安京、で桓武天皇の794年」

「へ~俺のせかい・・げふん、 俺が知ってるのは『なくよ』ウグイス平安京だな」

「いいね! あとはね~、あ、思い出した」
「なになに」
「へへへ~」
「1人で笑ってないで教えろよ~」

2年4組には、ルナと勇太のあま~い空気が流れた。

ルナのクラスメイトが話し出した。

「男子との交際は、狩る側のメスと狩られる側のオスの戦いだって、旦那持ちのお姉さんに聞いてたよ・・」

「なんか、ほんわかしてる~」
「私もあんなのしてみたい」
「思い切って参加しようよ」

この世界の女子、なにも構えなくていい男子との交流は意外に少ない。

◆◆
放課後。

勇太は、リーフカフェの周りを散策するためルナと歩いた。

未知のエリアの見物と、お客さんのリクエストについて考えるため。

最近は夕方に学校帰りの運動部女子が増えた。明らかに勇太が柔道をやっている影響。

そのときに勇太が店にいると、サンドイッチとかアンパンがないか聞かれる。

そのへんも、対策すべきかとオーナー葉子と一緒に考えている。

散策エリアは東側。

簡単な位置はリーフカフェがある噴水広場は最寄駅の東側。

噴水から見てカフェは西、デパートなどあって栄えてるのが北側。

東側にカフェのライバル店であるコーヒーチェーン店あり、コーヒー店の裏側に回った方の小道を抜けると、昔ながらのアーケード街。

幅20メートル、奥行き100メートルで少し寂れている。


とうとうアイツが現れた。


「ルナ、いい匂いするね」
いつも腹ペコになる勇太が呟いた。

「ほら左側のあそこじゃない?」

アーケード街に入って20メートルの位置に、ちょうどパン屋があった。

幅5メートルくらいの陳列棚は外から見える構造。美味しそうなパンが並べてある。

カランカランと右側にある扉を、音を鳴らして入ってみると、まさかの人物が・・

「いらっしゃ・・」

「あれ?純子?」
「ルナお姉ちゃん」


店頭にはルナの双子の妹・花木純子がいた。

勇太からしたら前世の幼馴染み・山根純子と同じ顔をしている。


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