上 下
23 / 296

23 私は正統派・妹キャラ

しおりを挟む
勇太は、勢いに負けて梓と結婚の約束をしてしまった。

今、梓と勇太で作ったハンバーグを葉子と一緒に食べ終え、片付けをした。

気持ちの中では妹、だけどパラレル梓は従妹で法律的にも何の問題もない。


「あれ、何か見落としてないか、俺」

気付いた。ルナにプロポーズしたからといって、返事はもらっていない。だけど梓に泣かれた。そして勢いで入籍を決めた。

ハメられた? パラレル梓が、意外と侮れないと気付いた瞬間だ。

それでも可愛いが。

ルナには急いで電話した。怒られるかと思ったが、やっぱり梓が1番目だったねと、むしろ安心した声が出ていた。

その感覚には付いていけない。

「おやすみ、ユウ兄ちゃん」。ぶちゅっ~~ちゅぱんっ。

梓とは、入籍まではキスとハグまでと決まった。さっそく、おやすみのチューだ。

というか、2時間で8回もしている。

学校では、勇太は侮られた底辺男子の生活が続くと思っている。

梓に自分と学校では過度の接触は避けようと言うと、意外なほど素直に聞き入れた。

梓は学校の外で親睦を深めたいと強調した。

勇太が梓といちゃつくと、1年の教室がざわつくから、来るのは避けた方がいいと言った。

勇太は手を握って気遣ってくれる、梓に感謝した。


2階の自室に戻った梓は、満面の笑顔である。

以下、梓。

ユウ兄ちゃんのタンクトップを着せた熊のぬいぐるみは、すごくいい匂いがする。

「ユウ兄ちゃん、私が幸せにしてあげる」

モテるユウ兄ちゃんの、最初の妻になることが決定した。

今日が5月16日。16歳の誕生日まで待ってくれって、私の誕生日って7月31日だよ。

なんだ、その気でいてくれたんだ。

誕生日まで2ヶ月半なら、余裕で待てる。


私はパジャマの中に手を入れて、オナっている。興奮が止まらない。

「ルナさんは運命の人っぽいから、色々と学ぼう。けど邪魔者は少しでも排除したいね。カリンなんて論外」

私も、この男女比1対12の世界で、ユウ兄ちゃんをゲットしようとする女子。

見た目は弱々しくても、中身は肉食アマゾネスなのだよ。

ターゲットのユウ兄ちゃんは以前とは違い、一気にグレードが上がってしまった。

リーフカフェに現れてからの、わずか1週間。

はっきり言って、原礼留市内の男子では、ユウ兄ちゃんと同じクラスにいる伊集院光輝君の次に人気がある。

そしてその人気は上昇中だ。

顔は普通でも問題ない。着こなしのエロさ、フェロモン、優しさ、行動力。ちょっとおかしいレベルだ。

なのに、自己評価が低い。

申し訳ないが、なぜモブ顔のルナさんをユウ兄ちゃんが大好きなのか分からなかった。

流れるネット動画を見ても理解できない。

だけど、何種類かの動画を見てたらヒントが浮かんだ。

ユウ兄ちゃんが好きなのは、自分を偽らず何がしたいか言ってくれる人。顔は関係ないんだ。

肝心なことがつかめた。



私に追い風が吹いてる。

2年生のユウ兄ちゃんと同じクラスの奴らが怖かったけど、奴らは臼鳥麗子さんに玉砕したユウ兄ちゃんをシカトし続けた。

ユウ兄ちゃんは、もうそいつらと関わる気がない。

ユウ兄ちゃんが欲しい私からしたら、いい傾向だ。

怖いのは伊集院君より先にユウ兄ちゃんの魅力を知った、私と同じ1年生。

ユウ兄ちゃんのこと聞いてきた同級生が、月曜から今日までの4日間で42人。

こいつらは敵だ。

何て言えば、差し障りなくユウ兄ちゃんとの接触を失敗させられるか考えた。

ヒントはカリン、リーフカフェに現れた中学生メイがくれた。

カリンは、恋のフラグを立てた。ツンデレ気味だったけど、言葉もしっかり交わしていた。

なのに、ユウ兄ちゃんはカリンと接触しない。

逆に、リーフカフェで泣いたメイちゃんというお客さんを、ものすごく気にかけてる。

メイちゃんは中学生で、電車に乗ってユウ兄ちゃんに会いに来た。なのに、緊張で言葉が変になった。

「勇太さんに会ってみたくて・・」

そこで泣き出した。考えを、きちんと紡げずダメだと思った。なのに、ユウ兄ちゃんは優しくなった。

「わざわざ来てくれたんだ」。そう言って、彼女の手を握った。

仕事を中断して、店の隅に行って、彼女にゆっくりと喋らせてあげた。

彼女は「ありがとう」「嬉しい」「来て良かった」「また来たい」。バラバラだけど、一生懸命に言葉にした。

彼女は、同じ女性として残念に思えた。だけど、ユウ兄ちゃんの反応は違った。

満面の笑顔で「また会いたいから来てね」と嬉しそうだった。

やっと見えてきた。ルナさんと中学生メイちゃんを照らし合わせて、共通点が見えた。

語調、違う。言い方、違う。年齢、違う。

ユウ兄ちゃんの中でカリンがダメで、ルナさんなら良かったもの。

看護師軍団、ルナさんとユウ兄ちゃんの会話を見直して、とうとう分かった。必要なのは真っ直ぐな言葉。

私は覚悟を決めて、ユウ兄ちゃんに訴えた。

感情が剥き出しになって、スマートさの欠片もなかった。けれど、ストレートな気持ちだから、ユウ兄ちゃんは受け入れてくれた。

キス8回、ハグ6回。

それをオカズにオナること、すでに3回。

大事なことを気付かせてくれたルナさんには感謝してる。彼女は人間性が良さそうだし、仲良くしたい。


だから・・ユウ兄ちゃんと先にセック●する権利を譲ってもいい。

私はそろそろ、女遊びを卒業しよう。19人もぱっくんしたし、これからはユウ兄ちゃんとルナさんとしか、シない。


カリンにだってユウ兄ちゃんの落とし方は教えない。当たり前でしょ。

私が入籍するなんて絶対に明かさない。

カリンはもちろん、同級生の前では泣き真似を続けてる。

『ユウ兄ちゃん、ルナさんにしか目がいかなくて、家では冷たいの』

カリンやクラスメイトは大切だけど、ユウ兄ちゃんとサセない。

美少女、腹黒、ドスケベ。3拍子そろった正統派の妹枠は、私のみで十分。


さて明日から、ユウ兄ちゃんはツンデレが大好きって嘘を学校で流さなきゃ。

    
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

男女比1対99の世界で引き篭もります!

夢探しの旅人
恋愛
家族いない親戚いないというじゃあどうして俺がここに?となるがまぁいいかと思考放棄する主人公! 前世の夢だった引き篭もりが叶うことを知って大歓喜!! 偶に寂しさを和ますために配信をしたり深夜徘徊したり(変装)と主人公が楽しむ物語です!

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...