上 下
22 / 266

22 いきなりハーレム展開?

しおりを挟む
勇太はルナに対して筋を通せたと思っている。

前世ルナとの違いも見えてきた。双子の片割れと接する感覚。

前世ルナに申し訳ないと思いつつも、どんどんパラレルルナを好きになっている。

ルナには、この世界ならではの言葉でプロポーズしてしまった。そのシーンもネット上に流れている。

あとなぜか、体育館裏での初キッスまで流れている。

誰が撮った・・

勇太は、高校では自分の評価は低いと思っている。

そんな中でも、ルナだけは守るつもり。

梓もいるが、学年も違うから問題ないようだ。

重婚ありの世界。だけど、特に何人も娶る必要も感じない。

今、勇太はルナの母親に挨拶したあと、ルナに駅まで送ってもらっている。そして駅近くでドーナツ店に入っている。

周囲の女性客が、スマホで2人の写真を撮ったりしているが、勇太は気にならない。

「勇太君、あのプロポーズのシーンだけど、ドッキリでしたでいいからね」

「ルナ、なんでそんなこと言うの?」

「ネットで話題の勇太君の相手が私じゃダメでしょ」

「こっちも大した男じゃないし、大丈夫だよ。いきなり痩せたから、ちょっと話題になってるだけだよ」

「えええ?その程度と思ってるの」

「ルナのお母さんにも挨拶したし、ルナさえ嫌じゃなければ、堂々と付き合ってよ」


ルナは赤くなった。こういう誠実さは、この世界の男性にはない。

母親に対して、堂々と挨拶してくれる姿を思い出した。

逆に勇太は、男子が希少な世界で良かったと心から感じている。

前世なら大事な娘に部活中にプロポーズした男なんて、ぶん殴られてしまう。

◆◆◆
帰路についた。

週末の激務を控える葉子母さんを休ませ、勇太と梓が晩ご飯を作る。

予定だったが・・・

勇太は家に帰るなり、困惑した。

梓が涙目で訴えている。横には葉子もいる。

「ユウ兄ちゃんひどいよ。私には手も出さず、放っておいて、もうルナさんにプロポーズしたんだね・・」

「え、手も出さずって・・。梓って妹だよな」

「違うよ。最近は妹のように可愛がってくれるけど、従妹だよ。結婚の約束したよね」

「・・なぬ」

「ユウ兄ちゃんのお嫁さんになるために、処女も守ってる。料理だって勉強したのに!」

勇太は把握しているようで忘れていた。

梓は従妹なのだ。それにこの世界では、意外に多い婚姻のパターンなのだ。

助けを求めるように、葉子母さんを見た。

叔母である葉子母さんは、紙の束を出した。

「勇太、9歳の頃を思い出して」

「えーと、あっ・・・」

パラレル勇太、9歳の秋。まだ生きていた実の母親、叔母葉子の前に梓を連れて行った。

「僕、梓をお嫁さんにするから」。間違いなくパラレル勇太の口から出ている。

その直後に、母と叔母に誓約書を書かされて、サインもした。

筆跡鑑定書等の法的な証明書まで20枚も付いている。

違約金は10億円と書いてある。パラレル勇太のサインまである。

亡くなった母の策略だ。

ここで回避しても、最終的な結果は見えている。

男女1対12の世界、恐るべし。

「・・はい、思い出しました。梓、こんな俺で良ければ、よろしくお願いします」

「嬉しい、ユウ兄ちゃん。ルナさんと3人で幸せになろうね」

ルナは1人目の嫁をルナ自身ではなく、梓を勧めていた。まさか、本当にそうなるとは・・。

「やっと勇太も話が通じるようになって、思い出してくれたみたいよ、梓」

「ユウ兄ちゃん大好き!」

抱きつかれ、パラレル梓にキスをされた。

勇太は背徳感がバリバリである。


前世で勇太が死んだ原因は、妹・梓の身代わり。そのことに悔いはない。

目の前のパラレル梓は従妹。それに妹とは、まったくの別人。

分かっていても、似すぎている。梓を嫁にして夜の営みをする自信は、今のところない。


勇太は、梓には評判が悪い自分のことで懸念があると言った。婚姻を引き延ばすための言い訳だ。

この世界は15歳で結婚できるが、籍を入れるのは梓の16歳の誕生日にしようと言った。

勇太は、梓は3月29日生まれと、しっかり記憶している。まだ時間はあるし、それまで梓の認識を変える努力をしようと思っている。

2人で承諾した。

実はパラレル梓の誕生日は7月31日。

勇太は、梓の生まれた年が前世と4年もずれているのに、なぜ誕生日が同じと思ったのだろうか。

パラレル勇太はパラレル梓の誕生日を忘れていたから、記憶の中にもなかった。確認もしなかった。所詮は勇太も、パラレル勇太と同じ程度のアホである。

入籍の日まで2ヶ月程度しかない。アホな勇太は、まだ気付いていない。

慕われているのはいい。だけど、またも勇太にパラレル勇太絡みの悩みができた。

「前世と瓜二つのパラレル人物って、俺の頭を悩ませるためにいる?」

呟きながら、勇太は法律をチェックした。この世界も前世と同じく、4親等のいとこからしか結婚できない。

安心した。前世の母の顔をしたパラレル葉子に迫られる心配はない。

しかし、歴史を見て背筋が凍った。

精子提供と人工授精が安定していなかった平成17年までは3親等、つまり叔母とも結婚は可能だった。

前世の母親と瓜二つのパラレル葉子に迫られていたら、間違いなく家出してだろう。勇太は青い顔をして考えている。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

保健室の秘密...

とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。 吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。 吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。 僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。 そんな吉田さんには、ある噂があった。 「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」 それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

恩知らずなわんこ
現代文学
入学したばかりの女の子が体育の先生から理不尽な体罰をされてしまうお話です。

獣人の里の仕置き小屋

真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。 獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。 今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。 仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。

処理中です...