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20 ルナ、責任は取る

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勇太は柔道部に入部した。

そしてルナとの乱取り中、ルナに怪我をさせてしまった。

と、思っている・・

パラレルルナもルナだが、一般的な男女比偏重、貞操観念が逆転した世界の女子。

いきなりイケている勇太に愛情たっぷりに言葉を何度も吐かれている。

別人と間違われていると思いながら、興奮は止まらない。

健全な女子として、勇太をおかずに日に3回はオナっている。

その勇太の生乳首まで見て、今はそこに抱かれている。テンションはマックスだ。


勇太は訳も分からずルナの首を支えてルナの名前を呼びかけている。

「すまんルナ、脳しんとうか。保健室だな」

「あ、いや、大丈夫だから。ちょっと興奮して鼻血が出ただけ。へへへ」

鼻血を流しながら笑うルナを見て、少し安心した。

しかし、またも後悔した。

心が傷ついているルナを支えようとか思いながら、物理的に怪我をさせてしまった。

「ごめんなルナ・・」

「女子が格闘系の部活やってて血が出るのは普通でしょ。勇太君の方こそ頬をすりむいたんじゃない」

「けど鼻血まで・・」

「鼻血の原因は、その・・ごにょごにょ・・」

ここは喧嘩するのも女子。男子は怪我をさせてはいけない存在。

ルナは元気をアピールするために、急いで立ち上がった。

手を伸ばして勇太の右手を取って、起こそうとした。すると今度は、胴着がはだけて胸全開の勇太を真正面から見てしまった。

「あわわ・・」

腰が砕けてバランスを崩した。そして勇太にのしかかった。

勇太は覆い被さりながら倒れてきたルナを抱き留めて言った。

「ほら、大丈夫じゃないだろ」
「大丈夫じゃないの、勇太君のせいだよ・・」

「え、声が小さいよ・・」


バドミントン部、バスケ部の部員がざわついた。

肉食女子であるルナが、稀少男子の勇太を襲っている。

見た目の状況は大変なことになっている。

実際には、勇太がルナを抱き締めている。

しかし、肉食女子軍団からしたら逆。ここは貞操逆転世界なのだ。

地味子のあだ名も持つルナでも、柔道の有段者でフィジカル的には強い。それは、ここにいる女子みんなが知っている。

そのルナがエロくなった坂元勇太を鼻血を吹き出しながら組み伏せている。

それ以外、何にも見えていない。

体勢はというと・・。セ●クスの正常位で男女の上下が入れ替わったのをイメージすればいい。

勇太は両足の間にルナを入れ、がっちり腰を挟みんでいる。両手はルナの背中に回している。

ルナは勇太の上に乗り、下から引き寄せられて、顔を勇太のはだけた胸に押し当てられている。腹、股間まで密着している。


体育館がパニックになっている。

我に返ったルナは、さらにパニクった。

そして、迫り来る女子軍団から殺気が向けられている。

自分が置かれている状況。この世界では、逮捕されるレベルだ。

誰かが撮影していた。確固たる証拠まで残っている。

バスケ部、バドミントン部の人間が、25人全員で走ってきた。

羨ましい8割、男子救助2割の気持ちで、ルナを勇太から引きはがすためだ。

救助対象は勇太。体育館の中が騒ぎになっている。


しかし勇太は勘違いした。

「学校中で馬鹿にされている陰キャが、女子生徒に抱きついてしまった・・。やっちまった」

早くも逃げ場はない。そしてスマホを構えている女子もいる。

動画が流れるのは間違いない。

だから、勇太の判断は早かった。ただ、完全に気持ちの中は前世の勇太に切り替わっていた。

男女比1対12、貞操逆転を忘れている。

起き上がって、ルナの鼻を拭いた。血はあまり取れていないが、向かい合った。

2人は正座した。そして膝がくっつくくらいに接近している。

「ルナ・・」
「あ、あ、なに勇太君」


「俺なんかのせいで、お前に迷惑かけそうになってる」

「あ、いや、そんなことは・・」

「だけど俺、再会できたルナを二度と離したくない」
「うえっ?」


「責任は取る。モブ顔な俺だけど、これからも一緒にいてくれないか」


「えええええ、ユウ兄ちゃん?」

近くまで走ってきていた梓が大きな声を出した。

そして勇太の言葉に、周囲の女子生徒がどよめいた。

この世界、男子から女子に向かって「責任を取る」と言うと、決まった意味がある。


プロポーズなのである。


何が起こっているのか、誰よりも分からなくなっているのがルナだった。



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