モブ顔の俺が男女比1対12のパラレルワールドに転生。またも同じ女の子を好きになりました

とみっしぇる

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14 恩師の顔に出会えた

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5月13日。月曜日の朝7時半。

とうとう転生勇太が初登校をした。

男女比1対12のこの世界、社会を動かしているのは女性。

男子は、子作りして支援金をもらうか、精子提供を果たせば生活できる。だから、高校で受ける授業の義務もハードルが低い。

勇太は月曜日から木曜日の週4登校を考えている。

で、金、土、日曜日は葉子母さんのリーフカフェで仕事。当面は、そのスケジュールだ。

リーフカフェの定休日は月曜日。

ブレザー姿にネクタイで家を出たが、暑すぎて早々とシャツ1枚になった。

電車の中で視線を浴びたが割愛。

原礼流市内にある、原礼流高校。

勇太は思う。夜中に地図などを見ても、地名等は前世に似かよっている。

首都も東京。大阪、福岡、札幌、パリ、ニューヨークもある。

なのに、勇太が通う高校だけは、パラレル市のパラレル高校なのだ。

おかしい。

そこを考えている暇はない。


梓にルナと合流すると言ったら、絶対に一緒に登校すると断言された。

駅にルナが待っていた。

「おはようルナ」

「あ、は、はい、おはようございます」

「ルナさん、おはようございます。ユウ兄ちゃんの従姉の梓です」
「あ、私は花木ルナです」

「ルナさん」
「はい」

「私、ユウ兄ちゃんの1人目の婚約者です。仲良くやっていきましょう」

「ええ、婚約ですか?私、そんな大それたことは考えていません・・」

勇太はなに?と思ったが、懐かしくもあった。

前世でルナを妹の梓に会わせたとき、ルナは14歳で梓が9歳。

当時ブラコン気味だった梓は、初対面ではルナに敵意むき出しだった。

梓の言葉に多少の不明な点があるけれど、パラレル梓もヤキモチ焼きだなと思った。

実は梓の言葉がガチだと、勇太は気付いていない。

ここは男子の重婚が当たり前の世界。寝取りは卑怯でも、女性同士で男性のシェアは常識なのだ。

そもそも勇太と梓は、法律的にも結婚できる。



1年生の梓の教室前まで行くと、3人の女子生徒が歩いてきた。

中の1人に1週間前、パラレル勇太がぶつかった上に、睨んで逃げた。

勇太は一歩踏み出した。

「ごめん、ハクバキヨミさんだよね」

「エロ可愛い・・。あ、いえ、何ですか」

勇太の身体は暑がりすぎる。朝のひんやりした時間なのに、上着とネクタイだと汗が吹き出る。

相手に申し訳ないと思いながら、素肌にワイシャツ、ボタン2個空け。

「え~と、先日迷惑をかけた坂元勇太だけど・・」

「・・あの坂元梓の従兄の?」

ハクバのみでなく、連れの2人も勇太のことをジロジロ見ている。

構わず謝罪の言葉を口にしたが、返事がろくに返ってこない。

それどころか、3人とも顔を真っ赤にしている。目をかっと見開いて自分を見ている。

勇太は相手が顔を真っ赤にするほど怒っていると思った。

「あ、ま、まあ、梓に免じて許してあげます・・」
「そう、そうだね」

しばらく待つと、やっと口を開いてくれた。

突然に改心したなどと、信じてもらえなくて当然。

今までパラレル勇太の暗いイメージを考えると、仕方なしだ。

「これから絶対に迷惑かけたりしない。せめて梓のことは悪く思わないでください」

何度も頭を下げて、リーフカフェの無料券を3人分渡した。もちろん自腹だ。

その頃には、次の人間も登校。

その子も謝罪の対象。同じフレーズを繰り返した。

とりあえず4人に謝った。一緒にいた人間も入れて9人に頭を下げた。飲食券も渡した。

勇太が話しかけると女子生徒がみんな赤い顔になる。

「あ、あの、もう気にしてませんから・・」

勇太は、みんな口ごもっていてシャイだと思った。だけど、少し違う。

ここは前世と違い、女子の性欲が強い。

勇太がもし前世で、女子にノーブラ、ダボダボシャツ、ボタン2つ空けで頭を下げられたら、何が見えるか考えていない。

怒りよりエロさが勝って、1年女子は許してしまった。


勇太は、ルナと梓の前で、情けないことになったと思った。

しかし、人に迷惑をかけて知らんぷりするのは、性に合わない。

梓には、男性なんてそんなものだと言われた。

だけど勇太は、パラレル勇太の体を使ってルナ達に関わっていく。彼女達に恥をかかさないため、これは責任だと思った。

勇太の思いに反して、ルナは勇太のことが本当にカッコいいと思ってしまった。

梓は、勇太のことをぼーっとした目で見る同級生を見渡して呟いた。

「ヤバい・・」


勇太は、職員室に向かっている。

担任に週4登校の許可をもらわねばならない。

ルナには、昼に屋上にいるとだけ言って別れた。

勇太が職員室に向かう途中で、3人の男子生徒を見た。取り巻き女子は最低3人いる。

その高身長男子の1人には、見覚えがある。軽音楽部で前世も人気者だった。

「なるほど。ハーレムとは、彼のような男が作るもんだな」

そう感心した。


職員室。

服装のことも相談だ。生徒手帳にはブレザー、ネクタイ着用だが、ワイシャツ1枚でも暑い。

勇太は、頭を打って体温調節の機能が故障していると言ってみるつもりだ。

「失礼します」

職員室に入ると、懐かしい顔があった。前世の高1のときの担任の長谷川佳央理先生だ。

不意打ちを食らって、うれし涙がでそうだった。

前世では、難病に倒れたときの担任だった。回復の見込みがないと告げたあとも、病院で学べることを考えてくれた。

退学するときも泣いてくれた。

触れあった時間は短いが、恩師だと思っている。

ただ前世の佳央理先生は当時39歳。旦那と2人の子持ち。パラレル佳央理先生は、どう見ても20代前半。

だから、パラレル勇太の記憶に顔があっても、パラレル佳央理先生と気付くのが遅れた。

先生は机に向かい、何か書いていた。

「おはようございます、佳央理先生。坂元勇太です」

「坂元だと~」

嫌そうな声とともに顔を上げた。細身の161センチ。つり目のショートヘア。

これは仕方ない。

佳央理先生は、日本史の教師。パラレル勇太は、1年生のときから金曜日に現れて、3時限目の日本史の授業を何度か中座していた。

希少な男子でも、勇太をクズ扱いしていた人だ。

ぼそっ。「馬鹿すぎ、パラレル勇太」

パラレル勇太の記憶から引き出すと、前世の佳央理先生と同じく正義感が強い。

だから、勇太を信用していない。

「あ、あれ、お前、どうした、その体」

「心を入れ替えるついでに、ダイエットしました」

「怪我したと聞いたが・・」


服装のことを相談したら、男子は基本的に自由だと言われた。

週4登校もお願いした。

佳央理は、あまり声が出なかった。

ネット上に2日前から現れたエロカワ男子。

個人情報もさらされている。

パラ高2年3組。佳央理が受け持つクラスと知っている知人から、色々と聞かれた。

けれど佳央理は間違いで、あの根暗デブの勇太とは思わなかった。

けれど、実物が目の前にいる。

「佳央理先生、可愛くなりましたね」
「えっ・・」

勇太は15歳年上の前世の佳央理先生と比較して、口に出してしまった。

佳央理はドキマギしている。


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