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131 マヤ、ありがとう
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ダルクダンジョンに入って一階奥。
同伴者はリュウが大好きなマヤ。
私がナリス、モナ、アリサを亡くした大穴の縁に来た。
ここまで5回の戦闘。マヤに5匹のオークにとどめを刺させた。
私のスキルを使って経験値半減でも、効果はあったと思う。
「どうマヤ、レベルアップした感じはあるかな」
「はい。大剣を振りかぶるとき、かなり楽になってます」
「ダリアに色々と教えられているみたいね。リュウとの恋は応援してくれるんでしょ」
「そこは・・半々かな。私の長年の気持ちも知っている。けど、ユリナさんのことも見てた。だから、複雑な心境のようです」
「会ったら、私のスキルの秘密のことを話すよ。そしたらマヤのことを応援してくれると思うよ」
「秘密ですか」
「うん、「暁の光」のメンバーというかダリアには話しておきたいかな。マヤも、そのときに一緒に聞いてね」
「はい」
◆
奈落の縁に立った。
大きさは100メートルの円で、深さも100メートル。
ここであの日。
ジュリア達6人に、アリサ、モナ、ナリスの3人が殺された。
身を乗り出して、ナリスが宙吊りになった場所を見た。
もう何もない。
「降りようか、マヤ」
「え、どこにですか。下まで100メートルっていうし、岩肌にある無数の大きな穴は、みんな岩トカゲの巣ですよね」
「うん対策は考えているよ、任せて」
相談すると100パーセント反対される。
だから10メートルランドドラゴンの鱗3枚を使ってドラゴニュート変身。
革ひも5本を使って私の背中にマヤを密着させた。この間、30秒。
有無言わせず。
「出発!」
「いやああ、落ちて死ぬうううう!」
ここは崖下まで100メートル。だけど、岩肌はガリガリ。
つかめるところはたくさんある。
ドラゴニュートの鱗付き指先なら、岩をつかんで落下スピードを止められる。
指先は毎回、損傷。
『超回復』
5メートル置きに岩をつかみ、また落ちる。
その作業を20回。ほら、楽に奈落の底に降りられた。
「はああ、怖かった」
「何とかなったでしょ」
私はモナとアリサの亡骸があった場所を見渡した。
「やっぱ、何にもないか」
ダンジョンは時間かたつと遺体を床に吸収していまう。
分かってた。
ないとは分かっていても、確認したかった。
マヤも周りに何かないか、探してくれている。
「アリサ、モナ、ナリス、私は今、オルシマにいるよ。ごめんね、助けられなくてごめんね」
「ユリナさん!」
岩肌近くにいた、マヤに声をかけられた。
「岩の出っ張りに、こんなものが引っ掛かってました」
「・・あ」
ちぎれて20センチしかないチェーン。
それに繋がった丸いアクセサリーのかけら。
「ア、アリサ・・」
親に何ももらえなかったアリサが、サマンサさんからもらった宝物のペンダント。
焦げてかけらしか残っていないけど、間違いなくアリサのだ。
「下に落ちてなかったから、残ってたみたいですね」
「アリサの・・ペンダントのかけらだ・・」
マヤはハンカチを出して、アリサのペンダントを包んでくれた。
そして私の手に乗せてくれた。
涙が止まらなかった。
マヤと来て良かった。彼女に抱きついた。
「ありがとうマヤ。あきらめてたのに、友達の形見が見つかった」
◆◆
マヤに恩返ししよう。
前と同じ。ダンジョン10階に出る一方通行の階段を上がった。
ちなみに、このダンジョン、フロアボスは通常の10階ではなく11階に出る。
ボス部屋の横に1階までの転移装置があるそうだ。
今回は、ギルドで基本情報を仕入れてきた。
「出てくる魔物は基本単体だから、足を削って攻撃しやすくしてあげる。その後は11階に降りて、フロアボス戦よ」
「ユ、ユリナさん、簡単に言うけど、ダルクダンジョン11階のフロアボスってレベル85のハイオーガって聞いてますよ」
「大丈夫」
青い顔をしたマヤを連れてダンジョン10階に立った。
約1年前、私のとんでもない戦いは、ここで2メートルオオカミと出くわし、始まった。
10分歩くと、最初の敵が現れた。
20メートルの大蛇。
初めて遭遇してときは、素手で裸だった。
ただ『超回復』「等価交換」を繰り返した。2日間、泥沼のような戦いを続けた。
「マヤ、半殺しにするから、待ってて」
「ユリナさん、危ない」
飛び出した私に大蛇が巻きついた。
けど、私の勝ち。すでに手には、スライムを出してある。
「マヤ、ダンジョンの中での私の戦い方は誰にも言わないでくれると助かるわ。スライム変換」
大蛇が私を締め上げる。
「今回は用意万端なのよね」
『超回復&スライムアタック』
ぱーん。私と接触した蛇の腹が弾けた。
20メートルの胴体が何ヵ所もえぐれ、場所によっては、大きくめくれている。
「え、すごい。それにユリナさんが小さくなってる」
「のたうち回ってる蛇を避けながらダメージを入れて」
私はトレントの枝を使い、蛇の頭をぺしっ。
90センチまで縮んだ体を元に戻す材料、感覚器官からもらった。
そしてマヤは何度か蛇の尻尾に弾かれながら、立ち向かった。
一時間半をかけ、大蛇にとどめを刺した。
「何が起こったか分からないけど強い。あれもユリナさんの気功術なんですね」
「ま、この調子でマヤのレベル50くらいを目指そうか」
返事を待たず、前回とは違って昇り階段ではなく、11階へ降りる階段を探した。
同伴者はリュウが大好きなマヤ。
私がナリス、モナ、アリサを亡くした大穴の縁に来た。
ここまで5回の戦闘。マヤに5匹のオークにとどめを刺させた。
私のスキルを使って経験値半減でも、効果はあったと思う。
「どうマヤ、レベルアップした感じはあるかな」
「はい。大剣を振りかぶるとき、かなり楽になってます」
「ダリアに色々と教えられているみたいね。リュウとの恋は応援してくれるんでしょ」
「そこは・・半々かな。私の長年の気持ちも知っている。けど、ユリナさんのことも見てた。だから、複雑な心境のようです」
「会ったら、私のスキルの秘密のことを話すよ。そしたらマヤのことを応援してくれると思うよ」
「秘密ですか」
「うん、「暁の光」のメンバーというかダリアには話しておきたいかな。マヤも、そのときに一緒に聞いてね」
「はい」
◆
奈落の縁に立った。
大きさは100メートルの円で、深さも100メートル。
ここであの日。
ジュリア達6人に、アリサ、モナ、ナリスの3人が殺された。
身を乗り出して、ナリスが宙吊りになった場所を見た。
もう何もない。
「降りようか、マヤ」
「え、どこにですか。下まで100メートルっていうし、岩肌にある無数の大きな穴は、みんな岩トカゲの巣ですよね」
「うん対策は考えているよ、任せて」
相談すると100パーセント反対される。
だから10メートルランドドラゴンの鱗3枚を使ってドラゴニュート変身。
革ひも5本を使って私の背中にマヤを密着させた。この間、30秒。
有無言わせず。
「出発!」
「いやああ、落ちて死ぬうううう!」
ここは崖下まで100メートル。だけど、岩肌はガリガリ。
つかめるところはたくさんある。
ドラゴニュートの鱗付き指先なら、岩をつかんで落下スピードを止められる。
指先は毎回、損傷。
『超回復』
5メートル置きに岩をつかみ、また落ちる。
その作業を20回。ほら、楽に奈落の底に降りられた。
「はああ、怖かった」
「何とかなったでしょ」
私はモナとアリサの亡骸があった場所を見渡した。
「やっぱ、何にもないか」
ダンジョンは時間かたつと遺体を床に吸収していまう。
分かってた。
ないとは分かっていても、確認したかった。
マヤも周りに何かないか、探してくれている。
「アリサ、モナ、ナリス、私は今、オルシマにいるよ。ごめんね、助けられなくてごめんね」
「ユリナさん!」
岩肌近くにいた、マヤに声をかけられた。
「岩の出っ張りに、こんなものが引っ掛かってました」
「・・あ」
ちぎれて20センチしかないチェーン。
それに繋がった丸いアクセサリーのかけら。
「ア、アリサ・・」
親に何ももらえなかったアリサが、サマンサさんからもらった宝物のペンダント。
焦げてかけらしか残っていないけど、間違いなくアリサのだ。
「下に落ちてなかったから、残ってたみたいですね」
「アリサの・・ペンダントのかけらだ・・」
マヤはハンカチを出して、アリサのペンダントを包んでくれた。
そして私の手に乗せてくれた。
涙が止まらなかった。
マヤと来て良かった。彼女に抱きついた。
「ありがとうマヤ。あきらめてたのに、友達の形見が見つかった」
◆◆
マヤに恩返ししよう。
前と同じ。ダンジョン10階に出る一方通行の階段を上がった。
ちなみに、このダンジョン、フロアボスは通常の10階ではなく11階に出る。
ボス部屋の横に1階までの転移装置があるそうだ。
今回は、ギルドで基本情報を仕入れてきた。
「出てくる魔物は基本単体だから、足を削って攻撃しやすくしてあげる。その後は11階に降りて、フロアボス戦よ」
「ユ、ユリナさん、簡単に言うけど、ダルクダンジョン11階のフロアボスってレベル85のハイオーガって聞いてますよ」
「大丈夫」
青い顔をしたマヤを連れてダンジョン10階に立った。
約1年前、私のとんでもない戦いは、ここで2メートルオオカミと出くわし、始まった。
10分歩くと、最初の敵が現れた。
20メートルの大蛇。
初めて遭遇してときは、素手で裸だった。
ただ『超回復』「等価交換」を繰り返した。2日間、泥沼のような戦いを続けた。
「マヤ、半殺しにするから、待ってて」
「ユリナさん、危ない」
飛び出した私に大蛇が巻きついた。
けど、私の勝ち。すでに手には、スライムを出してある。
「マヤ、ダンジョンの中での私の戦い方は誰にも言わないでくれると助かるわ。スライム変換」
大蛇が私を締め上げる。
「今回は用意万端なのよね」
『超回復&スライムアタック』
ぱーん。私と接触した蛇の腹が弾けた。
20メートルの胴体が何ヵ所もえぐれ、場所によっては、大きくめくれている。
「え、すごい。それにユリナさんが小さくなってる」
「のたうち回ってる蛇を避けながらダメージを入れて」
私はトレントの枝を使い、蛇の頭をぺしっ。
90センチまで縮んだ体を元に戻す材料、感覚器官からもらった。
そしてマヤは何度か蛇の尻尾に弾かれながら、立ち向かった。
一時間半をかけ、大蛇にとどめを刺した。
「何が起こったか分からないけど強い。あれもユリナさんの気功術なんですね」
「ま、この調子でマヤのレベル50くらいを目指そうか」
返事を待たず、前回とは違って昇り階段ではなく、11階へ降りる階段を探した。
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