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94 鬱憤はダンジョンボスで発散
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ノカヤ上級ダンジョン41階に飛んで、42階からダンジョンボスがいる50階を目指す。
このクラスの場所になると、セーフティーゾーンは各階に確認されて、49階には2か所あるらしい。
47階までは一戦もせずスルー。走るのと、戦いを避けるときに攻撃を食らったダメージを治すのに、何の戦果もなく3・8メートルダチョウを6匹も消費した。
48階からは情報通りオークソルジャー1匹に黒豚2匹の構成になった。予定は黒豚を「等価交換」ありで倒してオークソルジャーと一騎打ち。
「ソルジャーの推定レベル68、平均HPが952。私は推定レベル49、HP147。HPの差がそのままパワーの違いと見るべきだもんな。パワーで張り合うならレベル300が必要か。ズルして1時間で倒せたらいいな」
「ぶもっ、ぶももももおお~」どさっ。
1時間かかって倒せた。ただしランドドラゴン変身をして武器を「破壊的絶対領域」で粉砕。
素手になったオークソルジャーの顔をミスリルソードで斬り続けた。
最初の黒豚で体を損傷、オークソルジャーの武器を破壊するときに体を損傷、パンチで殴られまくり。一発ずつの衝撃が強烈で、「等価交換」で使ったダチョウは3・8メートル丸1匹。やはり燃費が悪い。
もしBランクになれてAランクを目指すときは、受験資格の最低レベルが85。魔法も使えず腕力も上がらない私が、10メートル近い恐竜型ランドドラゴンクラスの魔物を剣だけで討伐する必要がある。無理だ。
4回の戦いを終えてセーフティーゾーンを見つけた。だけど先客もなし。敵が強いこの辺りは、死亡リスクと稼ぎを考えると、冒険者に取ってバランスが悪い場所。「上級ダンジョン踏破」の称号が欲しい人くらいしか入り込まない。
49階に降りるとオークソルジャーの強さが増した。自分に課した20回の戦闘が終わったとき、ダチョウ31匹を消化していた。
ラストの推定レベル69オークソルジャーと戦ったときは、セットの黒豚と合わせて2時間の戦い。
途中まで数えただけでも、41回も大きな傷を負っていた。そこで『超回復』を手にして何度の致命傷を負ったかと考え、怖くなって数えるのをやめた。
間違いなくレベル60に達しているし、最下層に降りた。ここまで封印してきたエールを出して、階段を降りるときから飲み始めた。
「ぷはあ~、染みるわ。この一杯のためにダンジョンに潜ってるよね」
最下層50階に到着して、先客がいた。男子5人、女子3人のパーティーだ。戦士、魔法使いの混成で装備も上等。
「12日ぶりの人間だ。こんちわ・・」
うれしくなってあいさつした。だけど相手の反応は違っていた。
「わ、こんなとこに細身の女子1人」
「ボロボロのタンクトップ1枚で、千切れた右肩のひもが結んである」
「右手にジョッキで酔ってる・・」
「裸足だよ」
だが、その次はお約束だった。
「この人、噂のユリナ様だよ」
「弱そうに見えるのに、間違いなくバケモノだな」
「ケイト、バルサ、助かるかも知れないぞ」
彼ら「ホライゾン」はBランク5人、Cランク3人の構成。
パーティーランクをBに認定してもらうため、このダンジョンに挑んだ。ボス前まで来たが49階で受けた2人の傷が悪化して、2日間もこの場に止まっていた。
リーダーのオルットさんに頭を下げられた。
「すまねえユリナさん。金は払えるだけ払う。重傷の2人を治療してくれ。そしてボス戦に寄生させてくれ」
申し出に少し驚いた。だけど直後になるほどと思った。
「自分達で挑戦しないの?」
「リーダーの俺のミスでパーティー全体が瓦解しかけている。現戦力でもボス戦は勝てるかも知れねえが、犠牲者も出る。そこにあんたが来た。ずるいが助けてくれ。それが最善だ。ギルドでも本当のことを申告するから、この通りだ」
プライドよりも仲間の安全。それに判断も早い。最近、面倒な人との絡みが多かったから、清々しく感じる。
勉強になったし、一回だけ手助けをする。とりあえず8人に『超回復』をかけた。
「分かった、ちょっと待ってね。とりあえずクリアしてみるから」
「え、なんだって?」
ゴゴゴゴゴゴゴ・・
オルットさん達には驚かれたが、私はエールのジョッキを持ったまま、ダンジョンボスの部屋に入った。
「やっと、経験値ゼロでもいい戦いができる」
オークジェネラル75がボス。プラスしてオークソルジャーレベル70が2匹、ノーマルオークレベル70が2匹、オークヒーラーレベル65が1匹で計6匹。かなり強烈な布陣。いきなりオークソルジャーが走ってきた。
裸になって私は叫んだ。
「私のストレス発散の道具になってくれ。スライム変換!」
ぱちっ。ぽよよよーん。
レベル70オークソルジャーの腹がぶつかって私の体が半壊した。べちゃっ。
「超回復&破壊的絶対領域」
ぱーん。例によって敵が弾けた。
「よし、開始2秒。白兵戦の2時間とは大違いだ」
驚きながらも「ダンジョンの意思」に突き動かされて、オーク達が走ってくる。
ジェネラルの斧、オーク、オークソルジャー、オーク、ジェネラルの順番で「スライムパンチ」の餌食にした。
最後のヒーラーにも白兵戦では歯が立たないだろうからスライムパンチ使用。計8匹目のスライム、プラス4メートルダチョウの「等価交換」でダンジョンボス部屋を制圧した。
「すげえよスライムパンチ。「等価交換」で使う肉の量も白兵戦に比べたらコスパがいい」
そのままクリア証明メダル、ドロップアイテムの20メートル四方収納指輪、爆散した元オークを拾って部屋を出た。
ゴゴゴゴゴゴ。
「お待たせ。私のダンジョン攻略が済んだから、今度は手伝うわ」
極力明るく言ったが、ボス部屋の前で待っていた8人の口が開いていた。
「うそ・・」
「まだ5分だぞ・・」
「だけど、クリア者だけが使える転移装置が作動している」
「ユリナさん、お待たせって・・」
「せっかくだから、ボスに挑戦してもらうのもいいかなって。無理そうなら私が手助けするし、そっちの8人で勝てたら、堂々とクリア者を名乗ればいいよ。そのときは私が「寄生」でいいしさ」
「はあ・・」
結局、彼ら8人は私に「寄生」という形を取った。私の『超回復』をあてにした戦いは、勝っても実力とは言えないそうだ。
潔し。
このクラスの場所になると、セーフティーゾーンは各階に確認されて、49階には2か所あるらしい。
47階までは一戦もせずスルー。走るのと、戦いを避けるときに攻撃を食らったダメージを治すのに、何の戦果もなく3・8メートルダチョウを6匹も消費した。
48階からは情報通りオークソルジャー1匹に黒豚2匹の構成になった。予定は黒豚を「等価交換」ありで倒してオークソルジャーと一騎打ち。
「ソルジャーの推定レベル68、平均HPが952。私は推定レベル49、HP147。HPの差がそのままパワーの違いと見るべきだもんな。パワーで張り合うならレベル300が必要か。ズルして1時間で倒せたらいいな」
「ぶもっ、ぶももももおお~」どさっ。
1時間かかって倒せた。ただしランドドラゴン変身をして武器を「破壊的絶対領域」で粉砕。
素手になったオークソルジャーの顔をミスリルソードで斬り続けた。
最初の黒豚で体を損傷、オークソルジャーの武器を破壊するときに体を損傷、パンチで殴られまくり。一発ずつの衝撃が強烈で、「等価交換」で使ったダチョウは3・8メートル丸1匹。やはり燃費が悪い。
もしBランクになれてAランクを目指すときは、受験資格の最低レベルが85。魔法も使えず腕力も上がらない私が、10メートル近い恐竜型ランドドラゴンクラスの魔物を剣だけで討伐する必要がある。無理だ。
4回の戦いを終えてセーフティーゾーンを見つけた。だけど先客もなし。敵が強いこの辺りは、死亡リスクと稼ぎを考えると、冒険者に取ってバランスが悪い場所。「上級ダンジョン踏破」の称号が欲しい人くらいしか入り込まない。
49階に降りるとオークソルジャーの強さが増した。自分に課した20回の戦闘が終わったとき、ダチョウ31匹を消化していた。
ラストの推定レベル69オークソルジャーと戦ったときは、セットの黒豚と合わせて2時間の戦い。
途中まで数えただけでも、41回も大きな傷を負っていた。そこで『超回復』を手にして何度の致命傷を負ったかと考え、怖くなって数えるのをやめた。
間違いなくレベル60に達しているし、最下層に降りた。ここまで封印してきたエールを出して、階段を降りるときから飲み始めた。
「ぷはあ~、染みるわ。この一杯のためにダンジョンに潜ってるよね」
最下層50階に到着して、先客がいた。男子5人、女子3人のパーティーだ。戦士、魔法使いの混成で装備も上等。
「12日ぶりの人間だ。こんちわ・・」
うれしくなってあいさつした。だけど相手の反応は違っていた。
「わ、こんなとこに細身の女子1人」
「ボロボロのタンクトップ1枚で、千切れた右肩のひもが結んである」
「右手にジョッキで酔ってる・・」
「裸足だよ」
だが、その次はお約束だった。
「この人、噂のユリナ様だよ」
「弱そうに見えるのに、間違いなくバケモノだな」
「ケイト、バルサ、助かるかも知れないぞ」
彼ら「ホライゾン」はBランク5人、Cランク3人の構成。
パーティーランクをBに認定してもらうため、このダンジョンに挑んだ。ボス前まで来たが49階で受けた2人の傷が悪化して、2日間もこの場に止まっていた。
リーダーのオルットさんに頭を下げられた。
「すまねえユリナさん。金は払えるだけ払う。重傷の2人を治療してくれ。そしてボス戦に寄生させてくれ」
申し出に少し驚いた。だけど直後になるほどと思った。
「自分達で挑戦しないの?」
「リーダーの俺のミスでパーティー全体が瓦解しかけている。現戦力でもボス戦は勝てるかも知れねえが、犠牲者も出る。そこにあんたが来た。ずるいが助けてくれ。それが最善だ。ギルドでも本当のことを申告するから、この通りだ」
プライドよりも仲間の安全。それに判断も早い。最近、面倒な人との絡みが多かったから、清々しく感じる。
勉強になったし、一回だけ手助けをする。とりあえず8人に『超回復』をかけた。
「分かった、ちょっと待ってね。とりあえずクリアしてみるから」
「え、なんだって?」
ゴゴゴゴゴゴゴ・・
オルットさん達には驚かれたが、私はエールのジョッキを持ったまま、ダンジョンボスの部屋に入った。
「やっと、経験値ゼロでもいい戦いができる」
オークジェネラル75がボス。プラスしてオークソルジャーレベル70が2匹、ノーマルオークレベル70が2匹、オークヒーラーレベル65が1匹で計6匹。かなり強烈な布陣。いきなりオークソルジャーが走ってきた。
裸になって私は叫んだ。
「私のストレス発散の道具になってくれ。スライム変換!」
ぱちっ。ぽよよよーん。
レベル70オークソルジャーの腹がぶつかって私の体が半壊した。べちゃっ。
「超回復&破壊的絶対領域」
ぱーん。例によって敵が弾けた。
「よし、開始2秒。白兵戦の2時間とは大違いだ」
驚きながらも「ダンジョンの意思」に突き動かされて、オーク達が走ってくる。
ジェネラルの斧、オーク、オークソルジャー、オーク、ジェネラルの順番で「スライムパンチ」の餌食にした。
最後のヒーラーにも白兵戦では歯が立たないだろうからスライムパンチ使用。計8匹目のスライム、プラス4メートルダチョウの「等価交換」でダンジョンボス部屋を制圧した。
「すげえよスライムパンチ。「等価交換」で使う肉の量も白兵戦に比べたらコスパがいい」
そのままクリア証明メダル、ドロップアイテムの20メートル四方収納指輪、爆散した元オークを拾って部屋を出た。
ゴゴゴゴゴゴ。
「お待たせ。私のダンジョン攻略が済んだから、今度は手伝うわ」
極力明るく言ったが、ボス部屋の前で待っていた8人の口が開いていた。
「うそ・・」
「まだ5分だぞ・・」
「だけど、クリア者だけが使える転移装置が作動している」
「ユリナさん、お待たせって・・」
「せっかくだから、ボスに挑戦してもらうのもいいかなって。無理そうなら私が手助けするし、そっちの8人で勝てたら、堂々とクリア者を名乗ればいいよ。そのときは私が「寄生」でいいしさ」
「はあ・・」
結局、彼ら8人は私に「寄生」という形を取った。私の『超回復』をあてにした戦いは、勝っても実力とは言えないそうだ。
潔し。
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