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24 不穏な空気が流れ出す

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モンスターハウスを切り抜けた。

ダリア、オーグ、そしてリュウを100匹の魔物から守り切れた。


「超回復、等価交換コンボ」の異様性も見せてしまった。

魔物に食われた。目をえぐられた。

バッファローの角が腹を貫通した。内蔵が飛び出た。

首が折れた。空を舞った。

だけど立ち上がって、敵を無力化した。

致命傷↓『超回復』↓身長130センチ

身長130センチ↓「等価交換」↓身長160センチ。

異様な私の戦い方。リュウもダリアも言葉が出ない。

「ユリナさん・・」
「ユリナ・・」

そのとき無口なオーグが口を開いた。

「感謝、窮地、生存、無傷、単独、感謝、感謝」

「え?なにかな」

「ユリナさん、オーグはモンスターハウスにはまって全滅でも不思議じゃなかったのに、全員が無傷で生き残った。心から感謝してますって」

すげ、分かるんだ。それって特殊スキル?

「ごめん、俺が余計なもん触って、みんなを危ない目にあわせた」

「いいよ、気にしない。それより今度こそ、魔物に止めを刺そう」

◆◆
思わぬ収穫があった。

結果オーライ。大量の素材が手に入った。

高く売れる牛の肉が大量にある。

討伐の貢献度のことを言われた。
私は均等割りにしたいので、そこは放棄した。

「ユリナ、本当にいいのか」

「権利膨大」

「素材を全部持って帰れるから、軽く2000万ゴールドを越えそうですよ」

「これだけのモンを持って帰れる収納指輪、すげえぜ」

そういえば、収納指輪がもう一個あった。

風のカルナと戦ったあと、容量小を拾っていたことを思い出した。

「私、ダルクダンジョンで一辺10メートルの収納指輪も拾ったの」

「へえー、収納指輪2個持ちかよ」

「武器も入ってるから、誰か使わない?」

「ダメだよ。それはユリナ個人の物」

十分に恩恵がある。これ以上は甘えられないと断られた。

Dランク3人が収納指輪なんて持ってると、悪い先輩冒険者に目をつけられるらしい。

「私、2か月前から収納指輪を持ってても、別に変化はないよ」

「ユリナは奇跡の生還者。実際に強いし、カナワの冒険者は誰も絡まないよ」

「そうなんだ」

それから3日後、目標のダンジョン10階をクリアした。

ボスはギルドの情報通りにグレイウルフと猿3体。

ボスはオーグが担当して、猿を残り3人引き受けた。

少し緊張したけど、簡単に倒せた。成長率は上方修正。いいことだ。

◆◆
地上に戻って、帰路も順調。

受け付けが込んでる夕方近くにギルドに付いた。

テンションも高いし、今日中に手続きをすることにした。

成果報告のあと、解体場に向かった。

収納指輪から130を越える獲物を出すと、リュウもオーグも鼻高々。

私はギルマスに呼ばれ、執務室に向かった。

リュウ達3人はギルド併設の食堂。先に飲んでてもらうことにした。


「こんにちは、ギルマス」
「元気そうだな、ユリナ」

わざわざ呼んでくれたのは、気になる話があったそうだ。

数日前にトラブった、カスガ男爵家の跡取りワルダーの話だった。

「私を探している?」

・・・経緯を話した・・・・

「そうなのか。お前、そいつらを助けたのに斬られて、例の回復スキルで治したんだな」

「まいったな」

私が生き残ってるし、やつらからしたら恥になる話ばかり。
だから、沈黙すると思ってた。

なぜ、やつらは動いているんだろう。

「俺の予測が入っているが、いいか?」
「何か、心辺りがあるんですね」

カスガ男爵家は、カナワから南西に領地がある、

領主は頭が古い考え方のガチガチ貴族主義。

今は冒険者ギルドだけでなく、多くのギルドが結束。
横暴な貴族から色んな才能や権利を守っている。

貴族といえども昔ほど他人を奴隷のように使役できない。

けれどカスガ家は、それを無視。悪い噂ばかりが飛び交っている。

「そうなんですか・・」

「だから、男爵家の領地から人材の流出が激しく、領地経営は衰退の一途だ」

「それと、私が何か関係があるんですか?」

ダンジョン8階で、風のカルナの死に際に聞いた言葉と同じだった。

老齢となった王が延命にこだわっている。

秘薬や魔法、スキルを得られるダンジョンアイテムを探している。

憎いジュリアが私達を騙したのも、それが原因だ。

私の大切な友達3人が命を落としたのは、そのせいだ。

各貴族にも協力要請が出ている。

大半は返事だけして相手にしていない。

だがカスガ男爵家は、古いしきたりにこだわる家。

王の延命を手助けし、王に取り立ててもらうことを考えている。

それで、私の回復スキルに目をつけた。

「トラブルの内容を聞いて、ギルド会員への殺人未遂でギルド本部に報告すると言ったら、一度は引いた」

まあ、私が全快してるから、証拠はない。ギルマスは、そう言って笑ってる。

「教えてくれてありがとうございます」

「それともう一点、頭の中に入れておいてくれ」

「はい」

ワルダーは、カスガ男爵ではなく、姉に言われてユリナを探しに来ている。

「姉? 私、貴族の知り合いなんていませんよ」

「指示したやつの名前は、男爵家の長女でウイン」

心臓が跳ね上がった。

「・・そいつ、私の方から探しに行くつもりでした」

忘れる訳がない・・。

水のウイン。

私の友達を殺したクソ女たちの一人だ。



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