ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

23 無双のようなもの

モンスターハウスに閉じ込められた。

部屋の角に、自作防護柵をセット。

リュウ、オーグ、ダリに入ってもらい、防御力が低いダリアを死なせない布陣を作った。


私だけで撃って出た。

モンスターハウス奥の格子が70センチほど上がった。

まず、オオカミが10匹出てきた。

４階の奴よりデカい。
恐らく猿もバッファローも大型化している。

リュウたちの戦いを何十回も見てきて、思ったことがある。

「相討ちでいい私って、本当に反則だよね」

オオカミが口を開けて首元に迫る。

「ユリナ！」

避ける気はない。

がりっ。首にオオカミの牙が食い込んだ。致命傷だ。

構わず、オオカミの頭を抱え、左目をグリグリとえぐった。

「ぎゃんっ！」
『超回復』

喉を食いちぎられた私が無傷。

攻撃したのに、目から血を流してのたうち回るオオカミ。

敵の警戒度が上がった。

モンスターの癖に私を囲んで連携したオオカミが、前後左右から噛みついて離れた。

『超回復』。背が縮んだ。

猿も来た。

しなやかな手足を持ち、ジャンプして真上から噛みついてきた。

「危ない、ユリナ！」

「等価交換」パチィ。

猿に頭を噛まれたが、噛んだ猿の歯が抜け落ちた。

口がしぼんで、息も苦しそうだ。喉も破壊した。

身長が元に戻った。

私は、手当たり次第にオオカミ、猿の顔面を攻撃した。

引っ掛かれる。噛みつかれる。目をえぐられる。

そいつらに等価交換を唱える。

バグッ、ガリッ、ゴキッ。

『超回復』「等価交換」

骨を切らせて肉を断つ。

最低の兵法だ。

しばらく「等価交換」なしで戦った。変な余裕が出てきたのだ。

「ユリナ、小さくなってないか？」
「幼児」

10歳の子供くらい。

オオカミ3匹に噛み付かれ、同時に猿2匹にも捕まれた。

「等価交換！」パチパチバチッ。

「うほ？」
「ぐる、るる」
「あが、がが」

「なるほど、こうなるか」

私の身長50センチ分の身体を作り直す栄養は、5匹から均等にいただいた。

猿の手はミイラ。オオカミは上顎と下顎が合わさらない。

リュウたちのバリケードに向かう奴もいた。

そいつらは槍で刺されるか、私に後ろから眼をえぐらるか。

檻が開ききった。巨体のバッファロー登場。

厄介かと思ったバッファローこそ、私は相性が良かった。

突進されて角で胸に穴を空けられる。

『超回復』身長8センチ減。

何も考えず、再び頭を低くして来るバッファロー。

両手を両目めがけて伸ばすだけ。

激突と同時に、クロスカウンターの「等価交換」

「ぶももも～」
「ぶええ～」

目や眉間の急所がへこんだバッファローが、どんどん転がる。

あっという間に30匹。

私は、自分が致命傷を負う前提で、魔物に触れるだけでいい。

思っていた以上に、目の周りに攻撃が当たる。

感覚器官が狂うだけで、敵の戦闘力７割減。

『超回復』「等価交換」パチィ。

敵は１匹も死んでない。

代わりに、まともに動いてるのは、オオカミと猿で計７匹。

バリケードに走って、３人を解放した。

「リュウ、お待たせ」

「あ、おあう・・」
「絶句・・」
「は。ええ？」

「どうしたの、3人とも目をそらして。動いて。残りを無力化するよ」

３人が慌てて飛び出した。

魔物７匹を「暁の光」の３人で簡単に制圧。

けがも、男2人の擦り傷のみ。


「みんな、ご苦労さま」

「い、いや」
「・・」

リュウもオーグも、私から目をそらして、よそよそしい。

やっぱり戦い方がグロくて、最低過ぎたのだろうか。

「ごめんなさいリュウ。あんな変な戦い、見たくなかったよね・・」

「あ、あや、いや・・」
「？」

「ユリナさん」
「なにダリア・・」

「男2人が目をそらしてるのは多分、違う理由。自分の身体を見て」

「ユリナ、服・・」
「眼福」

「げ・・」

そうだ、私は最初から軽装だった。

そして魔物に身体ごと服を引き裂かれたのだった。

堂々の痴女スタイル。

マイ最強フォーム「全裸」だった。

「いやあ、ダルクダンジョンでは、こんな格好で何日も彷徨ったから、馴れちゃってた・・」

「頭かいてないで、早く隠して下さい」

オーグはダリアに目隠しされている。

リュウも、赤くなってる。