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12 帰還とギルマス
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ダンジョンを脱出して、冒険者ギルドにやってきた。
ソフィー達に感謝。
入って左に受付カウンター、右が依頼掲示板や飲食スペースがある。
ソフィーらは依頼達成の報告をする。
行方不明の扱いだった私はギルマスに呼ばれ、執務室に向かった。
久々に普通のワンピースを着ている。
◆
ギルマスはAランクの52歳。180センチの魔法剣士でラグ。
ソファーで向かい合って話している。
「さて。ユリナ、無事で良かった。行方不明と聞いていたが、良かった」
「はい。ご心配をおかけしました」
・・・経緯を話した・・
ジュリアの報告はソフィーに聞いた通りで、探索失敗で私達の仲間が死んだということだ。
本来ならジュリア達をここに呼んで話を聞くべきだが、すでに彼女らは街を去っている。
「私が訴えても、ダンジョン内の出来事は立証できないことは分かっています。だから訴えません」
「すまんな。力になれなくて。それにしてもよく、Eランクのお前が半月間もダンジョンで生き残れたな」
ここからは、全て明かす訳にはいかない。
「はい。私も怪我を負ったんですが、ギリギリで自己回復スキルに目覚めました」
「ふむ。隠れたスキル持ちの人間がスキルなしと思ってて、何かをきっかけで覚醒することはたまにある。仲間のことは残念だろうが、幸運だったな」
「はい。それで妙に勘も鋭くなり、魔物から隠れながら半月間を過ごせました」
100メートル近い高さから落ちた。その後のことを考えても無理がある。
そこはギルマスも冒険者。
暗黙の了解。冒険者の生命線となる、スキルの中身は聞かない。
「自己回復スキルか・・」
「ええ。ナイフを借りていいですか?」
「魔鉄製の業物だ。気を付けろ」
「はい、見ていて下さい」
よく手入れされた魔鉄製ナイフで、手首をさっと引いた。
ぶしゅっ。やりすぎて、骨まで切れていた。
『超回復』
「は?」
「ああっ、血でソファーを汚してしまいました」
「ええっ・・。手首の切り傷どころか血管まで一瞬で戻った・・」
「ソファー汚してすみません・・」
「ソファーは気にしなくていい。それより凄いな」
「ええ、代わりに戦闘力は低いまま。回復スキルを他人に使っても切り傷を治す程度。かなり偏ってます。使用する魔力量にも不安があるから乱発できません」
「それでも、いいスキルだ。発現おめでとう」
「ありがとうございます」
ギルマスは疑念を持っていただろうが、笑顔で見送ってくれた。
◆
帰りに、ダンジョンで「超回復、等価交換コンボ」を使って倒した高レベルオーク2匹を査定に出した。
当面の生活費のためだ。
ソフィー達と合流すると、お金を50万ゴールドも渡してきた。
私の4ヶ月の稼ぎと同じくらいだ。
私が渡したオークジェネラルは依頼品の睾丸を抜いても価値があり、私をダンジョンから護衛したことにしても、差額がこの程度出たそうだ。
ありがたくお金を受け取った。
さらにマリーが痣を消したお礼をしたいと言うので、お互いに落ち着いてから一緒に冒険者活動をしてもらうことになった。
ソフィー達が誘ってくれて、そのまま打ち上げ会に突入。
ジュリアへの怒りもあるけど、私は元来、闘争心にあふれる方でもない。勧められてお酒を飲んだら、気持ちも落ち着いた。
50万ゴールド。初めてのまとまったお金だ・・。安いパンなら100ゴールド、少し砂糖を使った高い奴で600ゴールドで買える。
宿屋もギルド宿泊所の8人相部屋1000ゴールドから、一泊4000ゴールドの朝食付き個室に格上げできる。
「こんだけお金があったら、4人で腹一杯食べて楽しい夜になるはずなのに・・」
口に出したら、アリサ、モナ、ナリスを失ったことを強く実感した。
悲しくて涙が止まらなくなった。
「・・ユリナ」
「ソフィーもマリーも、みんなごめん。あっ、うえっ、ああ、うえっ」
「いいのよ。悲しくて当然よ・・」
「あ、あ、ありがとう」
ソフィーとマリーが優しく肩を抱いて慰めてくれた。
ソフィー達に感謝。
入って左に受付カウンター、右が依頼掲示板や飲食スペースがある。
ソフィーらは依頼達成の報告をする。
行方不明の扱いだった私はギルマスに呼ばれ、執務室に向かった。
久々に普通のワンピースを着ている。
◆
ギルマスはAランクの52歳。180センチの魔法剣士でラグ。
ソファーで向かい合って話している。
「さて。ユリナ、無事で良かった。行方不明と聞いていたが、良かった」
「はい。ご心配をおかけしました」
・・・経緯を話した・・
ジュリアの報告はソフィーに聞いた通りで、探索失敗で私達の仲間が死んだということだ。
本来ならジュリア達をここに呼んで話を聞くべきだが、すでに彼女らは街を去っている。
「私が訴えても、ダンジョン内の出来事は立証できないことは分かっています。だから訴えません」
「すまんな。力になれなくて。それにしてもよく、Eランクのお前が半月間もダンジョンで生き残れたな」
ここからは、全て明かす訳にはいかない。
「はい。私も怪我を負ったんですが、ギリギリで自己回復スキルに目覚めました」
「ふむ。隠れたスキル持ちの人間がスキルなしと思ってて、何かをきっかけで覚醒することはたまにある。仲間のことは残念だろうが、幸運だったな」
「はい。それで妙に勘も鋭くなり、魔物から隠れながら半月間を過ごせました」
100メートル近い高さから落ちた。その後のことを考えても無理がある。
そこはギルマスも冒険者。
暗黙の了解。冒険者の生命線となる、スキルの中身は聞かない。
「自己回復スキルか・・」
「ええ。ナイフを借りていいですか?」
「魔鉄製の業物だ。気を付けろ」
「はい、見ていて下さい」
よく手入れされた魔鉄製ナイフで、手首をさっと引いた。
ぶしゅっ。やりすぎて、骨まで切れていた。
『超回復』
「は?」
「ああっ、血でソファーを汚してしまいました」
「ええっ・・。手首の切り傷どころか血管まで一瞬で戻った・・」
「ソファー汚してすみません・・」
「ソファーは気にしなくていい。それより凄いな」
「ええ、代わりに戦闘力は低いまま。回復スキルを他人に使っても切り傷を治す程度。かなり偏ってます。使用する魔力量にも不安があるから乱発できません」
「それでも、いいスキルだ。発現おめでとう」
「ありがとうございます」
ギルマスは疑念を持っていただろうが、笑顔で見送ってくれた。
◆
帰りに、ダンジョンで「超回復、等価交換コンボ」を使って倒した高レベルオーク2匹を査定に出した。
当面の生活費のためだ。
ソフィー達と合流すると、お金を50万ゴールドも渡してきた。
私の4ヶ月の稼ぎと同じくらいだ。
私が渡したオークジェネラルは依頼品の睾丸を抜いても価値があり、私をダンジョンから護衛したことにしても、差額がこの程度出たそうだ。
ありがたくお金を受け取った。
さらにマリーが痣を消したお礼をしたいと言うので、お互いに落ち着いてから一緒に冒険者活動をしてもらうことになった。
ソフィー達が誘ってくれて、そのまま打ち上げ会に突入。
ジュリアへの怒りもあるけど、私は元来、闘争心にあふれる方でもない。勧められてお酒を飲んだら、気持ちも落ち着いた。
50万ゴールド。初めてのまとまったお金だ・・。安いパンなら100ゴールド、少し砂糖を使った高い奴で600ゴールドで買える。
宿屋もギルド宿泊所の8人相部屋1000ゴールドから、一泊4000ゴールドの朝食付き個室に格上げできる。
「こんだけお金があったら、4人で腹一杯食べて楽しい夜になるはずなのに・・」
口に出したら、アリサ、モナ、ナリスを失ったことを強く実感した。
悲しくて涙が止まらなくなった。
「・・ユリナ」
「ソフィーもマリーも、みんなごめん。あっ、うえっ、ああ、うえっ」
「いいのよ。悲しくて当然よ・・」
「あ、あ、ありがとう」
ソフィーとマリーが優しく肩を抱いて慰めてくれた。
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