恋する奴隷のしつけ方

神笠 京樹

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初めてのお風呂-3

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 舌先に全神経を集中する。これが、僕のご主人様の形かぁ、っていう感じがして、なんていうか、その……僕も昂ってくる。もっとも、お風呂でやるこのテクニックは、あんまり長く続けるべからず、という風に教えられている。あくまで、本命の行為に移る前の、前菜のような位置づけで考えること、と。

 さて、そして僕は口を開け、それをこわごわと唇で包み込む。

「あむ……」

 そのまま、深く咥える。それから頭を前後させるようにして、口腔全体で、それを愛撫していく。ちゃぷ、ちゃぷとお湯が揺れる。

「んっ……ん……」
「ま、待て……待ってくれ……これは……何なのだ……」

 ジェイド様の反応は初々しかった。という僕も実践に移すのは初めてだとはいえ、どうも、ジェイド様の方は、これがどういう呼称で呼ばれる行為であるかということすら知らないっぽい。何百年も生きてるんだろうに。どんだけ朴念仁なの。

「だ、駄目だ、もう」

 出そうらしい。まあ、いくらなんでも射精がどういうものであるかは知ってるよな、女孕ませた経験はあるんだから。両手が、僕の頭に軽く添えられた。離れろ、という意思表示が、言外に伝わってくる。でもダメ。離れてあげない。

「くっ……!」

 音はしないけど、びゅるっ、びゅるっという感じで、液体が僕の喉に放たれた。予測していたから、かろうじて、むせたりはしないで済んだ。それをそのまま、飲み下す。一度には無理だった。何度か、んくっ、んくっ、という感じで、喉に引っかかるのを感じつつも、どうにか、ぜんぶ飲んだ。比較対象がないからよく分からないが、たぶん、すごく多かったと思う。下手したらマジで三百年分なのかもしれない。わいせつ本どこからも見つからなかったし。

「あは……ご主人様の、とっても美味しいです……」

 正直、涙目になってると思うが、風呂の中だから気付かれまい。さて。このままこの先に突入は、あるかな? と思ったんだけど。

「……正直に言おう、悦楽の極みであった」
「はい。僕で感じてくださって、嬉しいです」
「私はそろそろ上がるとする。お前はもう少し入っていてもいいぞ。ではな」

 あかん、賢者モード入ってる。スイッチ入れると獣になる、とかいうのを期待してたんだけど。

「いえ、僕も出ます。いまタオルをご用意しますので」

 びっちょびちょの下着を拾って自分用の洗濯籠に放り込み、バスタオルを二枚、積んである山から取る。手早く自分の体の水気を払って、ジェイド様の身体に新しい方のタオルを這わせる。ふきふき。

「子種というのは味がするものなのか?」

 返答に困る質問が来た。朴念仁め。

「そのあたりは情緒の問題です。御自分でお試しになることはお勧め致しかねます」
「ふむ。いずれにせよ、快き奉仕であった。しかれば褒美を取らそう。何か望むことはあるか」
「じゃあ……」

 この場で犯してくださいと言うのは簡単なのだが、向こうにその気があるならもうそうなってるだろうし、多分僕が駄菓子でもねだると思ってる風な態度だし、搦め手で攻めてみるか。

「もう一度、御奉仕させてください。ご主人様に感じていただけることが、僕の喜びですから」
「そんなことでいいのか?」
「はい。ただ、次は僕がそう望む時と機会で」
「そうか。では、その時は言うように」
「はい」

 よし言質取りました。ししし。

 で、その日はそのまま、就寝です。ゆうべは(他に使われている部屋がないからという理由で)ご主人様の部屋のソファベッドで寝たわけなんですが、今日からは僕は専用の個室を与えられることになりました。ベッドメイクくらいは昼間自分でやってある。

 というわけで、夜が更けたら僕は就寝です。ランプに使う油は高いから、たいした用もないのに奴隷がむやみに使うわけにもいきません。それに、明日の朝は用があるのだ。だからご主人様より早く起きないといけない。何をするのかって?

 そりゃあなた、ご主人様の寝起きを襲うんです。
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