1 / 7
出会い
しおりを挟む
「男を知らない、生娘の奴隷が欲しい。自宅用だ」
という声が聞こえた。エルフの男性のようだった。向こうはエルフでこちらは人族だから、年齢は分かんない。
「ひえっひえっ、お客さんもお好きですねえ。それでしたら、各種族、年齢は一歳刻みで、ばっちり取り揃えておりますよ。ご希望の年齢は?」
「なるべく若いのがいい。種族は……そうだな、人族がよいだろうか」
「種族は人族でございますね。年齢の方は、具体的には……?」
「五十歳以下だ」
「お言葉ではありますが人族で『若い』というのは、もう少し下の数値の場合を申します」
「そうか。細かいところは任せる」
「では、こちらの檻が人族の檻になっております。御気に入られた娘などおられましたら、お気軽にお声がけください。おい、お前たち。生娘はこちらの鉄格子の前に集まれ。そうでない者は、向こうの壁際に」
と、奴隷商人さまに言われたので、僕は何人かの奴隷仲間の少女たちと一緒に鉄格子の近くに寄っていった。エルフの人はすごいイケメンだ。いいなあ。こんなご主人様に買われるのが僕の夢だったんだよね。自宅用って言ってたし、これはワンチャンある。がんばって愛想つくんなきゃ。
「どれがどんな奴隷だ?」
「まず向かって右ですが、この娘は――」
説明が始まる。ちなみに、売り物の奴隷は客の前で、許可があるまで口を開くことを許されてはいない。
「で、こちらの娘がですね。ここにいる中では最年少、シエルと言う名で、まだ初潮を迎えてから――」
ぼくのことである。シエル君だぞ。えっへん。
「ちょっと喋らせてみせてくれ」
やった! チャンス!
「シエル、自己紹介をするんだ。手短にな」
「はいっ! ご紹介に預かりました、シエルです! まだ未通娘で、男の人は正直まだ怖いんですけども、どんなご命令でも誠心誠意、頑張って御奉仕させていただきますっ!」
「気に入った。この娘にする」
「ははっ! まことにありがとうございます! えー、では金額の方ですが」
奴隷商人さまは僕の実際上の価格から言えばかなり“ふっかけている”としか言いようのない値段を言ったが、エルフの人、いや、僕の新しい『ご主人様』は鷹揚に言い値で支払いをした。現金払い。
「……また、正当な理由のない殺害と、奴隷身分のままでの放逐は国法で禁じられておりますので、その点は重々ご承知おきのほどを。では、説明は以上です。これにてお引き渡しとなります」
「うむ。……娘、喋ってよいぞ」
「お買い上げ、誠にありがとうございますっ! シエルですっ!」
「名はさっきも聞いた。わたしは、ジェイドだ。来い、シエル。お前にはわたしの家で暮らしてもらう」
「はいっ! よろしくお願いします!」
で、連れてこられたわけなんだけども。すごい家だった。でかい。立派なお屋敷だぁ。でも、門番の奴隷がいないな。
「そんなものはいない。この家の奴隷は、お前ひとりだ」
「へ? こんな立派なおうちなのに?」
「300年ほど前から使っていた使い魔が死んでしまってな」
「さ、さんびゃくねん」
「とりあえず、風呂だ」
「は、はいっ。薪割りですか? それとも水汲みから?」
「そんなものはいらない。我が家は二十四時間風呂になっている」
「使い魔の方はお亡くなりになったのでは?」
「こちらは契約している火と水の精霊の力によるものだ」
「べ、便利ですね、エルフ族のお方って」
「ここが風呂場だ。入ってこい」
「あれ? ご主人様は? 僕がお背中をお流しするのでは?」
「わたしは夕方にもう入った。入るのはお前だ」
あっ……そっかぁ。買ってきてさっそく味見するから、身体を清めてこいと、そういうことかぁ……どきどき。
そりゃもう、すみずみまで、綺麗に磨き上げましたよ。お風呂入るのひさしぶりだってこともあるしね。
で、脱衣所に出たら、新しい服が用意されていました。下着もあります。えーっと、用意してあるんだから着て出てこいってことだよね。自分の手で脱がせたいタイプなのかなご主人様。どきどきどきどき……
で、ベッドの近くまでしずしずとにじって行ったら、ご主人様寝てました。テーブルの上にメモがありました。
「長風呂は別に構わんが、待ちくたびれたから先に寝る お前は隣のベッドを使うこと」
あれ?
という声が聞こえた。エルフの男性のようだった。向こうはエルフでこちらは人族だから、年齢は分かんない。
「ひえっひえっ、お客さんもお好きですねえ。それでしたら、各種族、年齢は一歳刻みで、ばっちり取り揃えておりますよ。ご希望の年齢は?」
「なるべく若いのがいい。種族は……そうだな、人族がよいだろうか」
「種族は人族でございますね。年齢の方は、具体的には……?」
「五十歳以下だ」
「お言葉ではありますが人族で『若い』というのは、もう少し下の数値の場合を申します」
「そうか。細かいところは任せる」
「では、こちらの檻が人族の檻になっております。御気に入られた娘などおられましたら、お気軽にお声がけください。おい、お前たち。生娘はこちらの鉄格子の前に集まれ。そうでない者は、向こうの壁際に」
と、奴隷商人さまに言われたので、僕は何人かの奴隷仲間の少女たちと一緒に鉄格子の近くに寄っていった。エルフの人はすごいイケメンだ。いいなあ。こんなご主人様に買われるのが僕の夢だったんだよね。自宅用って言ってたし、これはワンチャンある。がんばって愛想つくんなきゃ。
「どれがどんな奴隷だ?」
「まず向かって右ですが、この娘は――」
説明が始まる。ちなみに、売り物の奴隷は客の前で、許可があるまで口を開くことを許されてはいない。
「で、こちらの娘がですね。ここにいる中では最年少、シエルと言う名で、まだ初潮を迎えてから――」
ぼくのことである。シエル君だぞ。えっへん。
「ちょっと喋らせてみせてくれ」
やった! チャンス!
「シエル、自己紹介をするんだ。手短にな」
「はいっ! ご紹介に預かりました、シエルです! まだ未通娘で、男の人は正直まだ怖いんですけども、どんなご命令でも誠心誠意、頑張って御奉仕させていただきますっ!」
「気に入った。この娘にする」
「ははっ! まことにありがとうございます! えー、では金額の方ですが」
奴隷商人さまは僕の実際上の価格から言えばかなり“ふっかけている”としか言いようのない値段を言ったが、エルフの人、いや、僕の新しい『ご主人様』は鷹揚に言い値で支払いをした。現金払い。
「……また、正当な理由のない殺害と、奴隷身分のままでの放逐は国法で禁じられておりますので、その点は重々ご承知おきのほどを。では、説明は以上です。これにてお引き渡しとなります」
「うむ。……娘、喋ってよいぞ」
「お買い上げ、誠にありがとうございますっ! シエルですっ!」
「名はさっきも聞いた。わたしは、ジェイドだ。来い、シエル。お前にはわたしの家で暮らしてもらう」
「はいっ! よろしくお願いします!」
で、連れてこられたわけなんだけども。すごい家だった。でかい。立派なお屋敷だぁ。でも、門番の奴隷がいないな。
「そんなものはいない。この家の奴隷は、お前ひとりだ」
「へ? こんな立派なおうちなのに?」
「300年ほど前から使っていた使い魔が死んでしまってな」
「さ、さんびゃくねん」
「とりあえず、風呂だ」
「は、はいっ。薪割りですか? それとも水汲みから?」
「そんなものはいらない。我が家は二十四時間風呂になっている」
「使い魔の方はお亡くなりになったのでは?」
「こちらは契約している火と水の精霊の力によるものだ」
「べ、便利ですね、エルフ族のお方って」
「ここが風呂場だ。入ってこい」
「あれ? ご主人様は? 僕がお背中をお流しするのでは?」
「わたしは夕方にもう入った。入るのはお前だ」
あっ……そっかぁ。買ってきてさっそく味見するから、身体を清めてこいと、そういうことかぁ……どきどき。
そりゃもう、すみずみまで、綺麗に磨き上げましたよ。お風呂入るのひさしぶりだってこともあるしね。
で、脱衣所に出たら、新しい服が用意されていました。下着もあります。えーっと、用意してあるんだから着て出てこいってことだよね。自分の手で脱がせたいタイプなのかなご主人様。どきどきどきどき……
で、ベッドの近くまでしずしずとにじって行ったら、ご主人様寝てました。テーブルの上にメモがありました。
「長風呂は別に構わんが、待ちくたびれたから先に寝る お前は隣のベッドを使うこと」
あれ?
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

シチュボ(女性向け)
身喰らう白蛇
恋愛
自発さえしなければ好きに使用してください。
アドリブ、改変、なんでもOKです。
他人を害することだけはお止め下さい。
使用報告は無しで商用でも練習でもなんでもOKです。
Twitterやコメント欄等にリアクションあるとむせながら喜びます✌︎︎(´ °∀︎°`)✌︎︎ゲホゴホ
【ショートショート】おやすみ
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
◆こちらは声劇用台本になりますが普通に読んで頂いても癒される作品になっています。
声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる