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47.推しごとに行こう
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三時きっかりに、ポームメーレニアンは「タオの店」にやってきた。可愛い小さな花束を持っている。
「はい。どうぞ。今日ほど、時間が経つのが遅いと思ったことは無かったよ」
ポームメーレニアンは顔を染めながら、葉月に花束を手渡す。白に近いピンクのバラだ。ほんのりと淡いグリーンからクリーム色、極淡いピンクの色がグラデーションになっていて繊細な可愛さだ。控えめなピンクを見て、葉月は一目で気に入った。派手なバラは葉月には似合わない。
「屋敷の庭に咲いていた。庭師のじいと一緒に選んだ。気に入ってくれればいいが」
葉月は、今まで男性に花束をもらったことが無かった。自分の事を考えて選んでくれたことが嬉しくて、でもこれからデートなのにどうしたら良いか分からなくなっていた。そんな時、ポームメーレニアンの後ろからシリが顔を出す。
「もう! ハヅキったらポメ様しか見てないから、私の事見えてなかったでしょ」
「あ、あ、ごめん。シリ、お帰りなさい。なんか、花束が嬉しくて、すごく素敵で、ずっと見ててわかんなかったよ」
「ポメ様。作戦成功だね! ちなみに五本のバラの意味は『あなたに出会えて本当に良かった』だって! 」
シリはいたずらっ子の笑みで、葉月をのぞき込む。二メートルはあるだろう長身のポームメーレニアンは、俯いて、真っ赤になっている。シリが、ポームメーレニアンを押し、葉月に近づける。
「ハヅキ、私が花束預かってお水につけといてあげる。デートに行って来たら? 」
「あ、うん。ありがとう」
「シリ。ありがとう。行ってくるよ。タオ、ハヅキを預かる。心配しなくても、帰りは六時の鐘が鳴るまでに帰そう」
玄関先まで出てきていたタオは高校生の娘の初デートを見送る父親の様に渋い顔をしながらも、ドウに慰められながら送り出してくれた。葉月たち二人は両手両足が一緒に出ているようなぎこちなさで歩き出す。
今日は庶民のハヅキに合わせてくれたのか、麻のベージュのチュニックにゆったりしたブラウンのパンツ、足元はこげ茶の皮のサンダルだ。ラフな普段着は、年相応の若者に見せている。葉月は見上げるようにして、ポームメーレニアンに話しかける。
「ポメ様。デートしてる間はポメ君が良いですか」
「もしよければ家族しか呼ばないあだ名があって『アン』と呼んでほしいんだ」
「じゃあ、アン。今日はどこに連れて行ってくれるの? 」
「ハヅキは軽々と飛び越えてきてくれるのだな」
「えー。『え、私そんな気やすくポームメーレニアン様をお呼びすることはできませんわ』とかのやり取りを何回かしなきゃダメなの?」
「そんなことは無いが、メーオ様も敬称なしで呼んでるから、誰にでもそうなのかと……」
「確かに人との距離が、あんまりわからないって言われるから、アンに迷惑かけてるようなら改善するから、どこが悪いか言ってね。あ、もしかしてメーオに嫉妬しちゃった? 」
葉月はそう言って、ニヤリと意地悪気にポームメーレニアンを見る。言ってしまってから、葉月はハッとした。晃からの注意を思い出したのだ。
「あ、ごめんなさい。からかってしまって。アンが嫉妬してくれてるのが、私を独占したいと思ってくれてるようで嬉しかったの。悪趣味だね。ごめんね」
「ぐっ。やはり、年上の女性とはこのように翻弄してくるのか。抱きしめそうになったではないか」
ポームメーレニアンは小声で独り言を言って、握りこぶしを握り耐えている。葉月はそのようになっているポームメーレニアンの状態は分からず、目を合わせてくれない事に焦っていた。
「ねえ、アン。今日ね、こっちに来て初めてのデートなの。ちょっとだけおしゃれしたんだよ。気付いてる? 」
葉月は女性の苦手な男性に女の子のほめ方をレクチャーする意図で、ポームメーレニアンの前に立ちぐるりと回ってみせる。大丈夫。大丈夫。葉月が中学の時に愛読していた少女漫画で、主人公がやっていたことだ。葉月は自分が四十三歳で大きく育っていることは忘れていた。しかも、ポームメーレニアンには真意は伝わっていないようだ。
「デートでは、最初に相手を褒めなきゃ! ほらほら、沢山褒めて! 」
葉月はグルグルとポームメーレニアンの前で回る。ふんわりと目の前の艶々と光る黒髪が回っている。こちらでは珍しく肩を過ぎた位で切り揃えられた真っすぐな短い髪。
ポームメーレニアンは、この前、シリの髪が綺麗な事を屋敷の女中たちが噂していたのを聞いた。なんでも、葉月の魔法の「ドライヤー!! イオン放出!! キューティクル補修!! 」でこのように美しい髪を保っているらしい。また、自宅のツバキの種から椿油を抽出して、香油と混ぜ、塗るらしいが、ほんのりと花の香りがする。
獣人には、人間が好む香水はきつすぎる。犬獣人のポームメーレニアンには香水を付けなくても葉月からほんのりと香る花の匂いの中に、まだ繁殖可能なメスの匂いまで感じ取っている。
葉月は背も女性にしては大きい。そして、ふくよかでいたるところに肉がついて柔らかそうだ。抱きしめただけで折れそうな娼婦や閨係の未亡人とは違う。そんなに小さく細かったら、壊れてしまいそうで抱く気も起きなかった。
皆は母上に似ているから、ハヅキを好いていると思っている。母上と顔つきはどことなく似ている。優しげで1人にしたら危なっかしい感じも。葉月が転移してきたときは、母上よりふくよかだったが、いまは母上にそっくりなくらいには体重が落ちたようだ。そして母上が亡くなったのは四十三歳だ。でも、私は母親に欲を持つ変態ではない。葉月は初めから情欲の対象だ。
葉月はバンジュートの獣人よりとても若く見える。二十代中半位にポームメーレニアンには思える。健康的な少し日焼けしたような肌も、張りがあり押したら跳ね返してきそうだ。今日は何を塗っているのか、唇はふっくらと柔らかく薄っすら朱色に色づいている。獣性を開放して顔を舐めたいと思うのを必死に耐えている。服装はゆったりした藍色のワンピースを重ね着していて、下に着ている袖のない白いワンピースが下着の様にも見える。上に羽織っているワンピースの胸元はボタンを外し大胆に開けてふっくらとした長い首が見えている。時々背中の方まで上から見えてしまう。首には細い皮ひものペンダントを下げているが、所有の印の首輪に見えて仕方がない。
「アン。褒めて。もう、この際ざっくりでいいよ。かわいいねー、でも、その服素敵だねーでもいいから、褒めてよ。褒めるのが礼儀だよ。そしたらいい気分でデートが始まるんだから」
ぷくっと膨れて褒める言葉をねだる葉月は、ますます可愛く映ってしまう。
「ハヅキ、そんな刺激的な服を着ていたら、私は嫉妬で君を閉じ込めてしまいそうだ! 」
ポームメーレニアンは心の叫びを口にしていた。
「そうなの? 膝が出てなければ大丈夫と思ってたのに。じゃあ、今度アンの好きな服装のタイプを教えてね」
「ああ、ハヅキに服をプレゼントしよう。次のデートは、中心街の店で服やアクセサリーも揃えよう」
「本当に? 嬉しいなぁ」
無邪気に笑う葉月はかわいい。何も知らない葉月に首輪をつけよう。私のモノにするのだ。葉月は私の獲物だ。誰にも渡さない。
「はい。どうぞ。今日ほど、時間が経つのが遅いと思ったことは無かったよ」
ポームメーレニアンは顔を染めながら、葉月に花束を手渡す。白に近いピンクのバラだ。ほんのりと淡いグリーンからクリーム色、極淡いピンクの色がグラデーションになっていて繊細な可愛さだ。控えめなピンクを見て、葉月は一目で気に入った。派手なバラは葉月には似合わない。
「屋敷の庭に咲いていた。庭師のじいと一緒に選んだ。気に入ってくれればいいが」
葉月は、今まで男性に花束をもらったことが無かった。自分の事を考えて選んでくれたことが嬉しくて、でもこれからデートなのにどうしたら良いか分からなくなっていた。そんな時、ポームメーレニアンの後ろからシリが顔を出す。
「もう! ハヅキったらポメ様しか見てないから、私の事見えてなかったでしょ」
「あ、あ、ごめん。シリ、お帰りなさい。なんか、花束が嬉しくて、すごく素敵で、ずっと見ててわかんなかったよ」
「ポメ様。作戦成功だね! ちなみに五本のバラの意味は『あなたに出会えて本当に良かった』だって! 」
シリはいたずらっ子の笑みで、葉月をのぞき込む。二メートルはあるだろう長身のポームメーレニアンは、俯いて、真っ赤になっている。シリが、ポームメーレニアンを押し、葉月に近づける。
「ハヅキ、私が花束預かってお水につけといてあげる。デートに行って来たら? 」
「あ、うん。ありがとう」
「シリ。ありがとう。行ってくるよ。タオ、ハヅキを預かる。心配しなくても、帰りは六時の鐘が鳴るまでに帰そう」
玄関先まで出てきていたタオは高校生の娘の初デートを見送る父親の様に渋い顔をしながらも、ドウに慰められながら送り出してくれた。葉月たち二人は両手両足が一緒に出ているようなぎこちなさで歩き出す。
今日は庶民のハヅキに合わせてくれたのか、麻のベージュのチュニックにゆったりしたブラウンのパンツ、足元はこげ茶の皮のサンダルだ。ラフな普段着は、年相応の若者に見せている。葉月は見上げるようにして、ポームメーレニアンに話しかける。
「ポメ様。デートしてる間はポメ君が良いですか」
「もしよければ家族しか呼ばないあだ名があって『アン』と呼んでほしいんだ」
「じゃあ、アン。今日はどこに連れて行ってくれるの? 」
「ハヅキは軽々と飛び越えてきてくれるのだな」
「えー。『え、私そんな気やすくポームメーレニアン様をお呼びすることはできませんわ』とかのやり取りを何回かしなきゃダメなの?」
「そんなことは無いが、メーオ様も敬称なしで呼んでるから、誰にでもそうなのかと……」
「確かに人との距離が、あんまりわからないって言われるから、アンに迷惑かけてるようなら改善するから、どこが悪いか言ってね。あ、もしかしてメーオに嫉妬しちゃった? 」
葉月はそう言って、ニヤリと意地悪気にポームメーレニアンを見る。言ってしまってから、葉月はハッとした。晃からの注意を思い出したのだ。
「あ、ごめんなさい。からかってしまって。アンが嫉妬してくれてるのが、私を独占したいと思ってくれてるようで嬉しかったの。悪趣味だね。ごめんね」
「ぐっ。やはり、年上の女性とはこのように翻弄してくるのか。抱きしめそうになったではないか」
ポームメーレニアンは小声で独り言を言って、握りこぶしを握り耐えている。葉月はそのようになっているポームメーレニアンの状態は分からず、目を合わせてくれない事に焦っていた。
「ねえ、アン。今日ね、こっちに来て初めてのデートなの。ちょっとだけおしゃれしたんだよ。気付いてる? 」
葉月は女性の苦手な男性に女の子のほめ方をレクチャーする意図で、ポームメーレニアンの前に立ちぐるりと回ってみせる。大丈夫。大丈夫。葉月が中学の時に愛読していた少女漫画で、主人公がやっていたことだ。葉月は自分が四十三歳で大きく育っていることは忘れていた。しかも、ポームメーレニアンには真意は伝わっていないようだ。
「デートでは、最初に相手を褒めなきゃ! ほらほら、沢山褒めて! 」
葉月はグルグルとポームメーレニアンの前で回る。ふんわりと目の前の艶々と光る黒髪が回っている。こちらでは珍しく肩を過ぎた位で切り揃えられた真っすぐな短い髪。
ポームメーレニアンは、この前、シリの髪が綺麗な事を屋敷の女中たちが噂していたのを聞いた。なんでも、葉月の魔法の「ドライヤー!! イオン放出!! キューティクル補修!! 」でこのように美しい髪を保っているらしい。また、自宅のツバキの種から椿油を抽出して、香油と混ぜ、塗るらしいが、ほんのりと花の香りがする。
獣人には、人間が好む香水はきつすぎる。犬獣人のポームメーレニアンには香水を付けなくても葉月からほんのりと香る花の匂いの中に、まだ繁殖可能なメスの匂いまで感じ取っている。
葉月は背も女性にしては大きい。そして、ふくよかでいたるところに肉がついて柔らかそうだ。抱きしめただけで折れそうな娼婦や閨係の未亡人とは違う。そんなに小さく細かったら、壊れてしまいそうで抱く気も起きなかった。
皆は母上に似ているから、ハヅキを好いていると思っている。母上と顔つきはどことなく似ている。優しげで1人にしたら危なっかしい感じも。葉月が転移してきたときは、母上よりふくよかだったが、いまは母上にそっくりなくらいには体重が落ちたようだ。そして母上が亡くなったのは四十三歳だ。でも、私は母親に欲を持つ変態ではない。葉月は初めから情欲の対象だ。
葉月はバンジュートの獣人よりとても若く見える。二十代中半位にポームメーレニアンには思える。健康的な少し日焼けしたような肌も、張りがあり押したら跳ね返してきそうだ。今日は何を塗っているのか、唇はふっくらと柔らかく薄っすら朱色に色づいている。獣性を開放して顔を舐めたいと思うのを必死に耐えている。服装はゆったりした藍色のワンピースを重ね着していて、下に着ている袖のない白いワンピースが下着の様にも見える。上に羽織っているワンピースの胸元はボタンを外し大胆に開けてふっくらとした長い首が見えている。時々背中の方まで上から見えてしまう。首には細い皮ひものペンダントを下げているが、所有の印の首輪に見えて仕方がない。
「アン。褒めて。もう、この際ざっくりでいいよ。かわいいねー、でも、その服素敵だねーでもいいから、褒めてよ。褒めるのが礼儀だよ。そしたらいい気分でデートが始まるんだから」
ぷくっと膨れて褒める言葉をねだる葉月は、ますます可愛く映ってしまう。
「ハヅキ、そんな刺激的な服を着ていたら、私は嫉妬で君を閉じ込めてしまいそうだ! 」
ポームメーレニアンは心の叫びを口にしていた。
「そうなの? 膝が出てなければ大丈夫と思ってたのに。じゃあ、今度アンの好きな服装のタイプを教えてね」
「ああ、ハヅキに服をプレゼントしよう。次のデートは、中心街の店で服やアクセサリーも揃えよう」
「本当に? 嬉しいなぁ」
無邪気に笑う葉月はかわいい。何も知らない葉月に首輪をつけよう。私のモノにするのだ。葉月は私の獲物だ。誰にも渡さない。
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