本当に、愛してる

双子のたまご

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第二章

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うちの抗争に巻き込まれた、源元 紅。
兄さんと一緒にこの世界に入って、一般人を巻き込んでしまったの初めてだ。

「…ねぇ龍海。被害にあった子、調べてくれる?」

「…」

「その子の家族に、会いに行こう。」

「…何故」

「謝りに。」

「うちの組員が撃ったんじゃない。」

「そういうことじゃない。このままにしちゃ駄目だ。」

「…」

「…自分がやったことは良いことも、悪いことも、返ってくるよ。」

「…」

「僕達の仕事は良いことじゃないね。悪いことが多いね。
でも悪いことに慣れちゃ駄目だ。
もしも、
…もしも、僕達家族に同じことが起きたとき…よくあることだと、悲しめない人間になっちゃ駄目だ。」

「…あぁ。」

「…被害にあった子、調べてくれる?」

「…分かった。」

「…うん、ありがとう。よろしくね。」

兄さんの疲れた笑顔を、久しぶりに見た。










一般人一人、調べることなんて造作もない。
部下に指示を出し、三日で大体出揃った。
源元 紅。両親はいない。仕事は通訳者。
抗争があった日は、着いていっていた日本人歌手の海外ツアーから戻ってくる日だった。
家は俺達の家からさほど遠くない。
駅から10分のマンション。
姉と二人暮らし。姉の名前は源元 スイ
姉は薬剤師。調剤薬局に勤務。
…俺達の家の近所の調剤薬局。
世間は狭いものだと思った。
あの薬剤師の知り合いかもしれないな。
姉の顔写真も添付されている。
この人に、会いに行くのだ。
写真に目をうつす。







知り合い、程度なら良かったのに。







添付された写真にはあの薬剤師の女が写っていた。
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