本当に、愛してる

笹 司

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第一章

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「おはよぅ、獅音シオン兄さん、たっくん…」

「おはよう」

三人で暮らす家。
基本的に全員午後から動く為、実はもう、おはようの時間ではない。

「おはよう、琥珀コハク。なぁに?風邪かい?」

「ん~…やっぱりそう思う?
ちょっと声がね…」

「もうすぐ本番じゃないのか」

「そうなの…薬欲しいけど、今日はちょっと稽古前に次の舞台の顔合わせがあって…」

「おやおや、それなら僕達が買いに行こうか。
ねぇ、龍海タツミ。今日は夜、店に顔を出すだけだしねぇ。」

兄さんが読んでいた新聞をおいてこちらを見る。
店、というのは、うちのシマにあるホストクラブのこと。

「そうだな。」

「あぁ~ありがとう…
打ち合わせと稽古の間に一瞬家に帰れるかも。」

「分かったよ。でも早い方がいいね。
龍海、今から行く?」

「あぁ、俺が行こう。一人で大丈夫だから、兄さんは琥珀を見送ってやってくれ。
琥珀。熱はないんだな?」

「大丈夫大丈夫。
熱は今のところない。」

「飯は…」

「僕がするから、大丈夫だよ。」

「そうか、行ってくる。琥珀、いつもの薬か?」

「あと、のど飴も欲しい~
蜂蜜的なやつ。なんでもいい。」

「分かった。」

「いってらっしゃ~い」

「あぁ、兄さん、琥珀を頼んだ。」

「はいは~い。」

玄関を開け、外へ出る。
日当たりは良いが、少し肌寒い気がする。
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