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第十章
Ⅲ
しおりを挟む「…琥珀さん」
『この間はありがとうございました。』
「こちらこそ、」
『ごめんなさい、こんな時間にうちのバカ兄二号が』
バカ兄二号…
一号は獅音さん?
「そんな…!
…こちらこそ、ごめんなさい。」
『…翠さんがどっちを望んでいるか、分からないけれど』
「…」
『私の名前は源元琥珀。
源元獅音と源元龍海の妹です。』
「…本当に…」
『う~ん、たっくんより獅音兄さんに似てるって言われることの方が多いからなぁ…』
「たっくん…」
龍海さんが少しぎょっとした顔をする。
『あぁ、獅音兄さんとは年が離れてるけど、たっくんとは一歳差だから。』
「そう、でしたか…」
『…信じてもらえますか?』
正直、打ち合わせたらどうとでも言えるのでは?とは思う。
でもそんなことをするメリットがないし、二人とも人を騙すことに楽しみを見いだすような悪魔ではない、はず。
何より、信じたい、と思っている。
「…はい。」
『あのね、あのバカ兄の肩を持つわけじゃないんだけど、ちょっと不憫だから…』
「はい?」
『翠さん、いなくなったって気づいてからのたっくん、見てられなかったよ。
仕事で変なポカやらかしまくって、獅音兄さんキレてた。
東京湾沈められかけてた。』
「え…」
『あはは、ウソウソ!』
…いつか、獅音さんにもマフィアジョーク?を言われたことがあった。
思えば、先週会ったときの、なんとなく圧のある雰囲気。
確かに琥珀さんは獅音さんに似ているのかもしれない。
『たっくん、不器用だけど、翠さんのこと大事に思ってるよ。』
「…」
『話を、聞いてあげてくれますか?』
「…はい。」
『ありがとうございます。』
琥珀さんの言葉に心がほっとした。
ほっとしていると、琥珀さんは急に爆弾を落としてきた。
『…また、舞台観にきてくださいね!
ヨルと森、実は再演決定したんです!』
「…え?」
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